氷獄の魔王
「まぁ立ち話もなんだ、お前も炬燵に入れ」
そう言って氷獄の魔王が勇者に炬燵に入るよう勧める。
「え? あぁ……うん、じゃあお言葉に甘えて――って違う!!」
言われるがまま炬燵に入りそうになった勇者が正気を取り戻す。
「珍妙な登場に惑わされてしまったが、俺は勇者! お前ら魔王を倒すべくこの世に生まれ出でた者!!氷獄の魔王よ!! いざ尋常に――」
「あーハイハイ、そう言うの良いから、こっちは今のお前と戦う気なんてサラサラないんだ」
興味ないと言った様子で氷獄の魔王は冷凍ミカンを剥く事に集中していた。
「よし、剥けた、ミカン食うか?」
「要らんわ! 何でこんな所まで来て冷凍ミカンなんぞ食わないといかんのだ!!」
勇者の言葉に氷獄の魔王が考える素振りを見せる。
「ふむ……確かにお前の言う通りだ、こんな寒い所でカチコチに凍ったミカンなど食いたくない、常温のミカンを出せと、そう言いたいのだろう?」
「全然違う!!」
「悪いが氷獄では常温の果物などすぐに凍ってしまうのだ、冷凍ミカンか、もしくは――」
氷獄の魔法が炬燵の中に手を突っ込み、ゴソゴソと何かを取り出し勇者に差し出す。
「……この真っ黒な物体は?」
「焼きミカンだ」
「炭化してるじゃねぇか! いや、それ以前にいい加減ミカンから離れろ!! 俺はお前を殺しに来たんだぞ!? それを分かってるのかお前は!?」
勇者は我慢ならないといった様子で鞘から剣を引き抜き氷獄の魔王の眼前に突き付ける。
「戦え魔王! この神の加護を与えられた聖剣で貴様を成敗してくれる!!」
「………」
眼前に突き付けられた聖剣に氷獄の魔王の視線が注がれる。
聖剣とは神が勇者に魔王を倒すために与えた武器であり、不老不死であり決して死ぬ事の無い魔王を殺せる唯一無二の武器だ。
その刀身から発せられる神聖なる光には悪しき者を祓う力があり、魔王を始めとした様々な魔物に効果があった。
(聖剣を突きつけられたこの状況で、さぁどうする!?)
勇者が睨みつける中、氷獄の魔王は手に持っていた焼きミカンを炬燵の上に置くと、ゆっくりと両腕を持ち上げる。
「っ……」
一体何をする気だと、勇者がその一挙手一投足を見逃さぬよう氷獄の魔王の動きを注視する中、やがて氷獄の魔王の両腕が顔の位置の高さまで持ち上がったその時、氷獄の魔王が動き出した。
パシンッ!
