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†SUMMERVACATION[THREE]

 一番左の白いカーテンがスーッと開かれた。


 「どうですか!!兄さん!」

 中から出て来たのは、

 黒髪をプチポニーテールに纏め、黄色が基調の可愛いらしいワンピース型のトップスにジーパン調のボトムを履いていた。本々、あまり長い方でない髪をプチポニーにしているのが抜群に似合っていて、ボーイッシュの中に少女の如くかわいらしさが残っていた。露出度は少なめだが、知らず知らずに目が逝ってしまうほどに似合っている『妹』が立っていた。


 「あ、あぁ。似合ってんで!美咲。」

 見とれていて吃る光咲。

 うわぁ〜、勿体ないことしてもたなぁ。あの時、わざわざ止めんと他人として付き合ってたらこんな美人と付き合えたのになぁ。

 とあの日の言ったことを後悔する光咲。


 「光咲君!私のもどうですか?」

 と隣から琴浜の声が聞こえた。その時、

 シャーー

 カーテンが開いた。


 えへへッと顔が赤らみながら光咲を見つめる。

 清純さをそのまま顕したような白色で身を包む琴浜。さりげなく強調されている各部は、見せ付けているとは感じさせない程に似合っている。


 「・・・良い。似合ってと思うぞ。」

 驚きで口数が減っている光咲。


 最後にゆっくりとカーテンが開けられる。


 「・・・光咲。どう・・・かな?」

 中から出て来たのは、顔を赤らめながら光咲に選んでもらった黒色のセンターストラップとタイサイドを着ている優子である。センターストラップによって、大きめの胸を目立たせず。そして黒で統一された水着は、スタイルが抜群な優子のラインを余計に引き立てお姉さん系に仕上がっている。

 おいおい、下手なモデルより様になってんなぁ。

 とポカーンと口が開きっぱなしの光咲に、

 「どうかな?」

 と再び聞く優子。

 「・・・うん!良い!めっちゃ良い感じ!!やっぱり俺の目に狂いが無かった。」

 などと光咲のリアクションが今まで以上に大きかったのが、美咲達は気に食わなかったのか

 「兄さ〜ん!どう?」

 と美咲は、いつ着替えたのか80'sのグラビアアイドルが着るようなハイレグを着ていた。

 ッブハーー!!

 光咲は、吹いていた。

 「はっはっは!何着てんねん!それは、流石にな」 と笑い転げる光咲を見て口を膨らませカーテンを閉めた。


 一番右から優子が着替えを終えて買う水着を決めたらしく、試着室から出て来た。

 それと、同時くらいに真ん中のカーテンも開く。


 「光咲君。どうですか?」

 とこちらは、隠す所を最小限にしか隠していないような水着を着ている。


 どうですか?って・・・。こんなん着てる琴浜に何て言えば・・・。ってかその前にこんな店に、何でこんなん置いてんねん!一応、ここデパートですけど!いかがわしい店じゃ無いですよね?


 と琴浜の水着姿を見ながら考える光咲。


 「これはどうですか!?兄さん。こういうの好きですよね!」

 とカーテンを開けて見せるのは、スクール水着姿の美咲である。

 「何言ってるんですか!光咲君は、もっとこういうのが好きな筈です。」

 さっきより露出度の高い水着に着替えた琴浜。

 「何よ!兄さんの事、知らないくせに!!」

 「何なんですか!!」

 二人は、出口の見えない迷宮『お着替えTIME』へと突入した。


 「これでどう!?」

 「まだまだ!!」

 「お客様。おやめ下さいませ!」

 店員が止めるのも聞かずドンチャンしている。


 買うものを早々に決めた優子と光咲が並んで他人のふりをしている。

 「終わりそうに無いから、先に【COREs】でお金を振り込んでおくわ。」

 「おう、そうしとけそうしとけ。」

 言うと、水着についているバーコードを【COREs】でスキャンしネットバンクからお金を支払った。


 「終わったわ。こっちは、まだみたいだけど。」

 「そうやな。まだ、続くみたいやし。後の処理は、店員さんに任しとこか。俺らは、こいつらが鎮静化するまでブラブラするか!」 「そうね。でも、疲れたから喫茶店とかの方が嬉しいんだけど。」

