46『ファイナル・アンサー』
ではイエスが、
「税金を納めなくてもよい」
と答えたらどうなるのか?
イエスの支持者とパリサイ派の人々の中での、衆人監視の前でーー
当然、支配者ローマ帝国に対するユダヤ人の義務である税金を払わなくてもよいと、公言することになり、
イコール、ローマに歯向かったことになります。
当然、イエスは反逆罪で逮捕され、反逆者には死刑が待ってます。
このように、どう答えても絶対の危機であったイエスが答えた名言中の名言なのがーー
「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返せ」
なのです。
ローマに税金を支払うローマ硬貨は、ローマ皇帝の肖像が描かれています。
だからイエスは、
「硬貨は、ローマのものだから、ローマに返すのは、当たり前じゃないか」
と、税金を払う払わないの話をーー
硬貨を返すか返さないのかの話に、うまくすり替えたのです。
皆さん、初めてこの話を知ったとき、そんなの言葉でごましているだけだ、と感じるかもしれませんが。
でもそう答えるしか、この支持者の落胆からの私刑、またはローマ帝国からの死刑待ったなしの、この危機一発的状況を脱する方法がなかったのです。
それを知るとイエスのとっさに答えた言葉が、あまりにも巧すぎてーー
またもやイエスさんは、その言葉だけで、《奇跡》を起こしたと感じてしまいます。
そう実際に、この言葉で自らの命を救ったわけですから!
最後の解答である、“ファイナル・アンサー”もまた凄い。
「神のものは神に返せ」
は、解釈いろいろありますが、
自ら“神の子”と名乗るイエスが、神という言葉を堂々と群集の中で語ることでーー
ましてイエスを偽預言者・偽救世主と糾弾してくるパリサイ派の人々の前で、堂々とあえて神の言葉を語ることでーー
じゃあ、私は神の子なんだから、私の言葉は神の言葉だから、私の話を聞きなさい。
というような感じで、イエスの支持者たちはーー
自信みなぎる“改革派のリーダー”の言葉として、イエスの言葉を聞いた。
一方、難題を問うてきたパリサイ人には、
同じユダヤ教徒ですから、神様に頂いたものは神様に返しますよね。だからこのローマ硬貨を、ローマに返すのも当たり前なのです。
と、なんとイエスは一つの言葉で、聞く立場が違うとまるで反対の意味に聞こえる言葉を語ったのです。
いわゆる“ダブルミーイング”を、このとっさの時に思いついたのです!
そう正に、世界的にも名言と誉れ高いーー
「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返せ」は、
イエスは瞬時に絶対絶命の問題に、問題を起こさない言葉を思いつき、
しかも自分は神の子だぞと、信者に再認識させたーー
正に名言中の名言なのです。
ーーイエスもこのように、“時が来たれり”と感じるまでは、
自らの命を大切にし、粗末にしていません。
来るべき“裏切り”の日に向けてーー
命がけで布教や、弟子の指導に邁進するのでした。
さぁ、ということでいよいよ、
イエス・信長の運命が決する時が来ました!
ーー次回、『イエス、最期のキス』
イエスは、信長は、
ゴルゴダの丘で、そして本能寺で、
《最期の時》になにを想うーー
乞う、ご期待!
●只今の信長・イエスの“類似率”はーー
……90%。