24『宗教戦争』
信長三大悪事の残りの二つ、
『比叡山の焼き討ち』
『一向一揆の皆殺し』
は、ともに対宗教団体、つまり対仏教団体との話である。
私たち現代の日本人からいうと、宗教団体というのは、非武装で布教しているお坊さんみたいなイメージだが、
当然現代でも世界を見回せば分かる通り、宗教武装勢力が各地で、自らの信仰のために戦っている。
そしてそれは、遠い外国のことではないのだ。
この日本においても、宗教武装勢力が血で血を洗う戦いをしている時代がーーあったのである。
そう、戦国時代である。
戦国時代は大名間の争いだけでなくーー
仏教勢力による戦いもまた、苛烈なものでした。
例えば『国史大辞典』によると、
天文五年(1536)年、比叡山延暦寺を中心とする勢力と、法華宗の勢力で争いが起きてーー
後に『天文法華の乱』といわれる、まさに宗教戦争のその結果、あの応仁の乱をはるかに上回る被害をもたらしたとある。
このような宗教戦争は、日本各地で巻き起こされ、
民衆たちには……
まさに“救いようのない”時代でした。
そう、信長による天下布武は、大名だけでなく宗教武装勢力をも打倒し、まさに“救いのある”国にするための戦いでした。