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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
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9/97

展開と新事実

  また、気を失ってしまったようだ。


  再び、天井が最初に目に入る……アーニャと一緒に。


  てか、またこの展開かよ!

  隣でアーニャが添い寝している。はだけた服からふくよかなものがー。


  (ダメだ!俺、アーニャは精霊、精霊精霊精霊……)


  まるで円周率を暗唱するように頭の中で淡々と唱える。


  「ん、うぅ〜ん」


  アーニャの寝言が妙に心をくすぐっていたたまれなくなる。


  俺は今度こそ意を決して彼女に向かって手を伸ばす…。

  30センチ、10、5と俺の手がアーニャの方へ向かっていく…。


  もちろん予想される到着目標は言うまでもないがやはり寸前のところで俺の人差し指は急停止し、急に戻そうと慌てたためか彼女の顎に指がさっと、触れる。


  俺は急に緊張して体を固めてしまう。

  が、それではビクともしないようで可愛い寝息を立てたままでいる。


  それで俺のここも落ち着いたので普通に起こす。


 

  「おーい、起きてくれー」 ユサユサ


  彼女は寝起きは悪くなくすんなりと起きてくれた。正直、ホッとした。

 

  そして彼女が本当に覚醒すると普段の笑顔を見せでくれて

  「おはようございます」と挨拶してくれる。


  俺も返したところで、早速話をする。


  「ここは…どこだ?」


  「ここは学校の保健室ですね」

 

  それを聞いて辺りを見渡す。確かにそれっぽい感じの部屋にいた。


  「それにしても悠人は…、一体何をやってしまったのですか?もう…、あなたが武器庫の厳重な扉を壊したと聞いたからヒヤッとしてしまいました。ですけど扉の破片の散らばりの方向から見て悠人は中から扉を壊したことがわかりました。さぁ、話してください悠人。あなたに何が起こったのかを」



  「あまり大層なことじゃないんだ。たまたま、偶々中で俺に合うような武器を探してたら他の人が中に誰もいないと勘違いして閉められちゃっただけなんだ。それで中から開けようとしたんだけど開けられなくて…、やけくそで魔法を使ってみたんだけど失敗しちゃって…、火の魔法だったから中で燃えちゃって息が苦しくなって、一か八かで中にあった黒い剣で扉を壊して出てきたんだ」


  俺はそこでふと思って聞く。


  「そういえば、あの黒い剣はどこに行ったんだ?はっきりと見てないから見たいんだ」


  そう言うとアーニャが驚きの顔をしていた。


  「まさか、あの剣を抜いたのは悠人だったのですか?」


  「?、そうだけど…」俺はそこでハッとなって続ける。


  「まさか…大事なものだったり?」


  「あの剣は今まで誰も抜くことができなかったのですよ。でも太古の昔に使っていた人がいたらしく、その人の持つ剣は片手剣の二倍の長さなど御構い無しに相手を斬り伏せその時代では最強と呼ばれていたらしいです」


  さらにアーニャが続けていう


  「ただ、その方は暗殺にあってしまい行方不明だそうで、一説には剣にその人の魂が宿ったのではないかと言われています。その証拠にその剣を使おうと挑戦した者たちが言うには“証”を要求されるらしいです」


  「ああ、俺も証は言われたけど、もう“証”を持ってるみたいなことを言われたぞ」


  アーニャが目を輝かせていた。俺に向かって。なぜかわからないが…。

  「でだ、今思うと証は血じゃないかなと思うんだけど。俺、周りが見えなくて適当に掴んだら切る方を掴んじゃったみたいで…、右手から血を流しちゃったんだ。多分それだと思う」


  「いえ、それは考えられません。文献では生贄まで捧げたのに使えなかったと書かれていました。それどころかそれをした者は残らず血祭りになったとか…」


  俺は寒気がして身震いしてしまう。無意識に。

  これはヤバイものに手を出してしまったんだろうか


  「それで、剣は?」


  「ええ、おそらくこれです」


  と言ってアーニャはキーホルダーほどの剣を悠人に渡す。


  「え、何これ?大きさが違くない?」


  しかも黒くない。


  「そうですね。どうしてでしょう」


  二人で首をかしげる。


  「そこで、男女の密会はやらないでくれる」


  「え!、いやこれは…その…、そうではなくて…」


  「わかってるわよ。からかってごめんなさい。私はマインよ。マイン・ブライト」


  「ええと…俺は相馬悠人です。こっちがアーニャ」


  アーニャが俺の紹介したところでお辞儀する。とても礼儀正しく。


  「聞いているわ。転入生らしいわね。しかも、転入そうそうこんな事件起こして知らないなんて言えないわ」


  「ですよねー。とても反省しております!」


  「あなたが故意に壊したわけではないのはわかっていますから大丈夫ですよ。ただ、それをせざる負えなくさせた奴のことが私は気になるけど…一体誰にやられたのかしら?さぁ、正直に」


  「本当なんですよ。俺も一瞬見ただけであまり覚えてません」

 

