45『絶対絶命』
何故イエスは、
相手にローマ硬貨を持って来させ、
「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返せ」と答えたのか?
イエスのおかれた立場・状況を考えるとよくわかります。
ーーまずは、
「税金を払うことは良いこと」と答えた場合です。
イエスはユダヤ教の宗教改革を目指す活動家なので、当然律法・戒律絶対主義の今の体制に不満な者たちがーー
イエスの支持者になってます。
ただイエスの弟子たちのように、イエスが預言者イザヤの預言を叶えようと思っているーー
そのことを知っている者ばかりではありません。
イエスの支持者の中には、支配者ローマ帝国に対して武装蜂起して、軍事的勝利によってユダヤ独立を目指すーー
《熱心党》と言われる人々も多かった。
“裏切り者”ユダも、元熱心党のメンバーと言われている。
つまり、イエスの活動によって集まった数多くの信者たちを、武装蜂起の兵士として、そしてイエスを蜂起のリーダー、つまり軍事的指導者として、期待していた人々です。
もちろん常識的に考えれば、世界帝国ローマに独立戦争をしかけたところで勝てる訳がありません。実際にイエスの死後、ユダヤ人はローマに対して蜂起しましたが、当然鎮圧されてしまいました。
そうです、このように当然イエスの支持者たちが、イエスに期待する思いは別々なのでーー
イエスが、「私は、武装してローマに歯向かう気は、全くない」
と名言すれば、多くの支持者を失うことは必至です。
また無謀な武装蜂起を考えているほど血気盛んな者たちは、
“期待はずれ”のイエスに怒って……
イエスの命を奪う可能性も多いにあるのです。
実際、熱心党のユダが、イエスが武装蜂起を目指してないと知り、落胆して、ローマにイエスを売ったという説もあるくらいです。
なので、「税金を払うことは良いこと」とは、イエスは死んでも言えません。
「結局、イエスもローマの手先だ」と、熱心党のメンバーに命を狙われ死んでしまう可能性が高かったからです。
そして、逆に「税金を納めなくてもよい」と、答えても死を向かえてしまうという、
ーーイエス絶対絶命のピンチてす!