20『使徒と家臣』
信長の家臣はーー
今まで代々織田家に仕えてきた譜代の家臣以下に、驚くほど様々な出自身分の者を抜擢している。
それを簡潔に表してみるとーー
○信長の家臣
羽柴秀吉……………農民
明智光秀……………老人
滝川一益……………甲賀の忍者
柴田勝家……………家老だが、一時信長を裏切り弟信勝についた。が、信長は弟の死後、それを許した。
丹羽長秀……………譜代
高山右近……………キリシタン
彌介……………………黒人。アフリカ人で元宣教師の奴隷。(『秀忠日記』)
イエスの主要な弟子ーー《使徒》たちは、その出自思想など様々で、イエスが見いだした。
○イエスの使徒
ぺトロ……………………貧しい漁師
ヤコブ……………………漁師の網元
マタイ……………………当時ローマ占領下において、ローマの徴税人だった。そのため周りの者たちからは“裏切り者”と蔑まれていた。
ユダ…………………………教団の金庫番。ローマからの独立を望む“熱心党”のメンバーともいわれる。
ーー信長とイエス、どちらも身分出自に関係なく仲間にしています。
現代では自由・平等が当たり前なのでピンとこないかもしれませんが、身分や出自での差別が当たり前だった時代においてーー
信長とイエスは、その時代のしがらみや旧習を打破し、有能な仲間たちを見いだしていったのでした。
またそれは、見いだされた者にーー
喜びを与え、その者たちの“生き甲斐”を見いだすことにもなりました。
例えば、農民秀吉が信長の配下になって、あるいは老人光秀が信長の配下になってーー大活躍したのは、
『誰もひろってくれなかったこんなこんな出自身分の自分を、見いだし登用してくれた。その気持ちに絶対応えたい!』
と、そう秀吉・光秀二人の活躍はーー
見いだしてくれた信長への喜びや感謝の気持ちが、その活躍の原動力になったことも大きかったといえる。
イエスの弟子たちーー使徒たちにもそれは言える。
布教活動に全く関係なさそうな、漁師のぺトロを弟子にしたり、
支配者ローマの手先と皆から嫌われいたマタイを弟子にしたりと、出自身分関係なく仲間にしている。
だからこそ、そのイエスへの喜びや感謝を胸に漁師ぺトロはーー
イエス死後、必死で布教活動を頑張り、ついにはキリスト教初代教皇にまでなるのでした。
ーーここまでみてくると、
かなり信長とイエスが似ていると感じている方も、出てきているのではと思います。
しかし読書諸兄はこう思う!
「生い立ちや仲間の抜擢が似ているからって、
信長とイエスはやったことが全然違う。
かたや戦争、かたや布教とーー
やってることは正反対!」とーー
●只今の信長・イエスの“類似率”はーー
……55%。
 




