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うさぴょん号発進せよ  作者: 鈴代まお
第3章 発見
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第53話 ミレイユの想い

「駄目だ」

 コウヅキは案の定、即座に反応した。


「なんでっ!?」

「ワープ圏内ならともかく、ここは圏外な上に、普通じゃない空間なんだぞ。危険だ」

「でもお兄ちゃんだって、あそこへ行くんでしょ? だったらあたしも……」

「お前には無理だ。まだ早い」

「あたし、もう子供じゃない。大丈夫だよ!」

 だがコウヅキは「駄目だ」の一点張りだった。


「お兄ちゃんは、いつもそう。あたしだってお兄ちゃん達のお手伝いがしたいだけなのに、いつも反対ばかりして。

少しでもみんなの役に立ちたいのに……お父さんのことだって、あたしも助けに行きたいよ」

 ミレイユはコウヅキに訴えていた。目には涙さえも浮かべている。


 大きくなったら、もっと手伝えるようになりたい――。


 この前ミレイユが言っていた言葉を、トヲルは思い出した。

 しかしコウヅキは頑として、首を縦に振らなかった。


「とにかく駄目だ! どんな危険があるかわからないのに、そんなところへお前を行かせるわけにはいかない」

「危険なんて関係ないよ。あたしは平気だもん、絶対に行くから!」

「っ! お前、いつまでもグダグダと我が儘ばかり言ってると、本当に身ぐるみ剥がして、船の外へ放り出すぞ!」


 ミレイユに対して珍しく声を荒げたコウヅキだったが、ミレイユは

「お兄ちゃんの分からずや! バカっ! 大っ嫌いっ!!」

 叫ぶと階段を駆け下りて、出て行ってしまった。


「えっ!? ミレイユ!」

 突然のことにトヲルは驚いて、反射的に追いかけようとしたのだが、後ろから腕を掴まれる。


「あいつのことは、放っておけよ」

 掴んだのはコウヅキだった。

「でも……」

「心配ない。いつものことだからな」

「いつも?」


「あいつ、いつもああなるとすぐ部屋に閉じ籠もっちまうんだ。でも腹を空かせた頃には、必ずケロッとした顔で出てくるから問題ないのさ」

「ふっ。コウヅキの過保護ぶりにも、困ったものだな」

「…っるせぇよ」

 酒瓶を煽りながら茶化したビルホークを、コウヅキは睨み付ける。だがコウヅキの瞳からは、いつもの迫力を感じることができなかった。


「そうね、取り敢えずミレイユのことは心配ないわ」

 先程まで二人の遣り取りを傍観していたヴェイトだったが、考え込みながら頬に手を置き、口を挟んだ。


「お姉ちゃんには引き続き脱出ルートを探索してもらうから、あまり十分なサポートはできないけれど、あんた達二人で行ってきてくれるわね」

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