シュウという男
「これからどうする?」
と問いかけてくるシュウの声に、ルイは初めて振り返った。
ルイは男の顔を見ながら思った。
何故、この男はいつも自分で考えないのだろう。
何故、あたしに答えを求めるのだろう。
あたしが「死ね」と言ったら死ぬのだろうか?
実際、このシュウという男は、歳の割りに子供じみたところがあり、世間で言うところの恋愛依存症であった。
常に恋愛をしていないと生きていけないのだ。
「ルイに恋している」「ルイを愛している」という思い込みが、シュウという男の生きがいになっていた。
しかしこの男には決断力が圧倒的に不足していた。
だからいつも、女の思い通りになってしまうのだ。またシュウも、心のどこかで「それでもいい、ルイが望むのなら」
と思っていたので、救いようがなかった。
ルイは空虚な気持ちだった。
目の前でよくしゃべる男は、利用されている事にも気付かない。
あたしはもっと、頭のいい人が好きなのよ。例えば、エリコみたいな...
シュウはまるで恋に溺れ、浮かれた中学生のような男だとルイは思った。
シュウは会社経営をしている。いわゆる社長だった。
社長なので金には不自由していなかったが、何しろ恋愛依存症な上このような性格なので、女運がすこぶる悪かった。
すり寄ってくる女は大抵シュウの金が目当てだった。
シュウはそのことにまるで気付かない。
それどころか「頼られている」
「この子には俺しかいない」
といった勘違いをいつもしているので、女にとってシュウは、絶好のカモであった。
ルイは思った。
このシュウと言う男は、絶望的に馬鹿な男だと。