†作戦策略大作戦 前編
あの事件から3ヶ月、光咲達は高等部へと進んでいた。
入学式も済み。外部生とも入り交じり高校生活が始まった。
クラス分けだがこれも腐れ縁か、4人とも同じクラスになった。
光咲LOVEな、3人は日々光咲の隣を凌ぎを削って争っている。
光咲が美咲と本当の兄妹では無いと知った2人は、今まで以上にアタックをしている美咲を見てたきつけられていた。
今では、クラスの名物に成りつつある代物だ。
情報面で、色々調べてはいるがあまり重要な情報には辿り着けていない。
琴浜、優子、晴夜の3人には、企業間での情報収拾。
美咲は、そこから取って来た情報で怪しい人物に目星を付けてハッキングを繰り返した。
光咲は、とにかく『オリジナル』を自在に使えるように特訓をしていた。
覚醒のとき使えて以来まだ、一度も『オリジナル』としての力を使えていなかったからだ。
健三の持っていた【MOTHER】に勝つにはやはり『オリジナル』の力か同等の力を手に入れておく必要があるたかだ。
♪♪キーンコーンカーンコーン♪♪
ここは、私立仁美大学附属高等学校。
8時25分、朝のHRが始まる時間。担任は来ていない。
1年A組の担任 藤塚 亜由は、今までこのチャイムと同時にHRを始められたためしが無い事は、この3ヶ月間毎度のことだ。
「あゆちゃんが今日も遅いのでHRを始めます。」 と学級委員長が始めると
ちょ〜〜っと待った〜!! 全員 またか〜。と思いつつ廊下のほうを見た。
叫びながら入って来たのはこのクラスの担任 藤塚だった。
「ごっめ〜ん。遅刻しかけでバイクとばしてたら、校門で教頭に止められててつい。…ねッ、だから今日はセーフね。」
息を荒げながら、見苦しい言い訳を言っている。
「っま。遅れても別にどうでも良いんだけどね。はい、HR始めるわよ。起立」
この人、最悪だ…。
と思うのは、何回目かと数えるのもめんどくさいくらいの常習犯だ。
こんな事を毎日繰り返している彼らにとっての日常茶飯事は、嵐のように過ぎていく。
「いや〜、毎度の事ながらあゆちゃんも成長せえへんな。」
光咲は、隣の席の外部生に話しかけていた。
「そうだな、あゆちゃんももう少ししっかり者になったら結婚できるのにね」
と光咲と会話しているのは、高等部から入って来た外部生 峯 祠園だ。
「ほんまや、三十路にもなってだらし無い…。だから、結婚でけへんねん。」
「そうそう。まるで、未来の優子さん見てるみたいだね。」
「ほぅ、私が何だって?」
祠園の後ろからからだを乗り出す優子。
「おはよう、祠園君!!」 「ご挨拶は、二度目じゃありませんか?」
眉を震わす優子に、恐い物無しなのか間違いを正す祠園。
優子は一瞬言葉に詰まりながら返した。
「べっ別に二度目でもいいじゃない!!」
(優子が押されてるな。めずらし。暇やし今日も寝て過ごすか。)
と優子が祠園に押され気味の中、寝ようと体をかがめる光咲。
そんな日常を何回も繰り返し繰り返ししている。
何も変わらない日常。
あの日から何度も見たあの夢。
他の実験体が人体実験をされた後、頭を抱え野垂れ打ち回る姿や頭を抱え目や鼻・耳やありとあらゆる所から噴き出す鮮血の様子。
そして、自分に助けを求める少女の姿を……。
(また、この夢か…。)
「光咲君!!当たってるよ!!起きて!」
「…んあぁ。おはよう、琴浜。今、何時間目?何の授業してるん?」
寝ぼけながら琴浜に聞き返す光咲に後から、
「今は、4時間目であゆちゃんの授業だ!!お前は何時間寝てるんだ!!もう少し起きて授業を受けろ!」
「あ〜、俺4時間も寝てたん?我ながら、アッパレ!サンキュー、優子。
先生、寝てて聞いてませんでした!どうしましょ」
それを聞いた藤塚先生ことあゆちゃんは、
「あぁ、良いって良いって!いっぺん死んでみるか?いまやったら、あたしが殺ったるから。…な。」
藤塚先生は、不気味に笑みを浮かべ光咲の元へ歩いてくる。
「わッ!?すみません!!許して下さいまし!!」
「ほぅ〜、この状況でもあんたはあたしに喧嘩を売るのね?」
光咲の胸倉につかみ掛かろうと手を延ばした瞬間、
♪♪キーンコーンカーンコーン♪♪
ッチ!!
