ざまぁ&婚約破棄される義姉がかわいそうなのでとりま助ける〜花畑の兄はもう知らん〜
「ルーバス・テネシア・アキネス嬢、あなたとの婚約を破棄させてもらう!!!!!!!」
と大きな声で、叫んでいるク──兄は、1年前、レグアス侯爵家の庶子として、この学園──我が国、ラリラス国が誇る、ラリス学園に入ってきた令嬢、ミレイヤ侯爵令嬢の肩を抱いて、とーーーっても偉そうな顔で喚いている。
あれの脳はイカれているのだろうか。
それとも最近流れている新しい違法薬物でキマっているのだろうか。
あれが正気ならもはや私にとって唯一の汚点なのだが。
まあ、義姉(予定)だった人も、弱い人ではないので、
「まあ、そのようなことは家が決めることであって、わたくしたちで話すことではないと思うのだけど。それに、わかっていらっしゃると思うけど、このような場、学園の卒業パーティーなどで言うようなことではないと思うのだけれど?」
と強気に言い返す。
私は心の中で、いい返す言葉もありません、と義姉に謝る。
すると、馬鹿兄──もはや兄とも思いたくないぐらいのクズが、
「わかっているだろう!!!!この悪女め!!!知っているのだぞ!!!ミレイヤ嬢に対し卑劣な行いをしたことを!!!!」
「まあ!何かの勘違いでは?ミレイア嬢に対しその卑劣な行いと言われるようなことをした覚えはありませんし、する理由がありませんわ」
と返す。
本当にその通り、理由がない。
「ミレーに嫉妬していたのだろう!!!」
あはは、嫉妬って何を嫉妬すればいいのだろう。
血筋、美しさ、賢さ、何をとったとしてもテネシア嬢の方が上に決まってる。
ていうか、とうとう侯爵令嬢を愛称で呼び始めたし、やっぱこいつ、ラリラス国の恥だ。
侯爵令嬢とお似合いだ、あいつも庶子だし。
「っ」
義姉は持っていた扇子で顔を隠して、肩を震わせた。
兄はそれは、義姉が悲しくて泣くのを我慢してると思ったのか、嬉しそうにニヤニヤしていたが、私の位置からは笑い出すのを我慢できなくて肩を震わせているのがわかった。
そろそろいいかな、と思い、義姉の前に立つ。
「レニオス・ラニラス」
と静かに言い放つと
「どうしたんだ?急に名前で呼んで、レニー?」
と言ってくる。
本当にわからないのだろうか?フリだったらどれだけ良かったか。
「あなたは、何もわからないのですね、はあぁぁ、あなたに期待していた私が馬鹿でした、まさかこんな騒ぎを起こすなんて」
「?」
兄──レニオスは本当に意味がわからないようで顔が疑問符でいっぱいだった。
「レニオス・ラニラス、いえ、レニオス、あなたを王族名簿から除籍します!」
「!何を言う!レニーは王女なんだからそんな権限あるわけないだろう!」
と叫ぶ。
あるんだよ、だって私は国王の娘で、第一王位継承者で王太女なのだから。
「あら、王太女であり、このラニラス国の第一継承者であるわたくしにその権限がないとでも?」
「は?、、何言って、、、次の国王は私のはずじゃ、、、」
「あら?知らなかったの?それは悪かったわね、あなたは所詮叔父様と娼婦の間に生まれた庶子でしかないのよ?そんなあなたが次の王なわけがないじゃない、、、ふふふ、、本当に知らなかったのね」
もちろん嫌味だ、兄が自分は庶子なことは知らない。というか、庶子ではなくても、王弟の息子と、王の娘だったら、後継者は王の娘に決まっているだろう。
まあ、義姉と兄が結婚していれば話は違ったのだが、そのチャンスを逃したのはあいつなのだから、自業自得だろう。
「あら?私は次期王妃だと言われていたのだけれど?」
と口をはさんできたのは義姉だ。
「ええ、もちろんそのはずでしたわ、でも兄が婚約破棄した今、兄はただの庶子でしかないですわ」
もちろん義姉は王妃になるはずだった。
今となっては過去形だが。
せめて形だけでも婚約を保っていれば話しは違ったのに。
あ〜あ、馬鹿な兄さま。