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「それなら俺が行く」
「カイン」
「つーか、お前さ?一国の王妃に会いたいから会えるとか簡単に言うなよ?」
「うっ……」
確かに…現代では『会いに行けるアイドル 』が流行ってるけど…そうだよね、そんな簡単に会える存在じゃないよね
「俺ならノクターンから正式に王妃と面談出来る」
「流石、伊達に権力持ってるわね金貨王子」
「うるせー乳母、だから王妃だか継母に会うのは俺が…」
「私も行く!」
「お前…」
「カインが行ってもちゃんと状況説明出来ないかも知れないでしょ?それに継母は…なんだか私を知ってる気がするの」
「状況説明なら僕が行きます。コイお姉さんは危ないです」
イルーナ君の声がいつもより冷たいのは厳しさから来るもの
心配してくれてるのは嬉しいけど…
「守ってくれるでしょ?」
私はカインの腕を掴んで見つめた
なんか今の自分…梨子みたいだ
自分に好意を持ってると解ってて言う小悪魔梨子
「さっきからお前…反則ばっか使うよな?」
馬には2人しか乗れない、馬車とかなら皆で行けるけどそれも危ない…
ないと思うけど継母がスッゴク性悪で全員が殺されちゃったら…物語が終わっちゃう
RPGだったら即リセットだ…ゲームみたいにリセット出来れば良いけどそんな保障はない
「そんな非力な奴にコイお姉さんは守れないだろ?」
「おい、小人に言われたくねーぞ」
「あぁ!もう本当に早く元の姿に戻りたい」
「私も嫌だけど早くアンタに戻って欲しいわ…」
シークの呟きにサーシャちゃんが珍しく同意してるのを見てイルーナ君が困った顔してる
「その為にも継母に早く会いたいの、ねぇ?カインお願い!」
まるで神頼みをする様にカインに手を当てて言うと仕方なさそうに頷いた
「あー!好きになるって面倒くせ…」
「じゃあ辞めてくれればいいよ」
「あぁ?」
シークと口喧嘩が始まったけど、どうやら連れて行って貰える事に成功した
それと同時に臀部の恐怖を思いだし溜め息を吐くと温かい物に包まれる
「気をつけてね?」
「ニーチェ…うん、気を付けるからね?」
私は温かさの正体に気付いて腰をおろして自分からもギュとする
「エヘヘ」
「ありがとう」
早く自分の事や運命を何とかしたい…それと同時に巻き込んでしまったかも知れない皆を早く本当の姿に戻してあげたい
善は急げと継母に会いに行くのは明日になりいつもより早く就寝したんだけど…
白雪姫の城に行く前にノクターン王国に寄ると言われて思わず絶句
そりゃ手ぶらじゃ無理なのは解るけど…そんなに長い間、馬に乗ってるなんて!!