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†世界の車窓から[中国]

 「みなさ〜ん!こっちで〜す!」

 と黄色い旗を振りながら晴夜が立っていた。

 「おお、お待たせ。」

 「お待たせしました。お仕事お疲れ様です。晴夜君」

 「お久しぶりです。」


 光咲と美咲、祠園が日本からの便の出口から荷物を持ちながら走ってくる。

 ちょうど、反対側。ロシアからの便の出口から出てくる琴浜と優子。


 「お待たせしました。みなさん。お久しぶりです。」

 「久しぶり〜。元気してた?特に光咲。宿題終わった?」

 「な、なんとか・・・」


 ここは、上海国際空港出口方面エレベーター前。




 下請旅行会社にいった後すぐに社長としての仕事で広東省まで来ていた晴夜は、みんなを中国で合流し。

 優子と琴浜はデパートの帰り別れた後、【GLANCE】として人には言えない所へお仕事にいっていた。

 光咲・美咲ペアは、家で宿題を済ましてた。光咲は、宿題の多さと自室のクーラーにバグがついて壊れた事によって、頭がオーバーヒート寸前。美咲は、2人きりという状況に嬉しさで胸がいっぱいだった。

 その間、祠園は

 グガアーー!

 グガアーー!

 いびきをかきながら寝ていた。

 そして、旅行初日。

 いろいろな休みを過ごし終えた面々は、飛行機にのり中国に集結した。



 「それじゃ、皆さん。この空港から出ている列車【椿】に乗りますよ〜。1車輌目の101〜103までの3部屋を借りました。チケットの番号の上3桁が部屋番です。さぁ、好きなのを選んでください。」

 と今回の旅のチケットをヒラヒラと見せる。


 「んじゃ、俺はこれにしよット!」

 「僕は、これを貰うよ。」

 一番左とその隣のチケットが抜かれ、女3人組が覗き込む。

 102Aー2509

 これが光咲の番号。 という事は、光咲は102号室に決定。


 それを知った女の子達は、目をギラつかせている。

 「正々堂々とジャンケンで取る順番を決めましょうか。琴ちゃん。優子さん。」

 「良いですよ。」

 と、琴浜が乗り気で勝負に乗った。が、

 「私は、いいや。パス。」

 と、珍しいことに優子がチケット争奪合戦に参加しないというのだ。

 (珍しい事もあるものですね。)

 (私としては、万々歳ですけど。)

 と心の中で黒い思いが巡る。


 「じゃぁ、ジャンケンしましょうか!」


 ジャンケン。。。


 (馬鹿ね、気付かないのかしら。琴浜と美咲は。晴夜も入れて4人なのにチケットが私達の分の3枚しか無いって事に。ようするに、これは晴夜からのトラップ。私達の誰かが光咲と一緒になれば、危ない事に成るとでも思ったんでしょうね。でも、残念。お姉さん、気付いちゃったの。)

 「晴夜、あんたチケット持ってんでしょ。私に渡しなさい。」

 「ェッ、姉ちゃん?俺のなんかで良いの!?それじゃ、ハイ!!」

 みんなに気付かれないように近付いて行った優子は、晴夜にチケットの引き渡しを命じた。

 晴夜は晴夜で、何故姉がチケットの引き渡しに来たのか解らなかった。


 ぽん!!


 グーとチョキ。 勝ったのは、琴浜だった。

 「やったぁ!!勝ちました!それじゃぁ〜、コレ!」

 美咲が落ち込んでいる間に、勢いよくチケットを取った。

 103Aー1538

 ・・・・・・え? 「嘘です!!何故〜!」

 「ふっふっふっ!!兄さんとの相部屋は貰った!!」

 103Aー2468

 ・・・・・・え?

 「う、嘘です〜!」

 2人は、旅行前から燃え尽きた。



 101Aー3314

 「なんで、光咲と同じ部屋じゃ無いのよ!!」

 優子は、怒っていた。 晴夜から巻き上げたチケットがお目当てのチケットでは無かったからだ。

 「だって、俺が取ると姉ちゃんが怒ると思って・・・ガクッ」

 なんで、こんな時に余計な気を回すのよ。ったく!!


