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うさぴょん号発進せよ  作者: 鈴代まお
第3章 発見
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第42話 回顧2

 再び画面は変わる。


「居場所の見当はついた。しかし……」

 男は言おうか言うまいか悩んだ。

 もしかするとそこには、自分の職場が関係しているのかもしれない。これは調べている過程で分かったことである。

 しかし確証はない。


「本当に? そこに兄さんが……」

 アキナはテーブル越しに身を乗り出してきた。

「いや、それはまだ分からない」

 しかし男は、あっさりと否定する。そして難しい顔をしながら腕を組んで、座っている椅子に深く寄り掛かった。


「どういうことです?」

 アキナの代わりにハルヒトが訊いてくる。


 確証はない。

 だから。


「俺は、そこへ行ってみようと思う」


 確かめようと思った。

 その場所で自分が調べたことが、実際に行われていると考えたくはない。

 だがアキナ達の元へ大金が送られてきたのも事実である。『これを借金の返済に充ててくれ』という、兄からのメッセージと共に。


 そして失踪。


 男の調査結果と照合してみると、そこにアキナの兄がいる可能性は十分にあったのだが。

 それよりも気になることがあった。


 本当にそこに自分の職場が関係しているのだろうか。


 もしも。


 だとしたら。


 男の脳裏に、娘と息子の顔が同時に浮かんできた。

「それは一体……? もしかして義兄がそこにいるかどうか、あなたが確かめに行ってくれる、ということなのでしょうか?」


「それも、ある」

「今、兄は一体どういう状態なんですか? それも調べて下さったのでしょう?」

「それは……」

 男は口籠もった。

 本当のことは言えない。まだその確証さえも掴んではいないのだ。


「今はまだ、はっきりと断言できない。本当にそこにいるのか……それもまだ定かではない。だからそれを俺が実際に行って確かめてくる」

「なら」

 アキナはそう言うと振り返り、ハルヒトを見た。瞬間、男には二人の視線が絡み合ったように見えた。

 それも束の間。直ぐにアキナは男に視線を戻す。


「私達も一緒に連れて行って下さい」


 力強い光を湛えた瞳。そこには決意の色が感じられた。

 男は直ぐに返事を返すことはできなかったが、ようやく口を開いた。


「それはできない」

「何故です?」

「その場所がワープ圏外だからだ。二人にはここで待機していてほしい」

「もし私達がここで待っていたら、兄にはまた会えますか?」

「それは……」男はまた黙り込んだ。

 男には確信のない約束を安易にすることなどできなかった。


「本当のことを仰ってください。兄は……兄は何かのトラブルに、巻き込まれているのではないんですか?」

 アキナは男の顔をじっと見詰めながら、問いかけた。

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