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「ねぇ…どうしても前じゃなきゃ駄目?」
「駄目」
「……」
結局昨日の夜はあまり眠れず朝出発する時も色々一悶着した
サーシャちゃんは途中でカインと食べる様にと昼食を用意してくれたりニーチェは私がカインと居なくなってしまうと勘違いして大泣きするし…。
シークはずっとカインと喧嘩してて…イルーナ君はそっと私に耳打ちした
『昨日は有り難うございました』と。
寝てたと思ったのに気づかれちゃってたか…と少し残念だったけどその笑顔を見たら少しホッとした
馬に乗る構図は勿論メルヘン乗り…確かにお尻の負担は軽いけどやっぱりと言うか自分の気持ちに完全に気付いてしまうとメルヘン乗りは恥ずかしすぎる
でもカインは絶対に譲らないと…じゃなかったら連れてかないと言われ泣く泣くカインの前に乗って皆に見送られた
なんだか物語の終わりのシーンみたいな気分
7人の小人に見送られて白雪姫は王子様とお城に向かう…みたいな。
実際お城に向かうけどあくまで経由するだけで、それからが問題だ
『めでたしめでたし』には全くもって遠い
森までは知ってた景色だけど段々違う景色が広がって来た
なんだろう…皆の街は本当にドイツみたいなメルヘンって感じの風景なんだけど
「此処を抜けるとノクターンだ、その前に休憩しようぜ……荒れてるだろ?街も活気が消えてる」
まだ森が覆ってる場所でカインが馬を止めて先に降りて私を下ろしながら私の変化に気付いたのか少し悲しそうに言う
「戦争の影響?」
そうだ、カインは予言の姫…言わば国を救う聖女を求めて旅をしてたんだよね…。
聖女……なんて重苦しい言葉だろう
運命の姫ならまだ何とか気持ちを保てそうなんだけど…聖女って…荷が重っ!
もしかして私は此処には来ては行けなかったんじゃない?
まだ何にも解決してないのにカインとこの国に入るって事はよ?
城に行くし、勿論街を通る。
「ねぇ…カイン…私は此処で…」
「逃がさねーから」
後ろから抱き締める様に首をカインの腕が回る
私が何を言うか解っちゃったらしい
此処で待ってるから行ってきてって。
「だって…国に入ったら姫だと思われちゃうじゃない!」
「思われてじゃなくて姫だから良いんだよ!」
「まだそんな身分じゃないし…なれるかどうかだって…」
怪しいのに!
「身分なんて要らないだろ?俺が決めたんだ、勿論国の為に出来る事はするけど…結婚相手は他に予言の姫が居ても無理、お前じゃなきゃ嫌だ」
「…っ……とにかく…お昼食べよ?」