278『――そして伝説へ』〈織田信長〉1
大変お待たせしました!
連載再開です!
「なんだ、なんであるか!
……この体の中から沸き上がってくる力の波は……」
織田信長は、フランシスコ・ザビエルにパプテスマを施されると――
すぐさま、急ぎ一騎駆けで京都から尾張への道を突っ走っていた。
「うぉおぉぉ、これなら……
この何かわからぬが、
ザビエルとかいうカッパ坊主にパプテスマを受けてからみなぎる力――
この力をもってすれば――」
「本当に親父を救えるかもしれんぞぉ!」
天文二十年二月末――
信長は、走りに走った。
一騎駆けに尾張を目指し、馬が潰れればその足で、脚が痛めば四つん這いになってでも這い進み、一刻も早く父信秀のもとへいこうとした。
そう、父を、唯一己を認めてくれた父を救いたくてその一心であった……
「よし、このままいけば、明日中にはいけるぞ!」
三月三日、清洲城――
「信長である!只今帰ったであるぞ―――
……父、父上は大丈夫であるか?」
信長は、息を切らせながら城番の者に尋ねる。その顔には疲労と焦りの色が見える。
(木曽川のせいで……遅くなってしまった)
信長は、季節外れの木曽川の氾濫で尾張への道を阻まれ、数日足止めをくらっていたのであった。
「信秀様危篤のため……
万松寺にお体を移し、僧侶達による祈祷による治療を受けられていましたが、……」
「なに、万松寺?!」
信長は、城番の言葉を最後まで聞かず、すぐさま城に繋がれてある馬に飛び乗ると、駆け出した――
頼む、頼む、頼む……
間に合ってくれ……
せっかくカッパ坊主より、パプテスマによる力を得たというのに……
さすがに死なれてしまっては……手遅れである。
頼む……親父に逝かれたら、俺は……
涙を堪えながら、突っ走る信長はようやく善光寺の門前に到着した。
が、しかし――……




