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異世界魔王の終活~魔王の終戦活動~  作者: ちくわ七福神
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魔王の序章と召喚活動

 人間と魔族で戦争が始まって早6年、魔族は緩やかな敗退をしておりあまり好ましくない戦況で、少しづつだが国は疲労し、経済的にも衰退を始めている状態である。そんな魔族の国の一つセイロンの王宮内では今日も怒鳴り声とペンの音が絶え間なく鳴っている


「うむ!やはり僕が戦線に出るべきではなかろうか!」

「いいわけないでしょ国王様!!!」


 僕は、魔族国セイロン4代目国王【マッド・ドラクリヤ】、種族は鬼、王室内で机の上の大量の書類にサインを書き、今の現状を考え、やはり私自身戦線へ赴くべきであると考えたが目の前にいる側近に止められた、側近の女性は赤い髪の毛で内巻きのショート、服装はスーツで表情は、、、鬼である


「いや、それでもこの状態だ、士気の低下を防ぐためにも行くべきだ!」

「ダメですって!いいから書類に目を通してください!」


 側近の女性は手を前に組んで鬼の形相をさらに強張こわばらせて怒鳴った、僕よりも遥かに鬼らしいと思った、しかし僕も諦めない、側近と僕との言い争いは続く、綺麗な装飾品の置かれた王室内にはあまりに似合わない怒鳴り合いである。


「しかし!こんなところで事務仕事していては何も変わらないだろ!」

「そうやって目の前の資料の山から目を背けないでください!!、そうやってここから逃げようとしているのは目に見えているのですよ!」

《ギク!》


 本音を言うと、現在のサインをしないといけない書類、処理しなければならない契約、他国に貸し出す貸金の設定、自国の借金の返済、机の上に積まれた頭の高さまである書類から今すぐ逃げたくてしょうがない、このままでは僕は廃人になってしまうと確信していた。


「この資料は多すぎるでしょ!!、もういやだよぅ、助けてえええええええぇぇぇぇぇぇぇ」


 僕は王とは思えない叫び声を上げて地面にヘタレ込んだ、戦争以前は短くしていた髪の毛ももはや腰まで伸びて、金色の髪の毛が相まって、これではパット見女に見えてしまう、もう(しばら)くろくに休憩も取っていないからクマも酷いであろう。


「はぁ、王、とりあえず少しお休みになってもいいですよ、30分後には再開します」


 側近の女性の情けによって僕は30分もの休息の時間をいただいた、彼女から見ても泣き叫ぶ王の姿は哀れに見えたのだろう、または見ていられなくなったのだろう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 側近の女性が王室から出ると、僕は椅子ではなく床に座って天井を見た、天井は赤く、金色の模様が描かれている、綺麗な模様なのだろうが疲れのせいで全然綺麗に見えない、薄暗い室内は今の自分の心境を表しているようであった。。


「はぁ、、、これは流石にきつい、、、」


 もう何日この部屋にいるであろうか、自分の名前、国の名前、王の肩書の名前でサインをしているうちにもうどれが自分の名前かもわからなくなってきた、机の後ろには大きな窓があるのだが光が邪魔だとカーテンを閉めてそのままにしていたせいで、もう今が昼なのかも分からない。


「あ~あ、人間も魔族も、仲良くできればいいのにな」


 思わず独り言を漏らす、しかしそう言ってもそれは難しいことで、現状維持すらままならない現状においては夢物語であった、人間も魔族ももはや普通には引けぬとこまで来てしまったのだ、戦争もはや終りが見えない。


「なにか、、なにかこの書類の山から逃げられる方法はないものかな、、、」

《バリン!!》


 顎に左手で持ったペンを当ててこの部屋からの脱出方法を考えていると、数ヶ月閉まっていた窓が外側から開いた、否、割れた。ガラスの雪が舞う中に人影が見える、王室の窓はかなり高値なものなのだがそんなことはお構い無しな感じで元気な声が聞こえてきた。


「やっほう!元気してるぅ?」


 青い髪にとんがり帽子、小柄な少女は、魔女・キッス・ザ・ダーク、黒い瞳は僕を捉えて離さない。

 僕とは少し長い付き合いで、常識がかけているのと少々意地悪なのを除けばこの国最強の魔女である、彼女は身の丈に合わない碧いローブを引きずって僕の方へ何歩か歩いてきた。


「何で窓割ったの!?ていうか『元気してる?』って元気してるわけ無いだろ!!、僕がもう何年もここで幽閉しごとしているのわかってるよね!?知ってるよね!?」

「知ってるぅ!!、後窓割ったのは気☆分、イエ~イ」

(うぜえ)