「!?」
「はぁぁぁ……暖かい、この剣良いな」
「え?は……ちょっと待って」
氷獄の魔王は聖剣を退けるでも勇者に攻撃するでもなく、聖剣の刀身を素手で挟み込んだ。
しかも本来魔王が嫌うはずの光を前に、怯むどころか暖かいなどと言い出し暖を取る始末だ。
そのあまりにも予想外の事態に勇者が混乱する。
「お、お前本当に魔王か!? なんで聖剣の神聖なる光に触れて無事なんだ!?」
「ん? なんだお前、聖剣の光が無条件に全ての者に通じるとでも思っていたのか?」
「ち、違うのか……?」
「当たり前だ、光を照らすだけで魔王が無条件に怯むなど、そんな強力な武器をあの神が人に与える訳がないだろう、こんな物が通じるのは魔王は魔王でも雑魚に分類される連中だけだ」
刀身を擦り暖を取りながら氷獄の魔王が言う。
「お前達人間は良く勘違いをしているが、神は人類の味方で魔王の敵という訳ではない。神が世界を創り人間を創り出したように、私達魔王もお前達人間と同じく神によって創り出されたのだからな。神からすれば勇者も魔王も大差はない。中立の立場なのだアイツは、どちらの味方でも無い」
「じゃ、じゃあ何故神は勇者を選定し、魔王を倒すための力を与えたんだ!? 人間の味方でも、魔王の敵でも無いというのならおかしいじゃないか!」
「言ったであろう、アイツは中立だ、どちらかが一方的に不利になる事は嫌うし、同様に一方的に有利になる事も嫌う。勇者が存在しなければ人間は不死身の魔王相手にただ成す術もなくやられるだけ、それを防ぐためにお前のような者が定期的に現れるのだ」
氷獄の魔王は刀身から手を放すと何気ない動作で手を軽く振り下ろす。
次の瞬間、勇者の膝が折れその場に無理やり腰を降ろされてしまう。
「ぐっ……ぬぉ……!」
「良いか勇者よ、貴様が魔王を倒さねば人類はただ蹂躙されるだけだ。次の勇者が現れるその時まで、魔王の進行を防ぎ人類が生きられる土地を少しでも多く確保するのがお前達の役目だ。だというのにこんな遠方の魔王の居城に乗り込み、一体お前はどうするつもりだったのだ?」
「そ、それは……俺は勇者で魔王を倒すのが役目で――」
「それならばこんな遠方の魔王よりも先にお前達人類の土地に蔓延る魔王を倒すのが先決だろう。お前がここでこうしてる間にも他の魔王が人類の土地を奪い、大勢の人間が死に、人類は魔王に対抗する力を失っていく一方だ」
「………」
氷獄の魔王の正論に勇者は反論する事も出来ず沈黙してしまう。
そんな勇者の様子に氷獄の魔王は小さくため息を漏らす。
「はぁ……仕方ない、本来であれば神やお前の国の王などが教える事なのだろうがな。今回は特別にこの我が教えてやろう」
「教える……? 教えるって一体何をだ?」
勇者のその疑問に魔王は堂々とした様子で答える。
「魔王の攻略法だ」
「魔王が魔王の攻略法を!? お前本当に魔王なのか!?」
「失礼だなお前……良いか勇者よ、魔王と呼ばれる者はこの世界に数多く存在し、正真正銘の魔の王となるべく覇を競っている。だが魔王は勇者で無ければ決して殺す事が出来ぬ不死身の存在……ならば他の邪魔な魔王を消すにはどうすれば良いと思う?」
強制的に地面に膝を付けさせられ、動けない状態の勇者が氷獄の魔王を睨む。
「……俺を利用して魔王の数を減らそうって言うのか?」
「そうだ、お前に魔王の攻略法を教えると言ったのそういう事だ。とはいえ攻略法と言っても一から十まで教えてやる義理はない、要は魔王を倒すための順序程度の話だ――”エクエス”」
「ハッ、こちらがこの世界の大陸図でございます」
先程まで壁にめり込んでいたはずの執事らしき男が何時の間にか炬燵に入り、炬燵の上に地図を広げていた。
「お、お前一体いつの間に……」
