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2 自分探し

まず1つ言わせてくれ


なんでこんなに遠いんだ……


アリスの家を出てから約1時間

散歩感覚で出発した俺はすでに暑さと疲労でフラフラだった


「だらしないわねぇ。男でしょ?しっかりしなさい」


(うるせーこんちきしょー)


なんでアリスはあんなに軽やかに歩けるんだ

やはりこれが人間と魔法使いの違いなのか……


「ほら、もう少しよ。貴方も見えるでしょう?あそこにある神社が。あれが博麗神社よ」


「ハァハァ……どれ?」

「あれ」


俺はアリスが指差す方に目を向け落胆した。


なぜなら目に入って来たものは神社へと続く長い長い石段だからだ。


「う……うそだろ?」

「文句ばかり言わない。私は飛んだ方が早いんだからね」

「えっ!飛べるの⁉︎」

「何をいまさら」

「もしかして……ここの住人達って」

「ええ。あらかた皆飛べるわよ」


俺は言葉を失った。


「さぁ行くわよ」

「ラ、ラジャー」

「ラジャー?」

「俺の世界でいう、分かりましたって意味」

「ふーん。ラジャーね……ふふ、気にいったわ」


30分後


石段はまさに苦悶だった。

アリスはふふふと言いながらラジャーという単語を繰り返して俺にゲシュタルト崩壊を引き起こさせるし、石段はきついし、おまけにこの気温……気が遠くなるぜ。


「つ、ついたー」

「時間かかり過ぎよ……霊夢ー?いるかしらー?」


アリスは神社の奉納箱に10円玉を賽銭しながら、本殿の横にある部屋に向かって言った。


「その声は……アリスね?今行くわ」


少し開いた障子の隙間から手を出しサインを出す博麗の巫女と思しき人。

数分後 彼女はようやく姿を現した。


大胆に腋とヘソを出した紅白の衣装に特徴的な巨大リボンという格好をした彼女は俺の世界の巫女とは似ても似つかない姿だった。

そしてこちらもやはり容姿端麗だ。

この世界には可愛い子しかいないのか……


「アリス……その男は?」

「昨日ここへ迷い込んだ外来人よ」

「へぇー貴方名前は?」

「今は信道 光と名乗っている」

「今は?」

「あぁ。この人記憶喪失なの。自分の名前はおろか住所、配偶者、その他自分に関すること全て何も覚えていないわ」

「あら?そうなの?なら何しにここへ?」

「貴女ならこの人を元の世界へ返せるかなぁ?っと」

「それは無理ね」

「……だそうよ?光くん」

「なんとかできないのか⁉︎博麗の巫女さんよ!」

「あのねぇ私は神様じゃないの。自分の事が分からないのなら返しようがないわ」


落胆する俺をよそにアリスと巫女は何かを話している。

そして話が終わったのか巫女が俺に言う。


「なんだっけ?光くんよね?」

「……一応はな」

「残念ながら貴方を元の世界へ返すことはできないわ」

「……」

「ただし衣食住を提供してあげる」

「……どういう事だ?」

「貴方が記憶を取り戻すまでは家に泊まりなさいってこと」

「いいのか!」

「ええ。ボッチのアリス宅にいるよりも私の所にいた方がいろんな経験が得れると思うわ。私の家は毎日いろんな人が来るから」

「霊夢!口が過ぎるわよ!……光彼女の本当の目的は生活費が増えたと紫に泣きついてお金を手にする事だからね」

「……あんた……本当に巫女かよ?」

「あら?悪いかしら?お金は必要よ?それに貴方に家事をして貰えば楽だしね」

「まぁそれは置いといて、紫ってのは誰だ?」

「ここによく出没するスキマ妖怪よ。一応幻想郷の管理人みたいな感じかしら?詳しい話は本人から聞きなさい」

「とりあえずは分かった」

「まぁ提案はしてみたけど……どうするの?決めるのは貴方よ」

「……分かった。これからよろしく。えーと名前は?」

「博麗 霊夢。 霊夢でいいわ」

「じゃあ霊夢さん。よろしく」

「だから霊夢でいいって……よろしくね光」


霊夢が俺に右手を差し出す。


あれ、この感じ……どこかで……

その瞬間俺の後頭部が突然疼き始める。


「ぐ…!ぐあぁぁあ!」

「!!どうしたの光!」

「ちょっと!しっかりしなさいよ!光!」


俺の脳裏に映像が流れ始める。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「次!名前は?」

「は!染谷 大五郎!一番隊の隊員であります!」

「以上!250名集合完了!」

「皆!隊長に敬礼!」


ザッザッザッ……ドン!


「皆の者!よく聞け!我々[日米軍]は遂に敵をあと一歩の所まで追い詰めたぁぁ!」

「おおぉぉぉ!」

「ここまで来たのは皆それぞれの功績である!皆な健闘を称え今から1人1人お互いの手を握りあえ!……そして……この戦を終わらせるぞ!」

「おおぉぉぉ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここで映像は終わった。


今のは……俺の記憶……なのか?


「ちょっと光!大丈夫なの?」


俺はふと我に帰る。霊夢とアリスが俺を気づかってくれていた。


「ああ……なんだか変な夢でも見ていたようだ」

「でもあの痛がり方尋常じゃなかったわよ!」

「大丈夫だ。今の所は」

「そう……危なかったらいつでも呼びなさいよ」

「私も暇なら相手するわ」

「ありがとう。二人共」


それから俺たちは部屋の片付けやアリスの家から俺の物を持ってきたり(持ってくると言っても荷物はあまりないけど)して、その日は終えた。


俺はアリスにお礼と少しの別れを告げ、霊夢宅へとお邪魔した。


「ふぅー疲れた」


俺は昼間に見た映像を思い出す。

あれが俺の記憶なら……俺は…


「光〜ちょっと手伝って〜」

「あ、ああ。わかった。今行く」


いや、きっと違うだろう、と思い俺はとりあえず今の業務に専念する事にした。



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