「うぜえ」


 感情と発言か完全に一致した、今すぐにでも左手に握っているペンを投げたいレベルだ、僕の表情は恐らく先ほどの側近の女性のような表情に違いない、この魔女は僕の少ない豆腐メンタルを冷奴ひややっこにして食べようとしているに違いないと思った。


「まあ、落ち着いてぇ、君がここから出られる方法があるよぅ?」

「本当か!?」


 ダークは意地悪そうに頬を上げて、カツカツと足音を立てて近づいてきた。彼女は見上げればスカートの中が見えてしまいそうなほど接近してきて僕の顔を覗き込む。


「君がランダム召喚魔法を唱えて、戦争を終結させれるほどの力を持つ召喚獣を召喚すればいいんだよ~」

「は!?」


 ランダム召喚魔法、それは異世界から一切の指定なく魔物を召喚することで強力な魔物を召喚する物だが、指定がないゆえスライムが出てきてもおかしくない運任せな方法であった


「ダーク、、、それは宝くじ買うより当たらないよ?」

「ふふぅ、私は魔族最強の魔女、君の運と希望と私の魔力、それらを掛ければそこそこの物は召喚できると思うんだよねぇ、それに、これが成功すれば君の嫌いな戦争も終わりに向かうよぅ?」

 (戦争終結、それは今の力では明らかに足りないのだ、もしこれがうまく行けば、、、)

「分かった、召喚頼むよ、僕は魔力がないから、僕に力を貸してください、お願いします」


 僕は膝をついてダークに深々と頭を下げる、彼女の話には頭を下げて頼むだけの価値と可能性があると思えたからだ。


「勿論さ、私もこの戦争はあまり長引いてほしくないしね」

 ダークは帽子を摘んで目が隠れるぐらいまで下げた、口元は優しげに緩んでいる、なんやかんや言って僕のことをいつも彼女は助けてくれる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 僕達は城の屋上に出た、空には星が散りばめられていて、2つの月は僕達を照らしていた、屋上は広く、幅は100mはあるのではないだろうか、僕たちはその屋上の丁度真ん中あたりにいる。


「じゃあ行くよぅ、出てきた魔物が襲いかかってきても決して逃げちゃいけないよぅ」


 ダークは杖を床に差し込んでその周りに魔法陣を描いていく、羽ペンはインクもつけていないのに魔法陣を描き、その魔法陣は薄緑色に光っている。


「逃げはしないさ、大丈夫、問題ない」


 ダークが魔法陣を描き終えると、目の前の床が真っ黒になり、次第に門のような形になった、後は彼女が詠唱を終えれば門が開き、異世界から誰かがやって来る。


「その榮光を天におきたまへり、天を観なんぢの設けたまへる月と星とをみるになんぢの名は地にあまねくして尊きかな」


 地面からは女性が出てきた、赤い髪は腰まで伸びて、黒い鎧は露出は少ないが胸部だけ露出をしていて、少々目のやり場に困る感じであり、その容姿は非常に美しいものであって、背は僕よりは高くスラっとしている、まあ僕の身長は155cmと高くはないのだが、、、


「あああ、ダメかぁ、人型じゃぁ意味無いじゃんぅ」


 ダークはがっかりしながら箒にまたがり帰ってしまった、彼女は本当に無責任で困る、、、でも僕には彼女がそんなに弱いように見えなかった、むしろ、、、


「なんだろう、彼女恐らく、、、強いよね」


 鎧の女性はこちらに目を向けてきた、赤い瞳は今にも溶けて落ちてしまいそうだ、彼女はこちらを見た後月を眺めて呆然としている、赤い髪はゆらゆらと揺れて、黒い鎧は怪しげに光る


