クリスマスのアイテム交換
後半雑貨屋ネタだったのだけれど、タイムアウト〜
『世界樹の祝日』。宗教色を消した――いや、『異世界』の習慣に色付けしなおされたクリスマスイベント期間。
「オーナメント交換〜! 俺の赤いの!」
「かー! かぶった!」
レオが赤いオーナメントを持ち上げて見せて言えば、シンが残念がる。シンのその手にもメタリックカラーの丸いオーナメント。
ついている装飾の模様は違うのだが、オーナメントは基本6色だ。ファルが黒系、タシャが緑系、アシャが赤系、ヴァルが青銀系、ドゥルが黄色系、ルシャが白系。
イベント期間中、魔物が落とすアイテムなのだが、全色揃えて神殿に持っていくと、アイテムに交換してくれるパターンだ。今回はガラスのオーナメントに交換してくれ、割るとランダムでアイテムや装備が出るらしい。
「4月は水の水、8月は火の火か」
黒に金の装飾がされたオーナメントをぶら下げて言う私。
「あ、設定した誕生日で色が決まるでしか」
そういう菊姫は7月、薄い緑に銀の装飾。
レオはリアルの誕生日、シンは夏の8月に決めたらしい。二人とも、赤い色に金の装飾、偶数月は金、奇数月は銀の装飾のようだ。
5月は水の木、6月は木の木、7月は木の火、8月は火の火、9月は火の風、10月は風の風、11月は風の土、12月は土の土、1月は土の金、2月は金の金、3月は金の水。
「流石二垢は同じもの。僕のは緑ですね」
「わははは! 保護色!」
「アップルグリーンで装飾があるでしょ!」
お茶漬の手にあるオーナメントは、薄いグリーンに金の装飾がある。
「ちょうど二人ずつ被るとか」
黒に金の装飾のオーナメントを揺らし、ペテロが笑いを含んだ声で言う。
「炎王んとことロイのとこと、交換頼んでるから全色揃うでしょ」
お茶漬が言う。
ロイたちのクランは大人数だし、炎王のところも社交的なクルルやギルがいるので交換相手に困るということはないだうが、交換にかこつけた宴会である。
で、無事にガラスのオーナメントを手に入れ、広場で割る。薄いガラスに模様が彫られているのは共通で、金の装飾と銀の装飾のものが選べる。金からは戦闘職向け、銀からは生産職向けのアイテムがランダムで出るという説明だった。
「『蘇生薬』! あたりなのかハズレなのかわかんねぇえええ!」
シンが一個目を割って叫ぶ。
とりあえず一人あて31個は交換できたので、31回チャンスがある。ただ、何が出るのか分かっていないので、当たりが何かわからんのだが。
「わははは! なんかスカッとする!」
がしゃがしゃと続けて割るレオ。出たアイテムの確認をしている様子がない。
「きれいでしねぇ」
「ああ。ガラスというよりは薄氷だな」
ガラスのオーナメントは割れてキラキラと輝き、粒になって消える。
「ナックル出た。シン、杖か剣が出たら交換してくれ」
「おうよ!」
望みのものが出るとは限らんが、交換できる相手がいるので問題ない。オーナメントは綺麗だし、記念にいくつか取っておくかな。
「ホムラ、これあげる」
「なんだ?」
ペテロが、アイテムトレードを申し込んできた。
「忍者刀。スキル持ってるでしょ」
忍び刀のスキル、【雲夜残月】。私が初取得してしまったが、ペテロも持っているスキルだ。
「確かに持っとるが……」
ランクが高いぞこれ。
というか天津の銘なのだが。扶桑の気が乗らないと打たない、寡作な鍛冶屋だ。
「ダブったからどうぞ」
「では代わりにこれを」
トレードの画面に狐面をイン。
クズノハが作った認識阻害の狐面、それに胡蝶の飾り紐をつけた逸品。胡蝶は天津の弟子だが、気が向くと組紐を作ることがある。刀の下緒などを手がけ、こちらも作品数が少ない。
認識阻害は暗殺者用、飾り紐には知力強化。魔法を取ったのに、威力がいまいちと嘆いていたので。
「随分前に認識阻害をつけると約束したからな。ちゃんと私がつけたぞ」
面そのものの認識阻害と、魔法付与の認識阻害の二重効果。
「高いでしょ」
「ダブりました」
認識阻害が。
「認識阻害ホムラがつけてる時点で、オーナメントから出てないでしょ」
ペテロはそう言うが、もらった忍者刀もどう考えてもオーナメント産ではない気がする。




