初夢
雑貨屋の自室から起き出し、顔を洗ってさっぱりする。見た夢を忘れるように頭を振り、酒屋の三階、リビングへと向かう。こっちの時間はもう昼近い。ラピスたちの午前の依頼が長引いていなければ、全員揃っている時間だ。
「ただいま?」
「お帰りなさい」
雑貨屋からリビングへの扉を開けると、そこには美女に囲まれたレーノがいた。美女たちからラピスとノエルが抜け出して、とてとてと私に抱きついてくる。
「えーと、レーノ? ハーレム?」
「ハーレムかもしれませんが、僕のじゃないですよ?」
二人を撫でながら聞けばそんな答えが返ってくる。どこのハーレム持ってきた?
「主、お帰りなさい」
整った顔立ちの金髪美女が話しかけてくる。主?
他に美女は三人。三人とも視線を合わせてくれないのだが、白い髪の目元涼しげな美女、黒髪のスタイル抜群なのに顔は清楚系な美女。健康的な赤毛で胸のでかい、何故か額に指の跡がある……
「って、もしやガラハドか!」
額に残るアイアンクローの跡には見覚えが!!!! ちょっとおい、何があった!?
「うるせぇ! 見んな!!!」
赤毛の美女が叫んでクッションをかぶってソファに突っ伏した。横乳が素晴らしいです、いやそうじゃない。
「外見を変えれば、他の騎士に遭遇しても気づかれず、主に迷惑はおかけしないかと思いまして」
「え、いや? 外見というか性別ごと変わっているように見えるんだが?」
「カミラは性別を変えるのを嫌がりまして。……女性は化粧でだいぶ変わるので問題ないと判断しました」
にこやかに説明してくる推定カルらしき美女。
嫌がったの絶対カミラだけじゃないよな? すごい顔を背けてプルプルしているのが若干名いていたたまれないんだが。
「主も女性のほうが何かと良いかと……」
何かとってなんだ! 何かと!
「いや、あの、普通でお願いします。多少危険にさらされても、ありのままのほうがいいです」
頼むから元に戻してあげてください。
「おや、主。男のほうがよかったのですか?」
「……何か語弊を感じるが、とりあえず戻してやれ」
闘技場に『性転換薬』を取りに行かねば戻れないのだろうか。
「はい、では」
「って、なんで女から戻らないで男が増える!?」
男のカルと女のカル、男のガラハドと女のガラハド、男のイーグルと……全員二人づついる。増えた!!!
「主が良ければそれでいいんですよ」
とカルが言えば、そのまま男女が襲いかかってくる。私の服に四方から手が伸びる。脱げないはずのパンツが脱げ……。
「え? いやまて! ぎゃあああああああああ」
……と、いうところで目が覚めた。あのまま眠り続けていたら酒池肉林の十八禁な夢だったのだろうか。なんだかいい夢なのか悪夢なのか微妙な夢だった。
雑貨屋の自室から起き出し、顔を洗ってさっぱりする。見た夢を忘れるように頭を振り、酒屋の三階、リビングへと向かう。こっちの時間はもう昼近い。ラピスたちの午前の依頼が長引いていなければ、全員揃っている時間だ。
……




