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メインの占い師のお婆さんが居なかったから見過ごす所だった!
「あの!私、これ買ったんです!」
目の前にしゃがみこんで婚約会見の様に指輪を見せると男性は私の手を取り言った
「あ、1回行ったんですね…」
私の顔を見ないで何とか聞き取れる声で淡々と言う
「あれから行けないです!後っ、お婆さん出てきましたよ?と言うかアレって夢なんですか?」
話が通じたと判りつい、早口になってしまう
お婆さんと彼は関係無いかも知れないのに今は隣に居ないお婆さんの場所を指を指して聞く
「夢だと思いますか?」
「え?」
「寝れば毎回行けるとは限りません、ちゃんと時期が決まってます…」
「……」
「この売り場…どう思いますか?」
「売り場?」
サッと見渡してもガラクタ売りにしか見えないが…今の私には7つ付いたアクセサリーが欲しい…
倍の値段を出してもそっちを買いたい!
倍と言っても140円だけどさ!
「ガラクタと思われても仕方ないです…でも、買える人は選びます」
「選ぶ?」
まるで私の心を読んでるみたいな言い方に少し怖くなる
「夢か現実かを決めるのは貴女です…」
「……」
「希に起こるんですよねぇ、違う世界の人間が飛ばされる事が。それを管理するのも私達の仕事ですけど」
管理?
何を言ってるの……だけど、私は本当に小石川白雪?
あの時、思った疑問が頭を過る
「あの……私は…」
「後、2回で決まります…いえ、決めて下さい…白雪姫」
「え?」
指輪を見てた私が顔を上げるとそこには誰も居ない…
それが余計に男性の言う事に真実味が深まる
…夜の町を歩く人の流れの中に私だけが止まってた
後、2回って…決めろって…
『大きくなったらシンデレラの王子様のお嫁さんになりたいです!』
小学校の時にかなり本気で書いた将来の夢
まだ王子様にも会ってないのに…後、2回って…
チャンスが少なすぎるだろーよ!
「あっ!7つ付いたアクセサリー欲しかったのに!チックショー!!」
『時期が決まってます』
次はいつ行けるのだろう?
あの続きから始まってくれるのだろうか?
王子様には会えるのだろうか?
疑問は生まれたが不安は無くなった
ごめん、お父さんお母さん…私はやっぱり王子様と恋がしたいです!
この指輪が抜けるとき私はどちらの世界に居るのだろう?