 「う、嘘です〜!」


 え?もしかして、2人とも光咲とは違う部屋だったの!?だったら後1枚が・・・。

 ゴクリ。

 喉を鳴らし最後のチケットをとる。

 101Aー1476

 ・・・・・・へ?

 「嘘だー!!」




 「光咲、荷物入れ終わった?」

 「おう!それにしても、後の奴ら遅いなぁ。何やってんねん!!102号室は、さっさと荷物も入れ終わったのによぉ!!」

 今回の事の中心人物は、自覚が無いままみんなを待っていた。



 今回の被害報告。

 チケット争奪戦によるショック者 琴浜、美咲、優子。

 暴力による被害者 晴夜。

 以上4名。




 はぁ〜〜〜〜。

 荷物を一度部屋に入れ終えて今、6人は上海に繰り出していた。



 上海は、今。21世紀初頭、『滝宮』が自動環境制御装置を発明する少し前。地球温暖化による海面上昇によって、世界各地が沈んでいく現象にさらされていた。ベトナム、フィリピンに次ぐ海岸線の都市部が地球温暖化海面上昇現象で日本海、シナ海に沈んでいった。

 上海もそのうちの一つだった。世界最大の人口、合衆国に引けを取らない経済力。それを支えている中国都市『上海』『北京』が、沈むとなっては中国政府だけでは無く世界が立ち上がって政策に取り組んだ。

 結果、中国の河川の氾濫は食い止められなかったが。『上海』『北京』の存在が保たれた。日本の様に孤島化として。



 「まあまあ、そう落ち込まずに。ね?・・・凄いじゃない!!上海!」

 「そうやそうや!!・・・暗すぎるぞ、おまえら。・・・あ、おじさん!団子3つ!」

 沈む前から並んでいた露店業は、伝統として引き継がれていた。


 はいよ〜!!・・・ハイ、お待ち。金は、【COREs】から引いとくからよ。まいどあり〜。


 【COREs】によって国々の通貨変換は、簡略化され言語も変換されていた。


 「それにしても、急成長しただけあって古いデータが流れていてまだ完全に整備し切れていないね。」

 周りを見渡す祠園。

 「そうですね。先進国の割にまだコレだけ整備されていないと・・・心配ですね。」

 「そうね。一応、私達【GLANCE】も何回か来てるけど全然改善されて無いみたいね。」

 晴夜、琴浜、優子の3人は、仕事の顔をしている。


 祠園と美咲は、3人が何を言っているか分かっているみたいだ。が光咲は、団子を食べながら『??』を頭に出している。


 「何の話してんのや?」

 光咲が聞くと

 「ちょっと待ってて!」

 と優子から返事が返って来た。



 PiPiPiPiPiPi♪


 電子音が【COREs】から響いた。 「仕方が無いわね。今は、非番中だけど手伝ってあげますか。」

 「そうですね。穗灣君ホワンだけじゃ、大変そうですしね。」

 そう言うと優子と琴波は、晴夜を見る。

 「ちょいと、お待ちを。」

 【COREs】を操作しながらほんの数秒。空間【REAL】に現れたのは、グローブと2丁の銃器だった。


 キュッ!


 と両手にグローブを嵌める優子。


 ガチャ!


 弾を装填完了し終え、古いデータの方へ向く琴浜。



 「何なんやあれ!?何かあそこの映像がブレとる。いや、ブレてるんと違うな。あれって、ズレていってるんか!?んな、あほな!!」

 「いえいえ、マジなんですよこれが。」

 と後ろから声が返って来たことに驚き、後ろを振り返った。

 そこには、20歳前後の男性が立っていた。

 「あっ、穗灣君!!お疲れ様〜。私達がやっちゃうけど良いよね?」

 琴浜は、穗灣とよばれる【GLANCE】の男性を見つけ了承を求める。

 「いいですよ〜!!」

 何とも気の抜ける声で返事を返す穗灣。


 了承を得ると行動は、早かった。


 映像のズレた黒い部分からウイルスが【REAL】に出て来ようとする。

 が、


 バン!!バン!!バン!!


