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紅椿  作者: 杉野御天
9/13

ルイとシュウ

結局ルイはシュウにごはんを奢ってもらうことになった。

色々考えた挙句、全室禁煙でごはんも食べられるカフェに入る事にした。

タバコの匂いが衣服につけば、母親に勘付かれてしまうからだ。


「ルイちゃんは何食べたい?」

別に食べたいものなど無かった。

エリコとだったら何もかもが楽しかったのに、シュウといる時のルイは冷め切っていた。

それでも今この男を手放す事は出来ない。

大事な金づるを逃してなるものかと、ルイは咄嗟に演技した。


「あたし、このパスタが食べたいな!」

ルイはこの店で一番安いパスタを選んだ。

「ルイちゃん、遠慮せずにもっと色々頼んでいいんだよ?」


ルイはイライラした。金づるがあたしに指示するな!

あたしに指図していいのは、エリコだけよ!


シュウの親切心を「うるさい」と思ったルイは、途端に目の前の男がウザくなってしまった。もう金も受け取ったのだ。

この男に構っている暇はない。


「あたし、帰る」

「ええ!?今お店入ったばっかりなのに」

「ごめんね今日ママ帰ってくるの早いの忘れてたんだぁ。」

ルイは嘘をついたが、シュウは気づかない。

「あ、そうなのか」

と、何の疑いもなく納得した。


「それなら仕方ないな!また何か困った事があれば呼んでくれよ」

「うん!シュウくん大好き!」


ルイは貼り付けたような笑顔でシュウに別れを告げた。


(あたしに今必要なのはあんたじゃない)


一方一人ポツンと残されたシュウは、

(寂しいけど仕方ないか、今のルイちゃんには俺しか頼る人がいねぇんだから、ルイちゃんの為なら俺の寂しさくらい、何でもないさ)

などととんでもない思い違いをしていた。


ルイとシュウが相入れる事など絶対に不可能だった。


お互いそばにいて、身体の関係があるにもかかわらず、ルイはシュウを金づるとしか見ておらず。

シュウはルイを通して、恋愛をしている自分に陶酔しているのだから。


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