33『奇跡の軌跡』(信長)
織田信長の奇跡もたくさんありますが、
やはり一番有名な奇跡と言えばーー
『桶狭間の戦い』の時の状況です。
前述したこの戦国史を塗り替えた、
信長一世一代の大勝負で有名な、この桶狭間の戦いをもっと詳しく調べると、信長の奇跡の凄さが分かります!
ご存知のように、当時駿河の大大名であった今川義元が、信長の治める尾張に、三万の大軍勢で攻めてきました。
対する信長の手勢は三千ばかり。
どう考えても勝目が無いのに信長は、
味方の砦が落とされたとの報を受けるとーー
なんとさっと単騎で出陣してしまう。
「殿を一人にさせるわけにはいかない」と家臣が慌ててついてくとーー
信長は、
「小勢だからと言って大勢を恐れるな。
『勝敗の運は天にある』ということをしらぬか」
と味方に激を飛ばします。
そしてーー
山際まで軍兵を寄せられた頃、突然にわか雨が石や氷を投げつけるような勢いで、敵の方に向かって降り、味方には後ろの方から降りかかる。
沓掛の峠の下の根元に、二抱え三抱えほどの楠が、
この雨と風で東の方へ吹き倒された。
あまりの出来事に、
「このたびの戦いは、熱田大明神の神の戦いであるか」
と口々に申したことである。
やがて雨が止まり雲の切れゆく様子をご覧になって、信長公は、槍を取り大声をあげて、
「すわ、かかれ、かかれ」と仰せになった。
黒煙を立てて打ちかかる信長勢を見て、
敵は水を撒き散らした様に慌てふためいて、
今川方は、後ろへわっと崩れたった。
(『信長公記』)
こうして今川勢を打ち破り、十倍の敵を打ち破るという奇跡的大勝利をーー
信長軍はおさめたのでした。
しかも、その勝ち方がまた凄い!
信長軍が、義元の軍勢に接近する時はーー
大雨でその行動を秘匿され、
逆に信長軍が義元軍に接近し、攻撃態勢に入ったその時にーー雨風が止む。
そう、大木が倒れるほどの暴風雨が終わって、視界が開けた義元軍の前に、信長軍が突然現れーー突撃してきたのだ。
こうして突然現れた敵軍に驚いた義元軍は、まともに抵抗することもできず崩壊し、大大名の今川義元は首を取られてしまったのである。
ーーそう、
ーーそうまるで、信長が天気を操ったようにさえ感じる、まさしく奇跡の戦いなのでした。
●只今の信長・イエスの“類似率”はーー
……70%。