 銃声が唸る。だが、火薬の匂いはしない。音の方へ目を向ける。

 琴浜だ。

 琴浜の銃撃によって【REAL】に出現するウイルスを一掃していく。

 しかし、ムラがあるのか取りこぼしがある。

 「琴浜、後ろに零れて来てるわよ!!っと」

 零れてくるウイルスをグローブでめった打ちにする優子。

 「晴夜、飽きたから。次キャノンね。」

 「はいはい」

 言って何が出て来るのかと思えば、優子のつけていたグローブが分解されそこから再構築が始まった。

 「はいよっと、完成!」

 そこから出来たのは、まさにキャノン砲と呼ぶに相応しい代物が。

 「対ウイルス用キャノン砲ってとこね!よっしゃ!!琴浜どいて、今からこいつぶっ放すから。その間に晴夜と空間を治しておいて。」

 「了解」

 キャノン砲のチャージが始まる。

 チャージ中に何匹か【REAL】に出て来たが、無視だ。

 チャージが完了し、

 「発射ー!!!!」

 発射した。

 キャノン砲から発射された弾丸は、黒い部分へ飛び込んでいく。

 閃光が見えたあと、ウイルスは出てこなかった。

 第2撃、さっき零した方へ狙いを定めていたが。

 バン!!バン!!バン!!

 「優子さんは、いつも荒療治なんですから!!サポートも必要ですよね!」

 それよりも早く撃ち抜き全てを滅する琴浜。同時に

 「こっちは、任務完了っすよ!!」

 晴夜が叫ぶ。


 ぱちぱちぱち


 3人は、後ろを振り向く。

 「お見事。お疲れさん、みんな。」

 そこにいたのは、仁美 夏樹その人である。


 「あれ?どうして仁美理事長がここにいるんですか?」

 光咲は、疑問を持つ。


 あれ?

 と言わんばかりの顔をして頭をかく夏樹。

 「もしかして、まだ言って無かった?」

 小声で隣にいた晴夜に確認してみる。

 「そのもしかしてッスね。」

 あちゃ〜。


夏樹は、やってしまったとばかりに頭を抱えている。自分の素性が割れるのは、別に悩めることではない。

 ただ、・・・優子が怖いだけだ。

 夏樹は、優子の方をゆっくりと確認する。

 しかし、優子は別のことで考え込んでいた。



 上海の商店街を練り歩いている光咲一行。

 「で、何で着いて来てるんすか?」

 後から着けてくる夏樹と穂灣に聞く晴夜。

 「いやぁね。今回の旅行の行き先の事なんだけど。どうも、怪しい動きがあるんだよ。だ・か・ら、僕たちが陰ながら力を貸させてもらうよ。」

 「そうなんですよ。」

 とさっきの服装とは違い今度は、『変装』をしている。

 「わかりました。でも、さりげなくッスよ。」

 「「ハーイ!」」

 (解ってるんですか?)


 「おい、美咲。これ旨いぞ!!食ってみろよ。」

 と光咲は、美咲の口へと露店で買った海老焼売を食べさせてやった。

 美咲、他2名共に目を真ん丸く見開いていた。

 「え、美味しいですね。ええ、とっても。」

 「やろ!!やっぱりな。」

 ・・・え?


