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うさぴょん号発進せよ  作者: 鈴代まお
第4章 対峙
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第80話 期待

「な、船長。人員を補充しないんじゃ、仕方ないだろ?」

「しょれは……まあ……ちかち、タスクの代わりをトヲルに求めるのは、些か無理があるかとは思うでちけど」


 船長も急な態度の変化に、困惑している様子だった。

 それはそうだろう。以前のコウヅキだったらトヲルと一緒に船外作業をするのでさえ、かなり嫌がっていたほどである。


「な~に、コイツならオヤジの代わりに充分なれるさ。俺が保障するぜ」

 バシバシとトヲルの肩を強く叩き、笑いながら彼は答えた。

 以前にも見たことのあるその笑顔で、トヲルは嫌な予感を覚える。


 コウヅキが笑顔を浮かべたままでトヲルの肩に手を置くと、そっと耳元で囁いてきた。

「お前の『中』のヤツが、スッゲー使えそうだからな。そいつにはこれからも世話になるから、よろしく頼むぜ」

「! えっ!? 僕の??」


 目を丸くして固まっているトヲルから離れると、その足元付近でコウヅキと船長の二人は、再び話を始めた。

《そういえばあの者のことで、主に言い忘れておったことがあったのじゃが》


 今まで口を開くことのなかったペルギウスが、突然思い出したようにトヲルに話し掛けてくる。

「どういうこと?」

 トヲルは二人が話し込んでいる様子を見ながら、自分の中にいるペルギウスに小声で訊き返した。


《主が意識を失っている間に、主の身体を借りていた我は今のあの者と、少し話をすることができたのじゃ》

「話って……どんなことを話したの?」

《あの者が我の能力ことを、いろいろと訊いてきたのでな。その辺りのことが中心じゃ》


(つまり……コウヅキもペルのことを知っているってこと?)


 トヲルは呆然としながらも、自分に向けられた笑顔の意味を悟るのだった。

 と同時に「これから先、自分の身体が保つだろうか」と、非常に心配するのである。

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