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好き避け、好き酒、スキサケ

 朝、電車に乗っていたらスマートフォンで漫画を読んでいる青年が座席シートに座っていた。大学生だろうか。


 しばらくして、漫画に飽きたのだろう。


 スマートフォンを、抱え持っていたリュックサックの中にしまった。


 そして、次の瞬間。彼は、窓に思いっきり頭をくっつけて寝始めた。


 すやすやと眠る彼の表情からは幸せそうな気配が漂う。


 3駅くらい通り過ぎた頃だろうか。


 彼は、突然目をさます。


 頭を起こし、リュック中身を漁る。そして、取り出したのはみんな大好きスマートフォン。


 今度は、ものすごい前傾姿勢でスマホの液晶画面を見始めた。目の間でつり革につかまっている僕。


 彼のフサフサな髪の毛が生えた頭が、僕の大事なイチモツに接近したため、おもむろに腰を少しだけ引いて避けた。


 前傾姿勢になった彼であったが、窓ガラスには彼の頭皮から出たであろう脂がくっきりと残っていた。ああ、汚い。

 

 電車の中は本当に面白いですよね。毎朝、思います。



 

 最近、よく「好き避け」という言葉をパソコンで検索をする。


 好き避けを検索して小説家になろうのこの駄文エッセイにヒットしてしまったそこのあなた。


 他のページに内容は載っているはずなので、お戻りください(ごめんなさい)。


 話は戻るのだけれど、どうやら「好きだけど避ける」行動のことを「好き避け」というらしい。「好き酒」ではないようだ。


 また、この行動は男の子よりも女の子のほうが多い傾向にあるらしい。


 そこで、僕は腑に落ちたことがある。

 

 よくフィクションの映画などで、愛する恋人との別れ話のもつれで恋人を殺してしまう人の気持ちについて。



 好きがゆえに殺してしまう。


 好きがゆえに避けてしまう。


 ああ似ている。


 いっそ誰かのものになってしまうのならば、自分の中で留めておきたいという感情なのだろう。


 「避けている」本人は辛いと思う。


 自分に自身がないから。


 好きな人に嫌われたくないから。


 遠ざけて。遠ざけて。あわよくば嫌ってほしい。そうすれば、私はあなたのことを諦められるから。



 ただ、面白いことに、その「避けているあなた」があなたを大好きだった場合はどうなるんだ。


 彼女のことが大好きだ。


 かわいらしいことを言うとこが。


 少しだけ強がりを言うとこが。


 なんかよくわからないけど、全部好きだ。



 でも、なぜかときどき嫌いになってほしいかのような態度をとる。


 しゃべっただけで、怒る。


 気があるようなふりをして、気持ちがバレるのが嫌なのか、しばらくして嫌いかのような態度をとる。


 結果として、会うたびに性格が変わる。何人いるんだ、君は。と思う。しゃべっている内容が支離滅裂になっていることに気づいているのだろうか。


 

 好きと言えない自分が悪いのか。


 好きと言わせない彼女が悪いのか。


 

 今度会ったら、無言で彼女の顔を見続けてみるのも面白いかもしれない。どんな反応をするのだろうか。


 この物語が、ただただハッピーエンドで終わることを願うばかりである。

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