265『なぜ織田信長は、武田信玄・上杉謙信に勝てたのか?』
○信長だけができたこと。
「人々を救うためにあるはずの仏教が、この国の戦乱の元凶となっている」
この信長少年が感じた矛盾――
つまり仏教界が期待を裏切り続けることに対する“いらだち”が、このことは本作第38話で詳細にのべたことであるが、
信長を仏教界最大の敵『第六天魔王』となることを決意させたのである。
しかし、それにしても何故信長だけが、こうまでに仏教勢力を他の大名以上に敵対視したのか、いやできたのか?
敵対すればするほど仏教武装勢力は強大な敵となり、信長の行く手をさえぎるのにである。
そうこの時代、信長のライバルといわれた上杉謙信が毘沙門天の化身と名乗り、武田信玄は天台座主と名乗り、仏教界へどっぷり漬かっている時にである。
そして実は、この仏教界への対応の違いこそが――
『戦国三信』といわれた英雄、信長・信玄・謙信の明暗を別けたのである!
この日本という国を改革するのであれば、
そう100年に及ぶ戦乱の元凶の一つ、この国を牛耳る仏教界と距離をおき、いや決別し――
これを徹底的に改革するしかないはずだ。
そう、旧体制の打破である。
何故、信玄が謙信がこの国の改革のためにできなかったことを、信長はできたのか?
結局のところ――
そう民衆の望んでいる平和な世にするための改革へ邁進したから、民衆の希望に応えた改革を命懸け成し遂げたから、
そうあのイエス・キリストのように、自らを犠牲にすることをいとわず常に先陣を切って改革へ突き進んだから、
――信長は天下を取れたのである!
――が、それは何故信長だけができたのか?
そう謙信も信玄にもなくて信長にだけあったもの……
それこそが少年時代に異教徒ザビエルと出逢った、そして学んで知ったこと――
そうこの日本の改革の為には―――
《脱仏教化》が必要不可欠なことを知っていたからであった!




