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75『安土城』

○教会それとも勘違い?


織田信長の天下布武の拠点として建てられた安土城は、現在は遺跡を遺すのみである。

しかし、地元滋賀県の発掘調査や、当時の文献などから、最近において安土城の全貌が、明らかになりつつある。


安土城は、安土山を城郭域とする平山城であり、平地から見上げると山の高さが約70m、天主の高さが約30mあり、なんと地上より安土城天主最高部までが約100mある!

そのため城下町の総てから天主が見える、正に天主が安土の、いや天下布武のランドマークタワーとしてそびえ立っている。


ちなみに城郭の一番高い(やぐら)を、石垣の上に乗せ『天主』と名付けたのは信長が最初とも言われる。(後世は『天守』表記になる)。


天主とは、キリスト教の日本名の一つである『天主教』からきたとも言われている。


正にキリスト教好き?、キリスト教に大いに関心があった信長らしいネーミングである。


しかも、加賀藩士が残したと言われる安土城の図面『天主指図』によると、地上六階、地下一階の高層建築のなんと、地下一階から三階までが――

吹き抜け構造となっている!(※内藤説他諸説あり)

当時の日本建築、高層建築物を建てる時に心柱を中央部に打ち込むのが基本的なので、この巨大な吹き抜け構造は――

つまり信長の意図があるといえる、


そうつまりこの吹き抜け空間は――

正にキリスト教の《教会》てはないか!

そう、その高層吹き抜け構造からイメージしたものでは?という説も実際あるのだ。


ただこの天下布武のシンボルである安土城天主は、決してキリスト教だけをテーマにして建てられているわけではないことは――

本作を読んでいる読者方には、お気付きだと思います!


そう、織田信長はどれぼど宣教師に会っても、そしてキリスト教文化に大いに関心を持っていても――

決してキリスト教徒にならなかった男である。

そうその理由の一つが、

『宗教の平等』こそが――

この戦国乱世を終わらせ、そして恒久平和を実現するために必要不可欠と考えているからだ。


そう吹き抜けだけでなく、城の全体の構造を見てみると――

キリスト教の為の建築物ではないことが、一目瞭然で解るのだ。


というのは、

その吹き抜け空間の地下一階から三階まで、

天主の中央に大きな建造物がそびえ立っているのだが――


それはなんと巨大な十字架ではなく……

多宝塔がそびえたっているのだ。

多宝塔とは仏教の建造物で、お釈迦様がこの地上に現れたことを、祝福して出現すると言われているものである。


つまり地下一階から上を見上げれば――

ずっと一番上に見えるのは三階の天井でであり――

そう文字通り――

地下一階から、この多宝塔が天主の中央部をずっと貫いているのだ。※『天主指図』


――だからこの安土城天主のメインは――

仏教建築物だ!と断言してしまう程の、この巨大な七宝塔の存在感なのである!


……そしてここまで読まれると、

なにも吹き抜け構造がイコール教会とはいえないから、

結局、信長は新世界の神みたいに褒め称えても、結局自分の城の守り神は、古来から伝わる仏教じゃないか!

と、感じる方も多いと思います。


しかし、この織田信長の理想は、

宗教の平等による《戦争根絶》と《恒久平和》である!


そうだからこそ信長イズムを体現するこの天主が――

教会や七宝塔だけで終わると思ったら、大間違いなのである!

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