 と話しながら2人は、店を後にした。




 モダンな感じの喫茶店。2人は、店を出た後この喫茶店まで来ていた。

 2人は、それぞれ珈琲を頼みながら後の2人を待つ。

 「でも、良かったんか?俺なんかが選んだ水着で。もっと、他にもあんねんから試着だけでもしてったら良かったのに。」

 さっきの店で買った水着の話題だ。

 「良いのよ。別に他のを見てもどれが良いのかわかんないし。それに、光咲が私のために選んでくれたんでしょ?それなら、やっぱり・・・そっちを着たいじゃない。」

 などと、どう見てもカップルにしか見えない2人。

 優子は、勿論の事。光咲も別に顔が悪いというわけでわ無いので、2人は喫茶店の中で少し浮いて見えるイケメンカップルである。


 ♪♪♪♪♪♪♪

 ん?電話や。

 と珍しくメールでは無く電話がかかって来た。


 チャットか?

 「もしもし」

 「兄さん、どこにいるんですか!!勝手に居なくなって!」

 「そうですよ!!私たち、ずっと光咲君を捜し回っているんですから!!」

 とどうやらお着替えTIMEは、終わったみたいだ。いまだ興奮が覚めていない様子の2人の声が【COREs】にから大声で漏れている。

 「だいたい!!どうして優子さんと一緒に蒸発してるんですか!!」

 「そうですそうです!今いる場所を速やかに教えてください!!」


 2人の勢いに押される光咲は、言葉に詰まる。

 優子が隣で、『今、美咲達に私と一緒だって言うと危険よ!!』とジェスチャーを送る。

 光咲も理解したのか、頷いて親指を立てている。


 「で!!今はどこにいるんですか!!っていう、さっさと言え!光咲。」


 ひぃ〜〜。

 光咲は、美咲に『光咲』と呼び捨てにされたダメージと今までに聞いたことのないくらい必死な男口調に驚いてしまい。。つい。


 「優子と一緒に3階の喫茶店にいます!」


 ゲロしやがりました。


 光咲!!何、簡単にゲロってんのよ!!しかも、私の名前まで出して! と眉間にシワを寄せ優子が怒っている。

 だってぇ〜。 と全く役に立たない光咲。


 とその瞬間、

 「兄さ〜ん!」

「光咲君〜!」

 早っ!!

 光咲と優子が驚いているのを尻目に美咲と琴浜が走って喫茶店に入って来た。

 チャットを切ってからほんの数秒というこの速さは、神懸かり的な早さである。


 「捜したんですよ。デパートの中を走り回って。店員さんにも止められかけたけど、振り切って捜したんですよ。兄さん!」

 いや、そりゃダメだろ!

 「そうですよ。急にいなくなったんで心配してたんですから。」

 などと口々に光咲への鬱憤を述べる。光咲は、この状況を飲み込み切れず。最初は、詫びやリアクションを入れていた。が終いには、天日干しされたようになっていた。

 だから言ったじゃない。と言わんばかりの眼差しを受けて。



 そんなこんなで、パフェを2つにジュース代を払うはめになった光咲。元からこう成る気がしていた光咲は、お金を余分に持ってきていた。優子の分も払うといった光咲だが、優子が拒否したため今回は3人分の支払いで済んだ。



 喫茶店を出た後は、必要な小物をブラブラと見ながら買い物を続ける予定だった。が・・・

 「これ、必要ですよね!光咲君。」

 「こっちの方が必要ですよね!兄さん。」

 そう、予定は未定である。これを、この2人がことごとく潰していってくれた。




 振り回されっぱなしだった光咲は、バテバテになっている上、荷物持ちという大変残酷な役に当たっている。


 ♪♪♪♪♪♪♪

 光咲の【COREs】が鳴りだした。メールを受信したらしい。


 From:晴夜

 to:光咲

 sub:ツアー取れました

 今、会社なんですけど。下請にツアーを僕らが行けるように頼んだらすんなりOKしてくれました。日程ですが、一週間後の8月18日〜8月28日のツアーで帰りがイギリス〜日本行きの飛行機に乗って4時間って感じの日程です。

