出会い
寒さ厳しい冬のある日、平凡な主婦江理子はこの寒い中デパートで買い物をしていた。
「メリークリスマス!」
サンタのコスプレをした大人が、そう言って江理子に一輪の花を渡してきた。
そう、今日はクリスマスなのだ。
「まぁ綺麗、本当にもらっていいの?」
「はい、その花はサンプルですから」
江理子はそう言われた花を見た。
紅い、紅い椿の花だった。
「ありがとう」
江理子が寒い中デパートに来た理由は、旦那へのクリスマスプレゼントを買うためだった。前から旦那が欲しがっていた靴を買いに来たのだ。
目的の靴を買い終え、電車に乗り込む。
片手には靴の袋を、片手にはもらった花束を持ちながら。
クリスマスということもあって電車内は人で溢れかえっていた。
(さすがクリスマス、いつもより多いな)
やがて合図の音と共にゆっくりと電車は発車した。
しばらく揺られていると、隣に立っていた少女がうつむき震えている。不思議に思って少女を見ると、なんと痴漢に遭っているではないか!痴漢は少女のうなじに興奮した息を吹きかけ、手は少女の尻を触っていた。
(このクズめ!)
江理子は見るやいなや、持っていた花束を靴を持っていた手にうつし、痴漢行為を行っているオヤジの手をひねりあげた。
と同時に、「この人痴漢です!」
と、大声で叫んだ。