42『信長、危機への挑戦』
こうして信長とイエスを比べてみるとーー
二人とも、この世界の変革・改革を志して精力的に活動しているので、
既得利権を維持しようとする、旧勢力の度重なる抵抗にあっていることが分かります。
信長・イエスからみれば、抵抗勢力である、
仏教武装勢力、ユダヤ教保守勢力という巨大な主流派・体制派に立ち向かったのでーー
当然《危機》とは常に背中合わせであった。
久々登場の織田信長なので、おさらいを含め、
信長の危機を振り返るとーー
信長最大の危機と言えば、
『桶狭間の戦い』と、もう一つ、
『金ヶ崎の退き口』です。
かたや大軍勢を率いて敵勢力の本拠地に向けて攻め上がり、大軍ゆえの油断から、宴会までして、万が一の時の危機対策を考えていなかった大名ーー今川義元。(桶狭間)
かたや大軍勢を率いて敵勢力の本拠地に向けて攻め上がり、油断から義弟浅井長政の裏切り合いながらも、万が一の時の危機対策、とにかく逃げる!を実行した大名ーー信長。(金ヶ崎)
逃げることは、一見武士らしくないがーー
義元が戦場で討たれてーー
体制崩壊へ向かった今川氏。
信長が戦場から真っ先に逃げてーー
体制維持に成功した織田家。
もっと詳しくいうと、当然信長は、危機対策としてそもそも敵本拠地で宴会などしない。
また実際に危機に直面した時に、すぐに逃げられるよう、常時馬に乗って移動する信長。
逃げる時も、輿に乗って逃げようとした義元。
同じ大名が似たような状況になっても、危機対策をしっかりしている者と、そうでない者の明暗がはっきりでた例ですね。
このように、常に油断せず危機対策をしっかりとっているのがーー
信長の強さの大きな要因の一つなのです。
そう、信長は自らが志しのために、危機に会うことを恐れない!
そう、もうすでに“危機への挑戦”、つまり危機対策をしっかりとっているのだから。