 パスポートは、自分達で更新しておいてください。 光咲先輩のは特になんですけど、【COREs】の電波経由を設定し直してください。美咲先輩のは、最新のOSが入っている型なんで必要無いと思いますけど一応、みんなに伝えておいて下さい。

 P.S. 光咲先輩大丈夫ですか?姉ちゃんや美咲先輩、琴浜先輩に振り回されてませんか?無事に帰って来れることを祈っています。GOOD RACK!!



 もしかして、晴夜。こうなると踏んでデパートに付いて来えへんかったんか!?クソッ!裏切られた。



 From:光咲

 to:晴夜

 sub:Re:ツアー取れました

 わかった。みんなに伝えとくわ。

 裏切り者!!



 畜生!まぁ、仕方ないか〜。送信っと。


 「光咲君、どうしたんですか?」

 後ろから、不気味に笑っていた(らしい)光咲に話し掛ける琴浜。

 「いや、なんでもないで。今、晴夜からメールで日程決まったって来たからみんなに送っとくわ。後ででも良いから確認しといてな。」

 とみんなに伝えておく。 「もう、取れたんですか!?流石は、晴夜君。」

 「そうですね。流石は、晴夜君です。伊達に社長やってませんね。」

 と2人は、いつも通り話しているが優子がさっきから何も話していない。

 「どうしたんや優子?どっか悪いんか?」

 それに気付いた光咲が優子を心配する。

 「ううん。何でもないわ。私、ここからの方が家近いから帰るわね。」

 「そうか?まあ、何でも無いんやったらそれに越したことは無いんやけどな。じゃあ、気をつけて帰れよ。」

 「ありがとう光咲。じゃあね、光咲、美咲、琴浜。」

 呼ばれて気付く美咲と琴浜。

 「っえ?じゃあ、私もここで!またね。」

 4人は、それぞれに向かって手を振った。




 「やっぱり。デパートに来てたのね。追っ手は、上手に巻けたの?」

 優子が自宅の前で佇む少年に向けて話し掛けた。

 「僕的には、完璧とは言えないけどまあまあ上手くはね。死人だしちゃったし。【GLANCE】の隊長さんにも迷惑掛けちゃったし。それに、アパートの鍵無くしちゃったんだ。だから、大家さんの家に来て謝ろうとしている。 鍵、無くしちゃいました。ごめんなさい。」

 晴夜は、会社系を任されている分。不動産などは、優子が受け持っていた。

 「まぁ、鍵くらいなら良いんだけど。あんた、そんな無茶してたら早死にするわよ。」

 少年は、反省しているようには見えないが大家さんの手から鍵を貰うとアパートの方へ帰って行った。

 「あんた、ちゃんと旅行に来なさいよ!」

 そう告げると優子は家に入っていった。




 「たのしみですね!兄さん。」

 「そうやな。」

 それぞれの部屋で何やら押し入れを漁りながら会話をする光咲と美咲。

 「でも、その前に、ちゃんと夏休みの宿題を終わらせておかないとダメですよ。・・・あった!!」

 美咲がクローゼットの中から旅行鞄を取り出した。

 「解ってるって!俺もそこまで阿保じゃ・・・あった!」

 光咲もクローゼットの中から旅行鞄を取り出した。

 2人とも、『たかが旅行でそこまで喜んでませんよ』雰囲気を出していたわりには、誰よりも早く旅行の準備を始めていた。




 光咲君と早く旅行に行きたいな。お仕事のお休みも貰えたし。今回の旅行は、うんっと楽しもぅ。

 と心に誓い、夢の中へと旅立った。




 とこんな感じに思いを寄せながらの1週間。待ちに待った、旅行の出発日。

 これから待ち受ける波瀾万丈奇々怪々。どんなことになるのか?そんな旅立ちの日に、ジャ〜〜〜ンプ。しちゃったり、してくれちゃったりして。

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