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「不安な気持ちにつけこむ様な男よりやっぱりイルーナが良いと思うのになぁ」
「おい…」
「白雪姫はまだ起きてないわよ。私もコイお姉さんが心配だったからね…前にコイお姉さんがずっと起きなかった時を思い出して…」
サーシャちゃん…
ん?
そう言えば…私はずっと眠ってたんだっけ?
「サーシャちゃん、私は消えたりしなかったんだよね?」
「そうね…岡本さんは消えたけど…コイお姉さんは消えなかったわ。解毒を飲んで起きたから」
こっちでは直ぐだったけど…向こうでは半年間だったよね?
じゃあ岡本さんは何で?
前も消えたのかな?
でも直ぐに戻って来たって言ってたから…
「もしかしたら岡本さんは直ぐに戻って来るかも知れない。時間の軸が違うし前も早くこっちに戻って来たって言ってたから…」
カインに言った事が本当なら戻る選択が有ったらきっと戻って来る
「じゃあ出来れば白雪姫が目覚める時には戻って来てくれると良いけど…あの眠らせる薬の持続は長くても3日だしねぇ」
「3日!?そんなに眠っちゃうの?」
まるで眠れる森の美女だ…あれは100年だけど
「イルーナが調合してそんな事言ってたから…まぁ、今は起きない方が良いのかも知れないってイルーナが判断したのかもね」
判断か…
確かにあの状態の白雪姫は見てて辛い…本当に言葉が出なかったし。
今までの冷静な態度の白雪姫や人形の様な笑顔…それが岡本さんの事になると…
私はチラッとカインを見ると目が合う
私が消えたりしたらカインも悲しむんだよね?
「はい、そこ~雰囲気作らない」
「違いますよ、先生!」
「何で乳母が先生なんだよ」
「先生でも乳母でも無いけど…とにかく白雪姫はこのまま此処で面倒みる事になるわ」
「そうだよね…あの森の家に帰すわけには行かないもんね」
「そう、王の兵士達に見つからない様に匿わないと…」
「継母にもだろ?」
「それなんだけど…2人とも家に戻って来てくれる?…それともまだイチャイチャしてたい?」
「サーシャちゃん!」
「イチャイチャ?」
何でカインとサーシャちゃんの言葉に壁が有るのよ…王族と平民の違うにしては変だよ…まるでベルリンの壁だな
「戻る!戻るけど…その皆には…」
カイン的には私が少し自分に関心を持っただけと思ってるけどサーシャちゃんは完璧に私の気持ちに気づいてる
いや、ハッキリ言って気付かないカインの方が鈍感過ぎる!
それでも私がカインが好きだ…とか皆には言わないで欲しい…