「何時の間にと言われましても、魔王様に呼ばれましたので壁から抜け出し地図を持ってこうしてここに居るのですが」
「どんな速度だよそれ……全然目に見えなかったぞ」
「それだけエクエスとお前の間に大きな力の差があると言う事だ。言っておくが人類の土地に蔓延る魔王なぞエクエスの足元にも及ばん」
「我ら眷属の力は仕える魔王様の力に比例します。それ程に魔王様の力が強大であるという証拠です」
「自分がどれだけの暴挙に出たか理解出来たか? では理解したところで説明に入るぞ」
そう言いながら氷獄の魔王が炬燵の上に広げられた地図の中央を指差す。
「ここが人類が住む土地、この土地の中には現在も数多の魔王が存在し、虎視眈々と人類の土地を狙っている。勇者がまず最初にやる事は自領に蔓延る魔王達の排除だ」
「数多のって、確かに人類の土地の中で暴れまわってる魔王の話は聞くが、片手で足りるくらいしか居ないぞ?」
「馬鹿者、それらは力を付け軍を率いている魔王であろう。王などと呼ばれては居るが、最初はどんな魔王にも下積み時代というものが存在する。眷属など一人も居ないし、領地は勿論だが住処すら無い。勇者がまず最初に狙うのはそういった力を付ける前の魔王だ」
「な、なるほど……それくらいの魔王なら最初の相手には持って来いかもしれないな」
「むしろ勇者となってすぐの人間が軍を率いる魔王相手に戦いを挑んで勝てる等と考える方が可笑しい。異世界転生モノのチート勇者気取りかお前は」
「ぐっ……言葉の意味は分からんが馬鹿にされた事だけは分かるぞ……」
(とはいえ、コイツの言う事にも一理ある。今は黙って言う事を聞いてこちらに有利な情報を少しでも引き出すんだ)
聖剣の柄を掴みそうになった右手を抑えながら、勇者が怒りを堪える。
「とりあえず、今のお前でも倒せそうな魔王が居るかどうか……エクエス」
「ハッ、こちらです」
エクエスが何処からともなく紙の束を取り出し氷獄の魔王に手渡す。
手渡された紙束をペラペラと捲りながら氷獄の魔王が唸る。
「うーむ……丁度良さそうな者が居ないな」
「……なぁ、その滅茶苦茶分厚い紙束に書かれてるのってもしかして」
「ん? お前達人間の土地に潜んでいる魔王の一覧だが?」
「多すぎないか!? もはや潜んでるってレベルじゃねぇよそれ!! 魔王だけで軍団作れるレベルだよもう!!」
「騒ぐな、魔王同士が徒党を組む事はない、安心しろ」
「安心できる要素皆無なんだけど!? むしろ絶望が加速したわ! 絶対に俺の代では人類の土地から魔王を根絶する事が出来ない事が確定したよ!! 何代重ねれば根絶できるんだよ魔王!!」
「騒ぐなと言っただろう……全く、騒がしい勇者だ……お、丁度良さそうなのが居たな」
氷獄の魔王はそう言って紙束から一枚の紙取り出して炬燵の上に置く。
「”花獄の魔王”所在地は王都の城下町だ」
「王都!? そんな所にまで魔王が入り込んで居るのか」
「軍を持たぬ個の魔王などそこら辺を探せばいくらでも居る。これくらいの事で一々驚いていては勇者などやってられんぞ」
氷獄の魔王はそのまま説明を続ける。
「主な出現地点は城下町の花屋”雑草”、現在試用期間四ヶ月目だ」
「試用期間!? 魔王なのに花屋で働いてんの!?」
「言っただろう、どんな魔王にも下積み時代が存在すると」
「俺が思ってた下積みと全然違うんだけど!?なんかこう、もっと魔王っぽい下済み時代を想像してのに!!」
「なんだ魔王っぽい下済み時代って、意味が分からんぞ」
「俺も言ってて良く分からなかったよ!!」
ぜぇぜぇと息を切らせながら勇者が荒い息を整えている横で、今まで黙って話を聞いて居た僧侶が何かを思い出したかのように口を開く。
「あっ、あの新人さんですか!」
「貴方、今の話に出てきた魔王に心辺りがあるの?」
魔術師の言葉に僧侶が頷く。
