記憶。
なぜあいつがいない世界で生きなくてはならないのだろうか。
部屋の窓から月華が差し込む。明後日が満月であいつの命日だ。明後日、僕は死ぬことを決めている。死ねば何にもとらわれなくて済む。そしてもう一度あいつに会うことができる。
僕には昔ずっと好きだった人がいた。その願いが叶ったのは中学2年生の春の進級して間も無い頃、桜の木の下で僕はあの人に思いを伝えた。「君を守りたい」そんな僕には似合わない言葉を言った記憶がどうも頭から離れない。返事は「はい」だった。その時は嬉しさのあまりその場を駆け抜けたい気持ちでいっぱいだったが、どうにか気持ちを抑えていた。その時の桜吹雪は綺麗で神秘的だったが、彼女の顔が見えなく、どこか鬱陶しさもあった。
そこから僕らは同じ高校に通い、毎日が充実していた。そんな日常が永遠に続いて欲しいと、僕は思っていた。だが、そんな願いは叶うはずもなかった。彼女は死んだ。僕の目の前で。トラックに轢かれ、跳ね飛ばされ、頭から血が出ていた。彼女の顔がどんどん青白くなっていく。体温も奪われていく。やだ、死なないで。いやだ、やだやだやだやだ!!!どうして僕から離れていくの?僕は人を愛しては行けないの?どうして人間はこんな簡単にしぬものなのか?
嫌だ、僕をひとりにしないで、なんで失わなきゃいけないんだ、不平等だ、どうして僕ばっか、どうして!!
その時は彼女のことで頭が飽和していた。
この出来事の後、僕は学校に行けなくなっていた。あんなに楽しかったはずの学校、あんなに充実していたはずの人生が全て奪い去られたかのようだった。クラスの奴らも親も先生もいるのになんであいつだけどこにもいないんだよ...、
願っても無駄。探しても無駄。そんなの分かっているのにどこかにまだ君がいると思ってしまう。
どうして僕は報われないのだろう。