「それじゃ、今日はここまで!馬鹿のせいで時間を無駄にしてしまってテスト範囲まで行け無かったけど頑張ってね〜!」
「マジで!?」
「マジで!んじゃ、終礼で!」
藤塚が教室を出た後のみんなの視線が恐い。
「っじゃ!!俺はこれで」 光咲は、ダッシュで教室から脱兎した。
そのあとを、3人が追っていった。
「あいつ、馬鹿だな」
「あぁ、本当は範囲なんかとっくに終わっているのにな。」
「絶対、気付いてないぜ」
と教室で固まって笑いながら話している生徒達。
「どこまで逃げてんのよ!!屋上まで来て!!」
「ごめんなさい…」
「光咲君、大丈夫ですよ。ちゃんと、範囲は終わってますから。」
「そうですよ、兄さん。だから、何時までもいじけてないでお昼にしましょ。」
隅っこでいじけている光咲を励ます琴浜と美咲。
「お前が悪い。寝てなかったら昼飯を教室で食べれたのに。」
追い打ちをかける祠園。
「すんません。今度からは、心を入れ替えて頑張ります。」
こんなひと時が終わり、5時間目に入った。
グガーグガー!!
いびきを立てながら寝ている少年。
(何が心を入れ替えて頑張ります…よ)
(兄さん……。)
(光咲君ったら、また)
(こいつは、筋金入りの馬鹿だな。)
さっきより酷い音を立てながら寝ている光咲。
みんな、呆れながら見ていた。
♪♪キーンコーンカーンコーン♪♪
(ッア!いっけねぇ。心を入れ替えるつもりが……5時間目全部寝てしまってた。)
次の授業の準備を始める光咲を見て後から優子が
「あんた何してんの? もう、終礼よ。」
………っえ?
「はいは〜い。終礼始めるぞ。光咲早く座れ〜」
藤塚が教室にプリントを持って入って来て配り終える。
「はい、このプリントにテスト範囲書いてあるので見ておくように。それと、今から呼ぶもの放課後に大学本部棟にある『理事長室』に行くように!
霧島、秋野、安藤兄妹以上4人はちゃんと行くように。
連絡は、以上。それじゃ、起立・礼。んじゃな、ちゃんと行けよ。」
藤塚は、教室を後にした。
「ん?俺ら何か悪い事したっけ?」
不思議に思い考える光咲
「光咲は、知ら無けど。私は、してないわ!」
「わからんなぁ。でも、まぁ行ってみるか。」
「そうですね。」
4人は、訳が解らないがとりあえず、理事長室に向かうことに…
少子化の波に押されている現在に中・高・大学が一貫になっているのは、後ここだけである。
目的地は、そこの大学本部棟にある『理事長室』である。
コンコンコン♪
「失礼します。高等部1年A組 霧島 優子です。」
「あぁ、入っていいよ。」
声があり、中に入るとそこには30台前半くらいの若い男性が椅子に座って待っていました。
仁美グループ創設者であり初代理事長 仁美 勝義の孫。
若干24歳にして仁美グループと学園をまとまるトップの存在。
仁美 夏樹その人である。
「いや〜、すまないね。放課後にこんなところまで呼び出して。」
「いえ、そんな。」
と軽く会釈する優子、
「ほんまっすよ!今日は、帰って早くベッドインしようと思ってたのに。」
ふざけた事を抜かしているのは、やっぱり光咲である。
「すみません!!兄が失礼なことを。」
「良いんですよ、別に。それでは本題に入りましょうか…………」
理事長との話が終わり家に帰宅しようと光咲達は、校内を歩いている。
「まさかあんな事頼まれるとはな〜。おまえらは、大丈夫なんか?」
「まぁ、大丈夫かな」
「私もOKだよ」
「今更だな」
光咲の質問に3人とも即答だった。
「それじゃ、改めて日時とか決めたらメール送るわ。一応呼ばれてなかった晴夜にも送っとくわ。」
「わかったわ」
