70『戦国三英傑』
○必死に生きてきた先に――
――ここまで、二章・三章と信長とイエスの比較、そして信長とイエスが目指した世界を述べて来ました。
当然拙者は、『信長とイエス、その運命の類似』という章タイトルを付けているくらいなので、信長とイエスの人生や行動理念がかなり類似していると感じています。
もちろんここまで読まれても、そう感じない方も当然おられると思います。
特に信長は、どうしても戦国乱世の覇者なので、“戦争屋”とか、非道・残酷というイメージか付きまといますので。
……ですが、ここまでのまとめとして最後に述べたいことは――
もし、信長が自らの栄誉栄華を目指していたなら、朝廷・将軍・仏教勢力と妥協した方が、よっぽど楽にこの世を生きられたでしょうし、
当然いつも命を狙われるほどの危機もほとんどなかったでしょうし、
――当時の信長の勢いなら、その安楽な人生の選択も十分可能でした。
……それなのに信長あえて自らを“イバラの道”に置き――
『変革』を志したところに、彼の偉大さを感じます。
そして彼によってもたらされた変革と平和への熱き想いは――
家臣であった豊臣秀吉の天下統一、
信長の義弟であり古くからの同盟者・同志でもある徳川家康の天下泰平へとつなかり――
世界史上類例の無いミラクル・ピース《江戸時代》に結実したのでした。
そしてその結果――
この現代においても、宗教問題で日本人が苦しむことが諸外国と比べほとんど無い、平和な世へと導いたのでした。
――そう、歴史は人が創るものてす。
信長が必死に必死に宗教勢力の武装解除、そして宗教の平等のために戦わなかったら、今の世界はなかった。
そして秀吉が「農民、農民」と仲間からいじめられても蔑まれても、諦めず挫けず信長を必死に信じて信長の後を必死に追いかけて、そうやって必死に生きてきたから――天下統一を実現させることができた。
そしてそして家康が幼少期の長い人質生活に耐え、信長を信じてこの乱世には珍しい永久同盟といわれる『清須同盟』をずっとまもり続け、そう信長との若き日の約束を胸に、迫り来る寿命と必死に戦いながら生きてきたから、ついにはこの日本を天下を泰平へと導いたのである。
そう彼ら《戦国三英傑》の頑張りがなかったら、1600年で戦国時代は終わらず、まだ何十年何百年と続いていたかもしれない。
その状況を西洋列強につけこまれ、インドやアメリカ大陸のように植民地されていたかもしれない。
そう、彼らがいなかったら、まだまだずっと人々が苦しむ世界が続いていたかもしれないのだ。
――そう、織田信長は、間違いなくこの世界を変えたのだ。