「ここは、、何処だ?」


 鎧の女性が口を開く、ずしりと響くようなオーラは城を押しつぶしてしまいそうだ


「僕が君をここへ召喚したんだ!、どうしても力が足りなくて、君の力を貸して欲しい!!」

「う~ん、もしやこれは異世界か、、、」


 鎧の女性は少し現状を飲み込んだようだ、しかしまだ困惑していて少し目が泳いでいる


「そ、そうだ、ここは異世界なんだ、突然呼び出して悪かった!!、でも」


 鎧の女性は突然楽しそうに笑った。目を輝かせて体を揺らし、手を後ろで組みながら高らかに笑った。


「ふはあははははははは、なるほど、そうか、これは良い!突然異世界に行けるなんて小説の話だと思っていた、しかもゲームキャラ!」

「そ、その、力になってくれる、、のかな?」


 鎧の女性はこちらへ近づいてきた、赤い瞳は僕を溶かしてしまいそうだった、彼女は僕の元まで来ると前かがみになって僕の顔の高さまで顔を下ろした。


「ええ、いいでしょう、私は異世界の魔王、イブリース、君の願いを叶えてあげよう」


 イブリースは笑顔で僕の願いを聞いてくれた、先ほどの高ぶりとは違い冷静な笑顔である、彼女の話が本当であれば,僕は異世界の魔王を召喚したということになる、そうであればすごい事で、終戦へ迎えるのではと僕の胸は期待で一杯になった。


「魔王さま!!!!」


下から側近がやってきた、表情はかなりこわばっている


「どうしました?」

「人間の飛龍兵多数が城に向かって奇襲しに来ました!!!、今すぐお逃げください!」


 どうやって前線から突破してきたのか、城には現在航空飛龍兵が攻めてきている、しかしここで引くわけには行かない、僕は期待を込めてイブリースに支持を出した。


「イブリース、早速だが頼めないかな?」


 イブリースは空を見上げる、黒い鎧は月の光を飲みこんでいるようだった。


「是非もなし、空に浮いている者を撃ち落とせばいいんだね」


 側近が僕をの方に駆けてきた、顔は冷や汗が滴っている、こんなにも心配してくれる部下がいることが少しだけ誇らしくなった。


「王!早くお逃げを!、と言うかそこの女性は何者ですか!?」

「大丈夫、僕は逃げないよ、さあ!頼むよイブリース!!」


 イブリースは右手手を空に上げて術式を唱えた、赤い髪の毛は重力に反してふわりと上がって、足元は赤色に輝いてイブリースを照らしている。


explosionエクスプロージョン


 空中には赤い術式が浮かび上がり、目標に向かって光を放ち、光は獣のように飛龍兵を飲み込んだ

《パン、、、、ズドン!!!!!!!!!!!!!!》

 彼女の魔法は空の色を一瞬変えて、雲を吹き飛ばす威力であり飛龍兵は一気に消失する、その威力の凄まじさを伝えるかのような爆音は夜の街に響いて伝わった。

 無属性最上級爆裂魔法explosionエクスプロージョン、これをほぼ無詠唱で唱える彼女はまるで軍神であり、明らかに戦争終結のための切り札としては完璧なものであることは明白であった、それゆえ僕は思わず興奮した。


「はは、すごいや!、これなら戦争を終わらせられる、ね、側近さん」


 側近は腰を抜かして地面に座り込み、苦笑いを浮かべている、突如大魔法をほぼ無詠唱で撃つ女性の姿はかなり驚いたのであろう。


「、、、はぁ、ダーク様の入れ知恵ですか、分かりました、王はこれより戦争終結のため戦闘への参加を確認します、書類等は私がやっておきますよ」


 へたり込んでいる側近さんをよそ目に僕はイブリースの手を引いて確認をとった、イブリースの手は少しヒヤリとしていた


「この世界はね、いま人間と魔族が戦争しているんだ、僕は今から戦争を終わらせに行く、きっと何人も殺すことになるし、危険な目にも合うだろう、時には仲間ができたり死んだりするだろう、それでも僕は一刻も早くこの戦争を終わらせて平和を作りたいんだ、その平和な世界を掴みに行くけど、君も一緒に来てくれるかな?」


 イブリースはに口元を上げて、僕の目をしっかりと見つめた、あまりにその顔は綺麗で少しドキドキしてしまう。


「是非もなし、私は最強の魔王イブリースだ、お前の願いを叶えてやろう」


《ゴーン、ゴーン》

 城の屋上の時計の鐘がなった、時計の針が進むように、戦争終結に物語もまた針を勧める


「ありがとう、イブリース」


 僕が笑顔でそう言うとイブリースは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。


「そう何度も言うな、恥ずかしいだろ」


 そんな反応をされると僕も少し恥ずかしい気持ちになったけれども、それ以上に嬉しさと希望でニヤつきが止まらない。


「なんどでも言うよ!ありがとう」


 こうして僕たちは、この戦争を終わらせるために行動を開始した、屋上から見える町並みは王室内でみた天井のようにぼやけてはいなく、すごく綺麗に見た。


更新速度は不定期(2話目はすぐに上げます、基本は週に1回以上上げれれば良いなと思っています)

この話で楽しんでいただけたり、笑っていただければ作者としては嬉しい限りです。

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