異世界魔王の日常生活
赤レンガの町並み、僕たちは今セイロン領カルメという街に来ている、本来寄る予定ではなかっのだが、日用品を買うついでにと少々休息を兼ねて来てみたのだ。
カルメの街は赤の花、なんて言われるほど赤レンガの建物しかなく、活気溢れる町並みには綺麗な籠にたんまりと果物を入れている人々が行き来している、そんな街を僕達二人は少々雑談なんかしながら歩いていた
「なあなあ、あれはなんだ?」
「あれはコサンっていう果物で、すっごい甘いんだよ」
「ほう、、甘いモノはお前好きなのか?」
「僕は酸っぱいほうが好きだね」
楽しそうにあれは何だ、これは何だと訪ねてくる彼女を見ていると、すごく楽しそうで気分がいい、この世界のものはすべて目新しく映るのであろう、いくら強大な力を持っていてもその実は普通の女性であるということが改めてわかる
僕はイブリースの手を掴んで一見の店に入った、その店は衣服やだ、彼女は鎧しか持っていないということで、普段着を購入するために衣服屋に入った。
衣服屋内には腰ぐらいまでの高さの棚にいくつもの衣服が置かれて入れ、女性物から男性物まで幅広く扱っていた。
数多く並ぶ衣服をイブリースは腰をかがめて、真剣な眼差しで眺めている。
「うむ~、服か、、、どれがいいと思う?」
「僕に聞かれてもね~、ほら、性別違うし」
「私にはこの世界の常識がないんだ、おかしなのを選んでしまうかもしれないだろ」
彼女のいうことも確かにわかる、僕であれば知らない世界でその世界にあった衣服を購入できる自信はない、しかし女性の服を選ぶというのもそれに匹敵した難しさであり、僕には決めかねない事案であった
最終的に店員に見繕ってもらうという結論に至った、店員は青い髪の毛を後ろで束ねた女性で、村娘、という言葉が似合う女性であった、彼女は懐から測りを出すとイブリースを採寸して、服を何着か見繕った。
イブリースは数着から気に入ったものを店の奥で試着する、青いワンピースなど色々あったなかどれを着るのかと少々気にしながら待っていとイブリースが店の奥から出てきた。
「どうだい、似合っている?」
「うん!、すごく似合ってると思うよ!」
イブリースはワイシャツに膝までの青いスカート、そして薄い青のローブと黒のトンガリ帽子といった魔法使いの服装であった、正直なところかわいい
「しっかし、魔法使いのって言えばこの服装だけど、なんでなんだろうね」
「それは、自分が魔法使いであることを伝えるためだよ、通常魔法使いは非力だからね、鎧を纏って行動はきつい、でも普通の服を着れば何やっている人かわからない、だから衣服でわかるようにこういうそんな服を着ているんだよ」
「ほう、、ドラクリヤはなんでも知ってるね」
「褒めても何も出てこないよ?」
しかし普段から重装の彼女が魔法使いの服を着る必要なんてないのだが、、、まあそこら辺はおそらく気分であろう、彼女は物珍しいと思ったものを偉く気に入るからだ。
「それにするの?」
僕がそう言うとスカートをひらひらさせながらイブリースは答えた
「これにしようかな、着心地いいし」
イブリースの服を購入すると外へでた、赤いレンガの街を再び歩くと、少々空腹に見舞われてきた、この街に来てからまだ何も食べていない。
「イブリース、そろそろ食事にしようか」
「ああ、いいね、どこで食べる」
イブリースがそう言うと、僕は周辺を見渡した、周辺の飲食店の看板は
【季節!旬のアイス】
【美味のケーキ、セッテンバ】
【パフェ専門店、フルリッヒ】
「、、、甘いのしかない」
「そ、そうだね確かに」
街の飲食店はほぼすべてが甘い食べ物であった、偶然が理由があるのかは知らないが、ろくな食事処がない
するとイブリースが少しめんどくさそうな顔をしながら僕に一つの提案をして
きた
「めんどくさいけど、うん、作るか、、、」
「え、僕食事なんて作れないよ?」
「私が作るよ、、、」
「え、作れるんだ」
「女の甲斐性だよ」
イブリースはそう言うと、街に売っている食材をを大量に購入して、更には調理器具も購入すると街の開いているスペースで突然料理をし始めた
「ここで作るの!?、街中だよ!?」
「馬鹿だね、こんな食事処がない場所で食事を作れば売れるよ~、しかも商売特権はあんた自身だ」
彼女は勝手に僕の王としての権力を行使して商売を始めるつもりだ。
イブリースはどんどんと食事を作り、大皿に盛っていった、その種類は4種類ほどであろうか、相当な量だがちゃんと僕達が食べるように後ろの更に2つほど別に盛ってあった、現段階で相当美味しそうに見えるのと、すごくいい匂いがして人だかりになっている
「はい出来上がり!、集まった皆さん!、一杯銀貨10枚!、どうだい美味しいよ!」
イブリースの作った料理は飛ぶように売れていく、僕は後ろにおいてあった別盛の食事を食べながら、彼女の屋台の後ろで座っている、しかもこの料理が美味しいこと美味しいこと、それはもう王宮の食事より美味しい
