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84『魔王降臨』

○かくして魔王は舞い降りた。


この安土城内にある建造物群――

天主、総見寺、天皇行幸の間である本丸御殿の建設と、天主と本丸御殿の配置関係で行われた、織田信長の《自己神格化》は――

“生きる神”である天皇を中心とする朝廷権力、石山本願寺の法主顕如の“生き仏”に代表されるような寺院勢力という旧時代の権威権力を克服し、武家による完全なる全国支配を達成するための必要な政策的行動と捉える見解も実際にあるのだ。(小和田哲男『集中講義 織田信長』参考)


――ということで、支配者がその体制を維持するには、権力だけでなく権威も必用とよく言われますが、

現代の私達からみれば、そこまでがんばって神になって権威付けしなくても、権力さえあればなんでもできるようにみえますよね。


でもこれは、この現代においても実は当てはまります。

この日本国のトップである内閣総理大臣は、形式上、天皇陛下から任命されることや、

アメリカ合衆国の大統領受諾の宣誓式も、聖書に手をおいてなされることからも、霊的なものからの承認というのは権力者には必要なものとなっているのです。


――天正十年(1582)の正月には、織田信長は天主の隣にある本丸御殿を庶民たちに開放し見物させて、自ら百文ずつの見物料を受け取ったと、信長一代記『信長公記』に記されいます。


これは信長らしいことが三つありますよね!

まず基本的にいえば、軍事施設である城内を一般の民衆に公開する自体すごいですよね。だって敵国のスパイとかも紛れているかもしれませんから。

安土城は、フロイスが西洋のどの建物よりも素晴らしいと、報告された話もあるので、

“世界一美しい”安土城の拝観を民衆に許可するのは、民衆のことを考えた信長らしいサービスだと感じます。


また拝観料を百文取るのも素晴らしい。

無料のが良いのにと、思ったあなた!?

本当にそうですか?


見物するのに拝観料を払うことで、無料の時よりも真剣に見物しますよね?

そうですお金を払った分、元を取りたいと思うからです。

そうです、たった百文かは解りませんが、払うことで、より安土城を民衆は真剣に見ることになります。


また拝観料を信長自身が、受け取ったというのも、織田信長の名乗る神が、なんのためなのかよく解るエピソードですよね。

つまり、天下のトップである、そうこの日本の事実上の最大の権力者である信長が、民衆と同じ高さに立って、笑顔?で、一人一人から拝観料を受け取る。


かつて、これほど民衆の近くに立った統治者はいただろうか?

かつて、これほど身近で会える統治者はいただろうか?


例えがあれですが、拙者は、身近で会えるアイドルの“握手会”を想像してしまうくらい、まさに民衆目線の信長らしいパフォーマンスで――


民衆は自分の番になると、信長に百文を直接手渡しながら、

信長に声をかけた――

「信長様、いつもありがとうございます」

「であるか」

「信長様、応援しています」

「であるか」

「信長様、娘の婿になってください」

「……であるか」

※「であるか」は、信長の有名な口癖?です。(『信長公記』)


と、イメージするくらいにこのほのぼのしたエピソードから、

織田信長の優しさや温かさ、そう人間味を感じます。


――そしてその民衆は知ることになる、織田信長は天皇をこの拝観した本丸御殿で守護することを。

もちろん信長が第六天魔王と名乗っているのも知っている。


――いったん沢山の拝観料を持って天主に戻った織田信長が、

天主から本丸御殿をつなぐ、渡り廊下を歩きながら御供を連れて出てきた。そして途中にあるバルコニーから身を乗り出した。(※バルコニーみたいなものがあったという説も実際ある)


それを見た群衆は歓声を上げて――

「織田信長様万歳」

「第六天魔王様万歳」

「他化自在天様万歳」

「忠臣信長様万歳」

「キリスト・信長様万歳」


皆が、思い思いの名前で信長を呼ぶ。

もちろんこの時代の民衆は強制しても、自らの信仰のために命を捨て反抗する覚悟がある人たちである。

そう皆が本当に平和で豊かに暮らせるように成ったので、その感謝の気持ちもあって、自ら喜んで百文払ってまで見物にきたのだ。


その歓声を受け、それに応える信長――

「余は第六天魔王信長であるぞ!」


その織田信長を黄金の後光が包み見込んだ。


安土城天主は、第六階部分が、外観も金閣寺のように金箔で覆われ黄金に輝いているのはもちろんなのだが、何と天主や本丸御殿の屋根の瓦も、金箔を混ぜて作られたという説もあるのだ。(安土城発掘調査から)


民衆は、信長が仏様のように後光をおびた光景を見て、

皆「ありがたや~」と手を合わす。

その信長姿は、総ての快楽を司る第六天魔王が――

天から降臨されたように神々しいばかりであった。


そしてその民衆たちの歓喜の声を上から眺めながら、

信長は、つぶやいた――


「もう少しである。

あともう少しで……

エヴァンケリオン計画が……始まる……」


その顔は、なぜか少し涙ぐんでいるようにも見えた……。



そしてこの日は天正十年正月、

つまり『本能寺の変』まであと五ヶ月余りを残すのみとなっていた。



――ということで、第四章『天下布武』完結です!


織田信長が発した言葉――撫育民姓国家・天下布武・岐阜・安土、

織田信長が建てたもの――岐阜城宮殿・安土城(天主・本丸御殿・総見寺)――

その全てに民衆への信長の熱き熱き想いを感じます。


そしてついに、お待たせしました!


次回より、聖書最大の謎である『ヨハネによる黙示録』、

その暗号666の謎解きに、我らがヒーロー織田信長が挑みます!



乞う、ご期待!





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