高校生
中学を卒業して、高校生になった。
もちろん中学のいじめ以外の部分では、ほんと楽しい毎日だった。
いじめについてだけ、書いているので、楽しかったこととか、まるで全く無いように
感じられると困るので、一応ことわっておくことにする。
ほんと友達と楽しい日々をすごせたと思う。
修学旅行とか運動会とか文化祭、いい思い出になった。
先生や友達、親、みんなに心から感謝している。
それで、じつは、高校生では、いじめらしいものを経験しなかった。
みんな受験勉強で忙しかったし。
それどころではない感じだった。
また、いじめられなれていたこともあってか、
抵抗力がついていた。
自分のことをオレとよぶようになっていたし、
態度もおどおどしていなかった。
なんかいわれても冗談でかえせるくらいになっていた。
だからかな。いじめとは縁のない高校生活だった。
むしろいじめられそうになった人を助けることができたくらい。
見た目怖そうだけど、ほんとは性格のいい人とお友達になり、
そのつながりを利用するという、なんともオレらしい方法だけど。
ちょっと卑怯かな?
少しでも助けられたんだから、それでもいいよね。
この方法は大学生になってからもよく使ったな。
ほかにも、大勢の生徒をまとめなきゃいけない場面で、
考えたのが、わざとキレテみせるという方法。といっても、大声ですこし威嚇する
だけなんだけど。普段、どなったりしない人が急にどなりごえをあげると
みんなびっくりして、オレみたいに弱そうな人のいうことでも聞いてくれる。
これは使えた。先生もオレの方法を真似していたくらいだった。
ただ、この方法は気をつけないといけない。
相手の反応をみながら使うことが大事。
それに、やりすぎると効果が無い。
そういえば、高校生のとき、本屋さんで、本を選んでいて明らかに年下の学生から
お金をまきあげられそうになったこともあったが、
オレは、大声で、
お金ってどういうこと?警察へ一緒にいく?
と叫んだ。
その学生は、びっくりしてあきらめ、そそくさと店外に逃げていった。
じつは、さけびながらまわりに、かつあげされそうってアピールしつつ、
自分の身の安全を確保してるわけなんだけど、
こういうことをすぐに行動に移せるくらいだから、これも慣れというものだとおもう。
自慢にはならないけど。
オレは確かに、いじめに負けないようになっていた。
そしてさまざまな経験が、オレをかたちづくっていく。
この成長がなければ、これから先、経験する
陰湿ないじめには
耐えられなかっただろう。
今でも、思い出すのはつらい。
いじめられる側にも理由はあるのかもしれない。
けれど、彼は明らかに楽しんでいた。
他人には見えないところから、オレにだけわかるようにニヤリとする。
あの悪魔のような笑顔は、今でも忘れられない。
苦しいか?手も足もでないだろう?もがけ!
そんなふうにきこえてくる。




