表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

7

                  7

 

 結局、沖縄空港に着いたのは予定より三日遅れになった。

 

 なにしろ和彦にしても、初めてといっていいほど大がかりな腕輪の使い方だったのだ。あれから大西家へ帰還しようとして一歩踏み出したとたん、その場に昏倒してしまったのである。

 カオリを先に連れ帰って寝かしつけたフォウが、戻ってきてから和彦を背負って連れ戻ったというが、それさえ覚えていない。

 ハッと目を覚ましたら大西家の客間で、丸一日が経過していた。

 

 たくさん食べてくれて嬉しいわあ、と奥さんが喜ぶほど腹も減っていた。こんな和彦さん見るの初めてだ、とフォウも大喜びしていた。

 

 恥じ入るしかない。

 

 カオリのことは、フォウが上手に丸めこんでくれた。

 それでもまだカオリは雪を見たと言い張っていたが、いなされているうちに、夢だったかもという気になったようだ。

 大西夫妻にも不審は抱かれなかった。

 

 翼竜は。

 

 もしかしたら、まだ仲間がどこかの島に暮らしているのかもしれない。

 けれども、子孫の残し方を知らない生き物は、長くは生きていられないだろう。あえて探すことはすまい、というのがフォウと和彦の一致した結論だった。

 

 年末ともあって、沖縄空港はにぎやかだった。

 

 大西夫妻から山のように持たされた土産を預け荷物にしてから、和彦とフォウはぶらぶらと土産物売り場を見物していた。

 やはり沖縄だけあって、海に関する品物がたくさん陳列されてあった。

 

 和彦はふと、珊瑚の耳飾りに目を止めた。

 

 血のような鮮烈な赤色に、心を囚われたのだ。

 

 フォウの操る炎のような。いや、フォウ自身にも似ている。彼の魂はきっと、こんな激しく美しい色をしているのだろう。

 

「おっ。それいいな」

 

 脇からフォウが顔を突き出した。

 

「和彦さん、買っちゃえよ、それ」

 

「ええ?」

 

 和彦はどぎまぎした。

 

 フォウの魂に似た、この飾り物を自分が所有することを考えると胸がおどった。

 そんなことをしていいだろうかと、戸惑いもした。

 何よりも、フォウにこれをつけてみてほしいと思った。

 魂の色をした飾りは、きっと誰よりも彼に似合うだろう。

 

 けれどもフォウは続けて、こう言うのだ。

 

「それ、きっと珊瑚ちゃんに似合うよ。絶対に喜んでくれるよ」

 

 和彦は面食らった。

 

「な……なんで、珊瑚ちゃん?」

 

「何いってんだよ和彦さん! もうすぐクリスマスじゃねえかよ!」

 

 というのも、他でもない。

 ここに至ってようやくフォウが、自分の安請け合いを思い出したからである。


 やべえやべえ。和彦さんを必ずクリスマス会に連れてくって言っちゃったもんな。クリスマスといえば、やっぱり女の子は、ロマンチックなプレゼントを期待してるはずだしな。

 

「な? それにしなよ和彦さん。あ、まちがっても沖縄のお土産とか言って渡すんじゃねえぜ。渡すときと場所は俺がセッティングしてやるからな」

 

「いや、フォウくん、僕は……」

 

 相変わらず、肝心なところではすれ違い続ける二人なのであった。

 

 さて、クリスマスの成り行きやいかに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