 「兄さん、これ食べました?」

 「いや!!まだやけど?」

 そう言い終わると光咲の顔が左へと飛んで行った。言うまでもなく美咲だ。

 琴浜と優子もやられて当たり前だと頷きながら見物していた。



 「夏樹どうだい?」

 「ああ、美味しいよ。穂灣も食べてみてはどうです?」

 と後ろを歩く2人も露店の物を買い和やかに食べていた。

 (はぁ、本当に何しに来たんだよ。)

 晴夜は、1人後ろを見ながら考えていた。



 その後、上海街をぐるっと廻り現在最高の高さを誇る『上海タワー』に上った後列車へと戻った。



 ガタンガタン


 一定の音が一定の間隔で鳴り続いている。

 列車は遅れなく発車し今、万里の長城を横に走っていた。


 −101号室−


 「ブハァ〜!疲れた。」

 晴夜は、荷物持ちとして持ってきた物を部屋に散らかしながらベットへダイブした。優子は、晴夜を叱る事なく無口のままだ。

 「なぁ、姉ちゃん。何をそんなに考え込んでるん?ウイルスをデリートしてから様子、おかしくない?」

 言い終わると優子は、思い立ったように立ち上がり優子もベットへダイブしたその時。


 Trrrrrr♪


 −102号室−


 「いやぁ、危なかった。まさか、発車の時間を間違えるとわ・・・。」

 「そうだね〜。それに、ウイルスの事とか色々大変だったし。」

 いや、俺はその後の買い物の方が・・・。 と祠園のほわ〜んとした顔に光咲は頭を悩ましていた。

 「そういえば、まだウイルスの事についてよぅ知らんかったな。逸ちょ聞いてみるか!」

 光咲は、【COREs】を使い連絡を入れる。



 −103号室−


 「・・・ちょっとやり過ぎましたね。」

 「・・・そ、そうですね。ここは、兄さんの事は一時休戦として一緒にシャワーでも浴びませんか?」

 「そうですね。っていうか、美咲ちゃん。」 急に真剣な顔になる琴浜につられて美咲の方も真剣に聞く体制に入る。

 「何ですか?」

 静かな時間が過ぎる。

 そして、

 「暇ですね。」

 「え?そんなことですか?何か他に大事な話があるのかと・・・まぁ、そうですね。」

 と暇を持て余す2人の話に花が咲く・・・・・・訳もなく。


 はぁ〜。

 ただ、ため息が出るだけだった。


 Trrrrrrr♪


 −食堂車両−

 「まったく!急に電話がかかって来たと思ったら。『腹減ったから飯食いに行こ!』って兄さん・・・。」

 ぶつくさ文句を垂らしながら食堂車両に入って来たのは、美咲と琴浜だ。

 「おそいぞ!!腹減った!!飯喰いて〜!」

 何処からともなく聞こえて来たのは、隅のテーブルからである。




 ではでは、皆さんご賞話下さい。

 いっただっきま〜す!!


 いただきます。

 1名以外は、礼儀を弁えおとなしく合掌。


 バイキング形式の晩御飯。丸皿にオカズを乗せられるだけ乗せて持って来たのは、当たり前ながら光咲。そして、意外な事に祠園も山盛りになった皿を持ってきた。


 「む、なかなかやるなオヌシ。だが、この私に勝てるかな?がっはっはっは」

 光咲は、どこぞの悪者になったような口調で馬鹿馬鹿しく話している。

 「いえいえこんなのは、ただの前菜ですよ。」

 と祠園も売り言葉に買い言葉だ。

 そう言い終わると2人は、一気に口の中へと食料を流し入れる。



 「他人の振りをするのが一番ですね。」

 「他人の振り。他人の振り。」

 「そうっすね。」

 「ねぇ、あっちの席空いてるわよ。」

 優子が、見つけ出した空席へ後の4人が移動していく。



 ハッハッハ!!