「了解です!」
などと話しながら校門まで着いた。
「んじゃな!!また、メール送っとくから。」
言って光咲は、すたすたと美咲をほって歩き出していた。
「ッア!さようなら! ちょっと待ってよ!!お兄ちゃん!」
「おう、じゃあな!!」
「さようなら」
追い掛ける美咲を見送りながら2人は、学校の方に戻っていった。
「ッタク!!あんたは、何考えてんだ?」
さっきまで使われていた部屋から声が漏れる。
「優子さん、『あんた』はやめて下さいと何回も言ってるじゃ無いですか〜。私、一応【GLANCE】の『隊長』で優子さんの上司ですよ。もう少し、言い方というものが……。」
「五月蝿い!!若ハゲ」
世界のTOP10の10人が所属している部隊【GLANCE】は、仁美グループが資金提供している部隊の一つだ。
彼らの素性は、知られているが【GLANCE】のTOP。
つまり、リーダーを勤めている人物についてだけは素性が割れていない。
それもそうである。
【GLANCE】のTOP=世界の電子界のTOPも同然である。
しかも、その人が世界を牛耳る3大会社の一つ『仁美グループ』の会長ともなれば『裏』から『表』まで情報操作やり放題である。
そんな人物を優子は、怒り立てていた。
「ごめん!悪かったって!だから、許してくれ!俺はただ、光咲君がどんな人物か琴浜から聞いて気になっただけなのに……。」
「ちょっと待って!?琴浜、あんたって仁美グループに就いてたの!?」
少し俯きながら頷いて見せる。
「あんた、やめといた方がいいわよ!こんな、変態の所なんか。」
「ほっとけ!それより、わかってるな。今回の任務は、『オリジナルを守っちゃお〜大作戦』だぞ。せいぜい、努力しろよ。んじゃ、解散」
一通り言いたいことだけを言い終えると逃げるようにそそくさと部屋を後にした。
その様子を見ながら呆れ疲れた優子が帰ろうと進みだし、琴浜も後に付いて行った。
From:光咲
to:琴浜、優子、晴夜
sub:理事長からの依頼
先週から急に幽霊が勝手に出没しているらしい。
理事長が言うには悪戯らしいねんけど。
美咲は、【MOTHER】が近くにあって暴走してるんからかも知れへんねんて。
まあ、一応調査を理事長から頼まれたから行こうと思うねんけど。
【MOTHER】やったら当たり!ただの悪戯らやったらハズレ!
集合時間は、明日21時ジャスト。場所は、高等部校舎正門。
以上、連絡終わり。
「っよし!送信っと。」
送信し終えると光咲は、晩御飯の手伝いへ向かった。
♪♪♪♪♪♪
光咲の【COREs】が鳴った。
From:琴浜
to:光咲
sub:Re.理事長から…
OKです。わかりました。今回も楽しみにしていますね♪じゃ、おやすみなさい
From:優子
to:光咲
sub:Re.理事長から…
わかった。前回みたいに遅れるなよ! じゃあな!
From:晴夜
to:光咲
sub:Re.理事長から…
先輩、すみません。俺、今回抜けさせてもらいます。
会社の経営会議に出ないといけないので…。
本当にすみません。
「そうか、晴夜以外二人ともOKみたいやぞ。」
「そうですか。本当に私たちだけで大丈夫なんでしょうか……。」
と晩御飯を作り終え、皿に盛り付けながら美咲が話す。
「そうだよな、流石に 【GLANCE】に所属してるからっていっても…。まだ、俺もあいつらも子供やからな」
と話しながら、遅くなった晩御飯を机に並べるのを手伝う光咲。
「っま!その話は、置いといて!いっただっきま〜す」
「はい、いただきます。」
遅い晩御飯を食べる、安藤家。
そして夜は、いつもの様に更けていった。