「はい、最近城下町の花屋さんに勤勉で真面目な新人さんが入ったって評判なんです。笑顔が素敵でお話も上手なので町の住人の間では人気の人なんですよ」
「本当に魔王なのか……それ?なんかもう俺、魔王が何なのか分からなくなってきたよ……」
勇者が何やら深い思考の沼に嵌りかけているところで氷獄の魔王の説明が再び再開される。
「さて、説明を再開するぞ。花獄の魔王の眷属数は現在三体、生み出した順にカッコソウの”カッコウ”、ホウセンカの”センカ”、ローズマリーの”マリー”だ。花屋で資金を稼ぎ、それを眷属達の肥料代に充てているようだ」
「花獄の魔王というだけあって花に関連した眷属か……しかも眷属に金をつぎ込んでいる辺り、きっと眷属に何か特別な能力があるに違いない」
「いや、特筆して書くような能力はない、強いて言うなら光合成くらいだな」
「それただの花じゃねぇか!! なんだその魔王!? 戦闘力はあるのか!?」
「戦闘力に関しては皆無だな。まぁ一般人程度の力はあるが、魔王特有の聖剣に弱いという弱点も相まって勇者に対しては一般人以下だ、最初の相手には丁度良いだろう」
そう言うと氷獄の魔王は紙束を炬燵の上に放りだす。
「我からは以上だ。魔王を倒す感覚を掴んだら後は自分の実力と相談しつつ、魔王を一人でも多く狩るのだな」
「……花獄の魔王か」
天井を仰ぎながら勇者がポツリと呟く。
勇者がそう呟くと同時に両脇から鋭い視線が勇者に向けられる。
「勇者様……まさか、あの人を倒す気なのですか?」
「花が大好きで、稼いだお金をお花の為の肥料に充てるような心優しき人を?」
「い、いやそもそも人じゃなくて魔王だし、俺は勇者なんだぞ!?勇者が魔王を倒して何が悪――」
「「………」」
「………あの、他の魔王でお願いします」
僧侶と魔術師からの無言の威圧に耐えきれなくなった勇者が氷獄の魔王に頭を下げながらそうお願いする。
氷獄の魔王はため息を吐きながらも、放り出した紙束を再び取り内容を吟味していく。
「贅沢な奴だ、勇者が魔王を選り好みするなど……本当に勇者かお前?」
「お前にだけは言われたくねぇよ!!」
歯を剥き出しにしながら吠える勇者を無視し、氷獄の魔王はペラペラと紙を捲り続ける。
「む、これならばどうだ」
そう言って氷獄の魔王が炬燵の上に再び一枚の紙を置く。
「”監獄の魔王”所在地は王都から程近いグリディッシュという街だ」
「グリディッシュか……監獄って名前から察するにグリディッシュ監獄に居るのか?」
「正解だ。主な出現地点はグリディッシュ監獄の二〇八番房、そこに収容されている」
「今度は囚人!?どうしてまともな魔王が一人も居ないんだよ!!」
「現在懲役五ヶ月目、眷属は一人で二〇八番房の囚人、朝食のハムを餌に眷属にしたようだ」
「せこっ!? ていうか眷属ってそうやって作るもんなのか!?」
「眷属の作り方も魔王によって様々だからな……看守の間では模範囚で通っており、看守だけでなく囚人達の受けも良いそうだ、囚人としての立場を弁えた良い囚人だな」
「囚人としてはそうかもしれないが、魔王としての立場を弁えていると言えるのかそれは……っ!」
「どうした?」
急に顔を歪ませた勇者に氷獄の魔王がそう声を掛ける。
「いや、ずっと正座状態だったから足が痺れて…」
「何で炬燵にも入らず氷の上で正座なんてしてるんだお前、修行僧か何かか?」
「お前に強制的に座らせられたんだよ!!」
そう叫びながら勇者は足を崩し、グリーブを外して足を揉んでいると、それを見兼ねた氷獄の魔王が炬燵に入るよう勧める。
「炬燵に入れ、床の氷が溶けて足湯みたいになってて気持ちが良いぞ」
「はぁ……後で床を元に戻さなきゃならない私達の身にもなってください」
「別に戻す必要も無いだろ、どうせ炬燵があったら溶けるんだし」
