その7
さて。
今日が最後です。あの人がいなくなって以来僕はあなたに毎日つまらないことを語りかけてきました。きっと退屈してしまったかもしれません。いえ、もしかしたら暗い気分にさせてしまったかもしれませんね。もしそうだったら本当にごめんなさい。病室での日々がどんなに辛いものか僕にもよくわかります。僕はただ、一緒に過ごしたかったんです、あなたとも。
そんなえらそうなことを言いながら、僕もしばし白紙のページを連ねたりしてしまいましたね。あの人や僕がそうしなくてはならなかった理由、あなたはわかっていると思いますが、どうか怖がらないでください。みんないつでもそばにいます。僕だっています。次のページに僕がどこにいるのか書いておきます。何でここに書かないかというと、恥ずかしいんです。いえ、情けないといった方がいいかもしれない。まあ気が向いたら読んでください。
僕の容態がどうなのかそんなことはあなたは興味ないでしょうし書けばひどくつまらない終わりになってしまうので書きません。あの人もそうでしたしみんなだってそうだったんでしょう。ですがやせ我慢じゃありませんが気分はそんなに悪くありません。
あなたはこのページを読んでくれているでしょうか。読んでくれている事を願います、それはつまり僕に勝ったという事ですから。途中とてもお見苦しいところをお見せしたと思いますが、そんな僕のあれやこれやはこれを読んでいるあなたなら優しく受け止めてくれると思います、きっと。軽く笑い飛ばしてくれたら嬉しいです。
さあ、来ました。これで僕のこの病室での生活は終わりです。僕の記述もここまででしょう。これを今そばに立っている恰幅の良いナースさんに託すことにします。あの人がそうしたように。ラッキーセブン病室も決して悪くはなかったな。僕は幸運でした。
以上です。うん、以上。
p.s.ナースさんは決して中身を読まないそうです。僕はその言葉を信用することにします。だから僕が記述したあの人に関するいろいろな悪口についてはどうか内緒にしておいてください。
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「……何かしら、これ」
絶望のあまり激しく泣き続け、やがてそれにも疲れ果てていた。時間はちょうど日付が変わったころ。顔を洗おうとベッドから降りると、足元に一冊のノートが落ちているのに気づく。私はそれを拾い上げた。
―7月7日 ラッキーセブンの日。
―僕が初めてあの人に出会った日。
表紙をめくると、最初のページの一行目に今日の日付。
……ひと眠りして、それから読んでみよう……。
そう思った。これが、彼と私のラッキーセブン病室物語の始まり。冷たい病室と私の心を最後まで暖かくし続けてくれた、大切な彼との日々。思い出。
これを読んでくれている人、いらっしゃいますか。
もしも嫌でなければ、どうかこれからもお付き合いくださいね。
おわり