 「面白いね。」

 光咲達の行動を横目に見ながら食事をしている男性が2人。

 「夏樹も静かに食べてください。」

 「ハーイ!」

 と御フザケ気味にも了解を示す。




 「ところでさ、今日あったウイルスについて教えてほしいんやけど。」

 と食べていた手を止めて優子に聞いた。


 「なぁ、優子。ウイルスって、俺らが夏前にあった幽霊と違うんか?」

 ウイルスについて疑問をわかす光咲に優子は、馬鹿にも解るようにと極力努力し説明を始める。

 「日頃、私達が使っている【ウイルス】と言う言葉自体はコンピューターに害を及ぼす物体・情報体を指しているの。

その中でも、分類事に分けられているの。自然に発生した物・人為的に作られた物・古い型のウイルス・新しい型のウイルスとか色々。で、光咲が日頃使っている【幽霊】って言葉が指すウイルスは『人為的に造られたもの』ね。今日会ったのは、旧型。場合によっては、対策方法は違うけど人為的な物だけ共通点があるの。」

 これだけ言い終えると嫌そうな顔になり琴浜が受け継ぐ。

 「その昔、人が最大の驚異とまで謡った『放射能』は滝宮の技術で無力と化しました。

人々は、滝宮を大いに盛り上げました。

その結果、滝宮は世界を引っ張るリーダー格になり世界水準が急速に上昇した。世界はネット社会へと動いていきネットで世界を繋ぎ、ネットからすべての管理が出来るようなシステムが出来ました。しかし、今まで世界を引っ張ってきた滝宮は世界から断絶されることになりました。実験体。人間の大量虐殺によって・・・。」


 優子、他のみんなも顔を沈めている。

 話しは、続く。

 「そして、事件は起きました。後に、滝宮によって配信されたのでは無いかと意識されることになる自律神経確立型ウイルス【Eve】。これが発端で、一時期イギリス・アメリカ・ロシアのメインシステムとバックアップシステムが次々とダウンしていきました。」

 光咲は、初めて聞いた世界の流れをただただ、驚くのと同時に頭がぼーっとしてきた。

 「でも、待ってくれ。『滝宮によって配信されたのでは無いかと意識される』って、滝宮はどこ行ってん。それに、歴史の授業でそんな事言ってなかったぞ。」

 光咲が授業をちゃんと聞いていたことに驚き、全員光咲を見る。

 「な、なんやねんな。」

 「えっと、その時滝宮は世界から断絶された後、行方不明になって20年位経ってましたから・・・。そうですね、確かに歴史の授業にも教科書にも載ってません。何せ一瞬の内に対象されましたから・・・『オリジナル』によって。」

 「えっ!?マジでか!!」




 そう、非公式ながら初号機【MOTHER】の宣伝としてヤマキが能力を使いこなした実験体を使ってアメリカの浸蝕を食い止めようとした。が、逆に浸蝕されて【MOTHER】は使い物に成らなくなり【MOTHER】を使わずに能力を制御していた『オリジナル』を使うことを決定した。途端、イギリス・ロシアも同時に浸蝕されだした。

 一刻を争うことになり『オリジナル』をパソコンに触れ脳とパソコンを繋ぐヘルメットを被る。瞬間、電話が鳴った。

 Trrrrrrr♪


 『アメリカ国防省です。ウイルスに関してですが、デリートありがとうございます。アメリカは、積極的にヤマキグループとの軍事提携を考えていきたいと思います。』

 イギリス・ロシアもアメリカと同じような電話がかかって来た。


 「って感じにウイルスについての歴史があるの。人為的に造られた今時のウイルスは、なぜか『オリジナル』の戦闘データから造ったワクチンが全部に効いちゃうのよ。」


 バチッ!!

 『当たり前だ!俺がサービスで対抗ワクチンを造っておいてあげたんだからな。もっと感謝をしろ!感謝を。』

 光咲の様子が変わっていた。目が少し吊り上がっている。

 「お久しぶりです、『オリジナル』さん」

 と、悠長に話しをしようとする美咲。

 『おっひさぁ!あ〜、肩凝った。あのよ〜、光咲の中から見てたんだがお前らって飽きさせねぇよな。』

 と『オリジナル』も普通に返してくる。

 「あんたさぁ、光咲にもっと協力してあげてもいいじゃない。」

 『だってぇ、俺はあいつだぜ。何が起こるか解らんだろうが。コロコロ入れ代わってる内に光咲の感情が飛んでくかも知んねぇぞ』 と説教めかしに優子が言ってみたものの光咲の感情と引き換えの協力じゃ、進めるに進められない。