「イブリース、これ何って言う料理なの?」
「これは右から順番に、酢豚、唐揚げ、もやし炒め、炒飯、私のいた世界の私の国の料理だ、、、いや、私の居た国でよく食べられていた料理、って言う方が正しいね、どうさね、美味しいか?」
「すっごい美味しい、これなら毎日食べたいよ」
気づけば販売用の料理はからになっていた、そしてするとイブリースは僕の隣りに座ってニコリと笑う、すごく嬉しそうな笑顔だ
「料理は女の甲斐性って言ったけど、男はなにか知ってるかい?」
「金?」
「いや料理関連」
「う~ん、わからないな、、、」
僕がそう言うと、イブリースは右手を僕の頭に乗せて撫でてきた
「美味しいって言うことだよ、そう言われると作った方は嬉しいもんだ」
「へ~、美味しかったよ、イブリース」
僕がそう言うと彼女は更に笑顔を輝かせた
「お粗末さまでした」
そんな雑談をしていると、僕達の目の前に獣の耳の生えた少年が男たちに絡まれて困っているのが目に入った
「やめるのじゃ!!、何故そんなことをするのじゃ!」
「黙れ糞ガキ、いいから金置いてけって」
この綺麗な街にはあまり似つかわしくない光景であり、絡んでる男たちの小物臭は鼻に刺さった
「やっぱああいう人っているんだね」
僕がそう言うとイブリースは隣で腹を抱えている
「ふあはははは、小物だ、小物がいる、ははは」
僕は獣耳の少年の元へ行く、別に助ける理由も特にないけれども、王として助けることに何不自然はない、絡んでいる男たちは全部で4人、どれも見ただけではどの種族からからない雑種である
「お前らやめてやりなよ、そんな少年一人に4人がかりって恥ずかしい、、、」
「ああぁ?やんのがごるぁ?」
もう小物過ぎて見てられない、男たちは僕を囲んでまるで薬でも決めてるかのような目でこちらを見ている
「このちび!」
「おかしい服だなおい」
「ははは!、こいつすげえ小せえ、正義のヒーロごっこはお家でやれ!」
「このゴミ虫~」
大の大人が一人を囲んで罵倒する姿はまさに馬鹿、その後もネチネチと僕に罵倒の言葉を浴びせる、まるで餓鬼、、、いや、最近の子供ですら囲んで悪口だけ言うなんてしょうもないことしないであろう
「お前ぜってえ小物だろ、はははは」
「おめえがいうなああああああああああああああああああああ!!!!!」
男たち罵声はそこまで堪えなかったが、この小物の見本のようなお男に小物と言われた瞬間一気に我慢に限界が来た、ついでに後ろではイブリースがケタケタ腹を抱えて笑っている、
「てめえやんのがごr」
「鬼技、飛翔拳!!」
男が何かを言おうとした瞬間に顎を下から思い切り打ち上げた、男は完全に沈黙した
「こ、この、おめえらかかr」
「鬼技畢竟、飛竜脚!」
次の男も言葉を終える前に、前歯の後ろに足を入れて思い切り蹴り上げた、この技は勝負中に口をあけている相手には有効だ、かなり使いやすい
「に、逃げろ!!」
「くそ!、滅茶苦茶強いじゃねえか!」
残り二人が逃げ出す、そうすすると彼らの足元からは植物の蔦が生えてきて逃げ道を塞いだ、イブリースの魔法であろう
「さあ、覚悟は良いな、運が良ければ死なないさ、大丈夫」
「「ま、まってくれ!!」」
「メガトンパンチ!!」
最後の止めは何の変哲もない全力の殴りで閉めた、小物たちは全員地面で寝ている、僕は乱れや服を正す、すると先ほどの少年が礼を言いに来た
「あ、ありがとうございます!、お兄さんカッコ良かったです!」
「次は絡まれないように気をつけるんだよ」
後ろからイブリースが歩いてきた、笑いすぎたのか目には涙を浮かべている、そんな笑うほど面白かったのだろうか
「いや~、絵に描いたような小物だったね」
「いうこと書いて、最後は人を小物呼ばわりっていうのはふざけてるよね」
ふと気が付くとだいぶ日が傾いていた、服を買ったり食事をしたり、そんなことをしている間に気がつけばもう夜である
「そろそろ宿を取ろうか」
「ああ、もうこんな時間か、そうだな」
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宿の中に入ると部屋の中で次の予定について少し話た
「次向かうのは、セイロン領テルカスタ、不正な武器取引を取り締まりに行くよ」
「武器取引ね~、まったく物騒だね」
イブリースは髪の毛をいじりながらベットに座っている、部屋はベットが2つ部屋にあるだけの小さな部屋で、ベットに座りながらでも十分会話のできる広さであった
「まあ、戦時中だし物騒でしょ」
「まあそうか」
「あとここの貴族もかなりの曲者らしいんだよね」
「なあに、その時はまた屋敷ごと消してやる、ははは」
部屋の中では屋敷を消す何ていう武器取引よりも物騒な会話がなされている
「さて、明日も早いしそろそろ寝るか」
「ふう、やっと鎧以外で就寝できる」
「今まで鎧で寝ていたことが驚きだよね」
こうして僕たちは明日に備えて眠りについた、明日はまた終戦に向かって仕事をする。