94『東方三賢者』
四月二二日の夜の九時に、彗星が現れて甚だ長い尾を引いたので人々は恐怖した。※フロイスの『日本史』
――そのフロイスは、安土城天主の最上階である第六階・黄金の間で――
『聖書』を開き『マタイによる福音書』を朗読していた。
(……なんか、『ヨハネの黙示録』を伝えた日と似てるな)
フロイスは、彗星が現れた夜に、また信長に呼ばれ、急遽安土城天主に駆けつけたのだった。
そしたら、いきなり『聖書』を読んでほしいと言われたのであった。
織田信長は、黄金の間の朱色の欄干に、腰をかけて、
異常なほど尾を引く彗星をみて――ふっと微笑んだ。
「フロイス、それはイエスの生誕の日の話であるな」
「そうです信長様」
「その話を……もう一度、詳しく話してくれるか」
「はい、では、イエス様生誕と『東方三賢者』の話ですが……」
イエスが、ベツレヘムで誕生した直後――
東の国で誰も見たことがない大きく輝く星が、西の空に見えた。
三人の賢者は、占星術から、その星か“ユダヤ人の王”が生まれた事を意味すると知った。
早速、博士たちは星に導かれてベツレヘムへの道を進み、星が止まった真下に、母マリアに抱かれたイエスを見出して――
産まれたばかりのイエスに敬意を払って礼拝し、高価な珍しい贈り物を捧げた。
また、イエスは馬小屋で生まれたともいわれ――
世界を救う救世主が、馬小屋で誕生するというこの対比が、イエスの神秘性をさらに感じさせるところです。
フロイスが『マタイによる福音書』をもとに解りやすく語った――
イエス生誕の話を聞いて、
「……やはり、余の時と同じであるな」
と、信長は長く尾を引く彗星の空をまだ眺めながら、そう呟いた。
ここまで読んで、「えっ……!?」と思ったあなた!
――正解です!
そう、織田信長の生誕の逸話の中に、
イエスと同じように彗星が現れたという話は……残念ながら?ありません。
少し信長に詳しい方なら、信長の生誕の話と言えば――
織田信長は赤ん坊の時から暴れん坊で、授乳の時に乳母の乳首を噛みきってしまうので、乳母のなりてがいなくなって……ほとほと皆が困り果てた。
……という逸話ならありますが――
さすがに拙者でも、この逸話がイエスの時とそっくりとは申しません。
……しかし実はこの日の出来事が、
いえイエスの生誕の日の出来事が、織田信長をついに――
《エヴァンゲリオン》計画を最終的に決意させたのである。
――ということで、
織田信長による福音書計画まもなく始動です!
信長は、今までフロイスや他の宣教師から会うたびに『聖書』の話を詳しく聞いていた。
――そしてついに今日確信したのだ。
――余は、《キリスト》であると。
ということは、つ……ついに――
そう、そしてついに信長とイエスの類似メーターは次回、
MAX!、そう、《類似率100%》になります!
――さぁ、エヴァンケリオン計画始動を告げる――クイズです!
はたして信長は、イエス生誕と東方三賢者の話の何に、
反応したのでしょうか?
一、彗星
二、聖母マリア
三、三賢者
四、馬小屋
当然答えは――
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