58『ご利益』
○証拠文献
フロイスら宣教師が、イタリア・ローマにあるイエズス会本部に定期的に送る報告書をまとめたーー
『イエズス会日本年報』という文献があります。
その中のフロイスの記した報告書の一つには、
……とてつもなない、とんでもない事柄が記されてます。
初めての知る方は驚くこと間違いなしの、
これが、信長が神を名乗った《証拠》文献です!
ーーさぁ、どうぞ!
安土山上に全日本の君主信長は、総見寺と称する寺院を建立した。
これを深く崇敬するものが受けるであろう功徳と利益(つまり、ご利益)は、以下の通りである。
第一に、
富者がここに来て拝めば、ますますその財を増し、
身分が低く哀れな貧者が参詣すれば、
この寺院を訪れた功徳によって富者になり、
子や後継者を持たぬ者は、家系を絶やさために直ちに子孫および長寿を得る。
第二に、
寿命は八十歳まで延び、病はたちまち癒え、
己の願望、健康、および平和を得るであろう。
第三に、
毎月、余の誕生日を祝祭日として、当寺に参詣することを命じる。
第四に、
以上のすべてを信じる者には、確実に疑いなく、約束されたことが必ず実現できるであろう。
しかしながら、
これらを信じぬ邪教の徒は、現世においても来世においても、滅亡するに至るであろう。
ゆえに万人は、大いなる崇拝と尊敬を常々これに捧げることが必要である。
現代人が見ると、突っ込みどころ満載のフロイスの報告書てすが……
なんというか、もう神を名乗った、名乗らないというレベルの話じゃなくなってますよね。
総見寺に来て拝むと、ほとんどすべての願いが叶い、しかも逆に拝まないと不幸になるというーー
“ご利益”満載の信長神?ーー誕生です!
……ほんとこの文章だけ読むと、
ーー『我をあがめよ!』
ーー『我に従え!』
ーー『従わなければ、天罰が下るぞ!』
と、なんか神というより、暴君……
いや、フロイスが言うように悪魔的というか……
いや、魔王みたいな……信長ですね。