226『【真相】天下の儀御与奪【解明】』
――ここまで読んだ方は、その計画発動のゴーサインを信長がいつしたのか?
もう、お気付きの方もいると思いますが、
三月二六日 諏訪法花寺の信長本陣で、『信長公記』によると――
武功を立てた信忠に、信長が『天下の儀御与奪』と述べた場面です!
前述したように、この信長の言葉の通説的解釈は、
「天下の事を、余から奪い信忠に与える」
つまり、
天下人の地位を奪われる(譲り渡す)の対象は、信長であり、
天下人の地位を与えられるの対象は、嫡男信忠である。
この解釈から、信長の信忠への言葉『天下の儀御与奪』は、
信長の“天下人引退宣言”ととらえられていることが多い。
例えば――
後の天下人豊臣秀吉が親戚で後継者に任命した秀次に関白職を譲り、太閤となることで天皇をもしのぐ権威をえる『天上人』となった。
このように、信長の絶大なる権力をもって朝廷に圧力を加え、
信忠を関白職につかせ自らの天下人の地位を譲り、信長はその実父であり天下人を譲り渡したという権威者として――
この天下人の権威を上回ることで『天上人』となりて、天皇・朝廷権威を凌駕することを意図したのではないかという説もある。
そう、それこそが、信長が本能寺の変直前に、朝廷から征夷大将軍、関白、太上大臣という臣民が成れる最高位のいずれかへの就任を要請した『三職推任』を――
信長が断った理由であるとも言われている。
そう、天下人職である三職いずれかに信長本人ではなく、嫡男信忠を就任させることによって、豊臣秀吉のように、そして後の徳川家康が将軍職を実子秀頼に譲って《大御所政治》を行ったように。
――しかし、『信長による福音書』計画説だと、
この信長の言葉『天下の儀御与奪』の解釈はこうなる!
「天下人の地位を、余が自らが奪い、そして次の……
――《天下人》に与える」
そうつまり、
天下人の地位を奪われる(譲り渡す)の対象は、信長であり、
天下人の地位を与えられるの対象は、嫡男信忠ではなく――
信長の次に《天下人》になる者。
そう――
《――天下人を継ぐ者――》
という解釈になる。
この解釈から、信長の信忠への言葉『天下の儀御与奪』は、
信長の“天下人引退宣言”ではなく、
“織田家”の天下人引退宣言ということになる。
つまり、信長は武田氏討伐の成功をもって――
《――時は来たれり!》
《今や、計画の前提条件は全て満たされたであるぞ、信忠よ!》
《そう今こそ、この天下人信長による『エヴァンゲリオン(福音書)』を発動する時が来たのである!》
……何故、このような解釈を拙者が自信を持って述べられるかというと――
そう、この日の午後に行われたとされる諏訪法華寺での「対武田氏戦勝祝賀会」の酒宴において起こった《事件》こそが……
信長による『光秀殴打事件』なのだから!
――見よ!、リアルタイム執筆ながら――
何故か【第一部】の伏線の数々が、自然と見事に回収され、繋がりあって、
たった一つの【真実】へ向けて本作を誘っていく――
――そして次回、ついに……
『エヴァンゲリオン』発動!!