「炬燵を常設する前提で話すのは止めてください」
氷獄の魔王とエクエスが言い争っている間、無言で両足を揉み続けていた勇者だったが氷獄の空気に晒された肌が急速に熱を失っていくのを感じ取る。
(クッ……魔王の言う通りにするのは癪だが、背に腹は代えられん)
勇者が炬燵布団の端を持ち上げ、両足を炬燵の中に突っ込んだ次の瞬間
ジュッ――
「あっづぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう!?」
肉の焼ける音と同時に、勇者が炬燵から飛び出す。
「あっづいあっづい!!」
「勇者様!?」
両足を抑えながら地面をのた打ち回る勇者に僧侶が駆け寄り回復魔法を掛ける。
「一体何が」
僧侶に介抱される勇者を横目に見ながら、魔術師が恐る恐る炬燵布団を持ち上げ中の様子を見る。
魔術師が炬燵布団を持ち上げた瞬間、魔術師の顔に凄まじい熱気が襲い掛かり、チリチリと皮膚が焼けるような不快な感覚に襲われる。
炬燵の中では炬燵の熱で溶けた氷の床が巨大な窪みとなり、その中はグツグツと煮え滾った水で満たされていた。
「な、なにこれ……」
「何って、炬燵だが?」
「こんなグツグツ煮え滾るような炬燵見た事ないんだけど!?」
「別に不思議な話でもあるまい、ここは氷獄だぞ?普通の炬燵程度の熱では焼け石に水だ、これ位でなければ何の意味もない」
「何で貴方達はこんな物の中に足を突っ込んで平然としてられるのよ……氷雪系でしょ?むしろ苦しむべき所じゃないの?」
「ふん、確かにお前の言う通り我々は氷雪系だ、だが氷雪系だからと炎や熱さに弱いと思ったら間違いだ。この程度の熱、冷気を操り自分達に丁度良い温度まで下げる事くらい造作もない」
グツグツと煮え滾る炬燵の中に両足を突っ込んだまま、平然とした顔で氷獄の魔王が答える。
良く見えると服が濡れないようにするためか、ズボンの裾が膝上まで捲り上げられており魔王らしさの欠片も無い。
「ぐぅぅ……おのれ魔王、絶対に許さん……!!」
僧侶によって治療を終えた勇者が立ち上がり鞘から聖剣を引き抜く。
「ここで貴様を叩き斬る!!」
「おい、さっきの話もう忘れたのか。まずは自領に潜む魔王を倒すのが先決だと言っただろうに」
「関係あるか!! 貴様は魔王だ! ここで見逃すという選択肢など無い! どうせ遅かれ早かれ戦う事になるんだ! ここで終わらせてくれる!!」
「はぁ……血気盛んな勇者だな、しかしここでお前を倒しても我にメリットなど何も――」
そこまで言いかけて、氷獄の魔王はピタリと動きを止める。
氷獄の魔王が向ける視線の先、そこには怒り狂う勇者の姿があったが、氷獄の魔王が見ていたのは勇者本人ではなく、勇者の身に付けている武具であった。
「その鎧、それにその聖剣――良いな」
「……は?」
「ハハハ! やはり思った通りであった! この鎧には体温調整の加護が付いていたか! 氷獄で金属鎧を身に付けていながら凍える様子も無いからまさかとは思っていたが、暖を取れる剣と合わせてこれは良い物を手に入れた!」
「魔王様! その鎧をお脱ぎください!! 魔王が勇者の装備を身に付けるなど、このような姿を部下に見られでもしたら!」
「勇者から物を奪い自分の物とする――実に魔王らしい姿であろう。別に恥じる事も隠す必要もあるまい」
「そういう問題ではありません!」
ギャーギャーと言い争っている二人の足元には、身ぐるみを剥がされ氷の床の上で震える勇者の姿があった。
「お……おのれ氷獄の魔王……お、覚えていろ……何時か、何時か必ずお前をた、倒してや――へくしゅんッ!!」
こうして、勇者スラグの魔王討伐の初戦は大敗に終わったのであった。
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