 『んじゃ、俺帰るわ!もしかして、変わった途端感情無くしてたりして。』

 「えっ!?ちょっと」


 バチッ

 最後に不吉な事を言い残して消えていった『オリジナル』。

 その事が気になって光咲の顔を覗き込む3人。晴夜と祠園は、近くから観察がてら見ていた。


 「兄さん?」

 「光咲?」

 「光咲君?」

 3人は、呼び掛けてみた。


 「はい。何ですか〜って、うわっ!!どないしてん、俺の顔を覗き込んで。」

 3人は、慌ててその場から脱兎した。その姿を笑いながら見ていた晴夜は、優子と美咲と琴浜にボコられたのは言うまでもない。




 「優子達、賑やかですね。・・・夏樹?」

 「僕も仲間に入りたかった。」

 楽しそうな琴浜を眺めながら本当に悔しそうな顔をする夏樹。

 「まあまあ、今回は20歳以上のお兄さん達だけでワインでも飲んでのんびりしましょう。ロシアに着けば、フレイスにも会えますから。ね?」

 「・・・仕方ないか。我慢する。」

 と夏樹を宥める穂灣。

 「食べ終えたことだし。部屋に帰ろうか。」

 「わかった。」

 と愛想のない返事を返しながらトビトボと歩いていく隊長の姿は、どこか寂し気にみえた。




 −101号室−

 「いやぁ、食べ過ぎたかしら?少し運動しようかな?」

 「姉ちゃんは、俺で運動してるから大丈夫・・・。」

 言い終えると晴夜は、シャワーを浴びにいった。

 「何を!?弟の分際で。・・・それにしても考えものよね。いつ消えるか解らない感情が、対価か。『オリジナル』とは、コロコロ変わらない方が良いわね。って、あれ以来替われたのって初めてじゃない!?良かった、早くこの事を知って。」


 シャワールームから鼻歌が聞こえて来た。

 ♪♪♪♪♪♪

 何となく。何となくだが、ムカッと来たので晴夜をどついた。

 晴夜は、どつかれた。



 −102号室−

 「祠園、俺凄いことできるで!!『オリジナル』との会話。」

 それを聞いて少し驚く祠園。今まで、1回も表に出てこなかった『オリジナル』と会話するというのだ。これは、興味深いと祠園は乗り出して見入っていた。

 「いくぞぉ。」

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 「光咲、何がしたいかわからないから先にシャワー行くね。」

 期待外れな反応にあっさりシャワールームヘ向かう祠園。

 「あっれぇ?おかしいなぁ。」

 と悩みながらベットヘもたれ掛かると急に睡魔に襲われた。



 −103号室−

 「ふぅ〜。お先に頂きました。」

 シャワールームから少し濡れた髪をタオルで軽く叩いて乾かしながら出て来たのは、琴浜だ。

 「じゃあ、次は私の番ですね。」

 と言ってベットから立ち上がりシャワールームへと向かった美咲。



 −302号室−

 「大体、もっと僕に敬意を払うべきなんだ!!そう思うよね、夏樹。」

 「あ?あぁ、そうですね」

 酒が入ると凶変するのか。飲ませなければ良かった。と影で思いつつも、

 「・・・解っているのれすか!!夏樹!!」

 もぅ、誰にも止められない。




 −???−

 「全く、リーダーならリーダーらしくビシッと言ってやれば良いのに。」

 と風が強く体に当たる暗闇の中、あぐらをかきながら座っている女性が行動へ移すか射なか考えていた。


 −???−

 「ま、あれぐらいのウイルスじゃ根を上げないよね〜。フッフッフ!でも、待ってなよ。Maindishは、これからなんだから。」

 真っ暗な密室の中で不気味に聞こえる笑い声が反響していった。




そうして、1日目の旅行は終了していった。

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