この場所で君を待つ。
短編物語です!3分で読めるので是非とも読んでみて下さい!
足跡一つない真っ新な砂浜でひとり目を覚ます。あたりはすっかり夜で砂浜には自分しかいない。すると少し遠くから人の声が聞こえた。確か今日は夏祭りか。屋台のあかりがぼんやり見える。この島の唯一の行事であるから、この日は毎年結構盛り上がる。
「行ってみるか」
そう言って砂浜に足跡をつけながら祭りの方へ向かった。
賑わっている屋台にどこか懐かしさを感じた。
「お!いたいた、お~いみんなこっち~!」
りんご飴を握りしめた春斗がいた。
「よう、春斗」
「裕二お前どこいたんだよ~、お前ん家行ったけど留守っぽいから先行ってたで、なあお前ら」
けいちゃんと航大も来た。
「すまん。ちょっと散歩してた」
自分はそういった。
「なんだ散歩かよ、ほら楽しむぞ!」
春斗はそう言った。そういえばなんであんなところで寝ていたんだろう。学校から帰ってきてちょっと仮眠をとろうとしたところまでは覚えてるんだか、どうしても砂浜にたどり着けるとは思わない。その時、視線を感じた。辺りを見渡しても心当たりはない。
「おい裕二!なんか食うか?」
「りんご飴食べたい」
まあ気のせいか。
「さては、俺の見て食べたくなったな~?」
そんな会話が続いた。
「裕二、この島の言い伝え知ってる?」
航大がそう聞いてきた。
「ああ、なんとなくだけど」
「人生のうち一回だけ、その願いが必ず実現するってやつ。裕二は何かお願いした?」
「特にしてない」
「僕は東京の大学に行けますようにってお願いしたよ」
願い事か。そういうのをあまり信じない自分はあまり興味が湧かなかった。
「裕二くん、さっき様子変だったけどどうかしたの?」
けいちゃんがそう聞いてきた。
「ううん、なんでもないよ」
「そっか、ならよかった」
「うん」
「今年の祭りはなんかいつもより賑やかじゃない?」
りんご飴を食べている自分にけいちゃんは質問をした。確かに、そういわれるとそんな気がしてきた。
「なんか特別なことがあるの?」
自分はそう質問した。
「今年は花火が上がるんだって、5年に一回の。屋台のおじちゃんが言ってたよ」
花火が上がるのか。そう聞くとなぜか寂しさを感じた。その時花火が空高く上がった。
「裕二くん!なんで*****?」
けいちゃんが慌てながらそう言った。そうだ、そうだった。忘れてたんだ。オレはそこへ向かって走り 出した。
「裕二くん!!」
けいちゃんの声を無視してオレは駆けた。
「優花!優花!!」
浜辺でそう叫んだ。でももう優花はこの世にはいない。去年の今日、海で溺れかけたけいちゃんを救うために優花はその身を犠牲にした。なんで忘れていた?オレにとって一番重要なこと。一番大切に思っていた人。オレが好きだった人。力が抜け、オレはその場に倒れた。花火は淡々とその役目を果たすかのように今この瞬間も光っている。最後の花火なのか、一段と大きな花火が上がった。その時、浜辺のなにかが輝いた。オレは急いで駆け寄った。貝殻があった。いや、貝殻のネックレスだった。そんなもんじゃない。これはあの日この海で優花がつけていたものだ。オレは航大の言葉を思い出す。
「どうか、優花にもう一度だけ逢わせてください」
冷たい貝殻のネックレスを強く握りしめながらそう願った…。
初めて投稿してみました。物語を書くというのも初めてです。この長さの物語を書くだけで一時間以上かかってしまいました。ですが、時間を忘れとても楽しかったです。アドバイスやご指摘などもどうぞよろしくお願いします!