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004

アラタは洞窟の外に立ち、岩壁にもたれながら荒い息を吐いていた。


ただの「人数合わせ」の依頼。


中に入らず、終わるのを待って、報酬を受け取るだけ。


……本来は、それでよかったはずだ。


だがその時、洞窟の奥から――

異様な音が響いてきた。


「――?」


金属が岩にぶつかるような音。

低く、重い唸り声。


普通の獣とは明らかに違う。


アラタは眉をひそめた。


「中で……何が起きてるんだ?」


気づけば、彼は洞窟の中へ足を踏み入れていた。


ランタンの光が奥を照らした瞬間――


「……なんだ、これ……」


そこには、無数の魔物がいた。


岩の塊が意思を持って動く存在――ゴーレム。


そして、その群れの中心で、

たった一人の男が戦っていた。


男の動きは、信じられないほど速い。


手にした短剣が閃き、

正確で無駄のない一撃が次々と突き刺さる。


ゴーレムが、次々に崩れ落ちていく。


「……一人で、あれを……?」


アラタは言葉を失った。


これは「人数合わせ」の戦いじゃない。


――本物のハンターだ。


しかし次の瞬間。


ドンッ!!


重い一撃が男を吹き飛ばし、

彼の身体は壁に叩きつけられた。


「――っ!」


男は地面に崩れ落ちる。


その隙を逃さず、

小型のゴーレムが二体、男へと襲いかかった。


考えるより先に、アラタの身体が動いた。


「くそっ――!」


アラタは突っ込んだ。


重く、鈍い身体がゴーレムにぶつかる。


ドガン!


一体が壁に叩きつけられ、砕け散る。


アラタはよろめきながらも、立ち続けた。


「はぁ……はぁ……!」


残った一体が、こちらを向く。


アラタは震える手で短剣を抜いた。


怖い。


足が震える。


それでも――


突き刺す。


一度。


二度。


三度。


「――倒れろ!」


ゴーレムは呻き声を上げ、

やがて岩の塊となって崩れ落ちた。


アラタはその場に立ち尽くし、全身を震わせた。


その時――


「……外で待てと言ったはずだが」


冷静で、落ち着いた声。


いつの間にか、男は立ち上がっていた。


「す、すみません……でも――」


「いい」


男はそれ以上聞かず、再び前へ出る。


短剣が描く軌道は、あまりにも洗練されていた。


速い。


正確。


――まるで、アラタを守るかのように。


傷を負っていた二体のゴーレムが、最後の抵抗とばかりに襲いかかる。


男は近づき、


一閃。


二閃。


反撃する暇すら与えず、ゴーレムは崩れ落ちた。


洞窟に、静寂が戻る。


アラタの心臓は、まだ激しく鼓動していた。


その時、視界に文字が浮かぶ。


《ミッション達成》


《ゴーレム3体を討伐しました》


報酬ウィンドウが表示される。


《報酬》

・スキルブレッド:体重 −1kg

・スタミナ50回復


「……パン?」


手の中に、小さなパンが現れた。


アラタは一瞬ためらい――

すぐに口に放り込んだ。


次の瞬間。


身体が、明らかに軽くなる。


呼吸が整い、

力が全身に満ちていく。


「……本当に、減ってる……」


アラタは拳を握りしめた。


これはもう、ただの訓練じゃない。


これは――


自分を変えるための戦いだ。

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