  俺はさっきと同じ答えをマイン先生に返す。もちろんデマだ。

  結局いったところで俺は何の得も得ない。むしろその逆だろう。

  いわゆる復讐の連鎖ってヤツ。


  俺が犯人のことを喋ればそいつらに罰が与えられる。そうすれば俺の見立てでは十中八九やり返してくると見てる。しかも同じだけでなく倍に…。

  だが、俺にそれが向けられるなら問題ない。慣れっこだ。

  しかしそれが俺以外の…そう俺と交流のある奴らに向けられるのだけは絶対に許されない。

  俺とそいつらの“こと”に関係ない人を巻き込みたくは無かった。むしろそれこそ慣れてない。






  中学の頃、思春期になった俺はますます勉強に重きをおくようになった。人よりも上に立つために頑張っていた。

  しかし、努力するあまりクラスで浮いた存在になってしまっていた。俺を遠ざけるもの…、俺に話しかけてくる奴など有本くらいだった。でもヤツもクラスの前では俺に話しかけない。


  やがて、顔にニキビが出来始めた頃。当時、洗顔などまるで興味もなくただ勉強だけに打ち込んでた俺は有本が仲間たちからいじめを受けていたのを助けてしまった。

  周りからは“しまった”なのだろうけど、俺は全くそうは思ってなかった。その時までは。


  見事有本が仲間の輪から外れることを阻止できた俺だが、それは矛先を俺に向けるものでしか無かった。

  つまり方向が変わっただけだ。

  俺は正当な方法で奴らに反撃した。そう、先生に言いつけただけだ。

  最初の方はそれで対処ができた。先生(あいつらにとって怖い)の声を録音して流し、そうして回避したこともあった。

  だが、これで一件落着とはならず。むしろ酷くなっていった。

  俺に対するいじめを学外ですることによって先生がすぐに駆けつけられない状況を作り、言葉や拳でのいじめを行う。

  対する俺はやり返そうとはせず、いじめっ子に対して冷徹だった。

  “こいつらは何もわかっちゃいない…”それと同時に失望した。その程度の人間なのかと。


  俺は心の中でそいつらを低能だと蔑みながらも耐えてきた。俺は間違ってないと信じて…。

  最初から気にしていなかったが、有本は結局その集団の中からは追い出されたが、違うコロニーを作ることに成功したようで新しい仲間とワイワイやっていた。


  その俺の抵抗しない行動に賛同してくれる人もいたが、俺にかかわったが最後、クラスの連中も矛先が変わると感じていた俺はそいつらの親切心を手で弾いた。


  それからというもの俺へのいじめの応酬はぱったりと無くなった。

  それもそのハズだった…。


  それは、受験だ。受験によって俺をいじめる暇さえ無くなったのだろう。それとも、奴らが受験を機に心を入れ替えたか…だ。


  俺は後者だとありがたいが、おそらく前者だろう。


  だが、これで証明できたと思った。社会がどうなっているのかを。


  社会は少なくとも日本では実力主義であるだろう。故に力のある奴ほど上に行ける。が、力の無いものはいつまでもどん底のまま死ぬのを待つのみなのが現状だ。


  死なないだけマシなのかもしれないが…。

 

  もちろんそんな奴らのことなどゴミにしか扱われないというのが今の世の中だ。あまつさえ、若者たちの都合のいいはけ口になる始末だ。


  だからこそ、そうならないためにも!

  俺は努力した。人よりも、隣のやつよりも。

 

  だって、俺には何も無いから。何も無かったんだ。

  でも!


  どこかで信じたかった!

  1つでも誇れる何かが。スポーツでも、芸能界でも

 学者でも、何でもいい1つだけこれは!というものが欲しかったんだ。



  でも、ある転機があったんだ。



 ♢ ♢ ♢



  マイン先生に許可をもらって教室に戻ると真っ先にクラスの奴らに謝られる。怒涛の勢いで。


  まぁまぁとなだめた。みんな、責任を感じているんだろうと思ってついつい笑みがこぼれてしまう。

  こういう生き方も悪く無いと思える。


  みんなに囲まれて生きていくのも悪く無いと思えてしまう。


  我ながらずいぶんな変わりようだなと自分に苦笑してしまう。


  「大丈夫だよ。大したこと無かったから」


  と言って、ほらと言わんばかりに手を広げる。

  怪我と言っても擦り傷が頬にある程度であとは全く無かった。


  クラスの奴らはそれでもなお納得できない表情をしていたがそれでいいんだ。と突き通した。


 



  今日は魔法実践の授業だ。

  俺は張り切っていた。というのも、今まで理論ばかりで(理論と言っても基礎のまた基礎…)退屈していた。


  やはり、魔法は使ってみて初めてわかるものだろう。


  つまり、スポーツと似ていて感覚が大事だと分かっていた。

  感覚を掴むのは正直言って楽では無い。掴んでしまえば簡単だが、掴むまでの時間はかなり体力的にも、また精神的にも辛い部分があるだろう。

 

  「では、今日は基礎魔術行程による簡単な魔法発動を実践してもらうが…みんなは2回目だからある程度は発動できる奴もいるだろう…。ということで、できたやつから授業は終わりでいいことにする…。」


  アイナ先生がクラスのやつに言い放つ。


  周りでは、拳を上げて喜ぶ者もいれば、文句たれたれで「えー」と言っている者の2つにハッキリと反応が分かれた。 俺以外。


  そうは言いながらも先生の言ったことは絶対と言った感じで、実習が始まった。


  今回は“基礎魔術行程”による初等魔術の発動が目標だ

 先生が理論の講義で行った順番で魔法を発動しなければならない。


  だからこそ苦戦する生徒が多いらしい。誰しもここの生徒ならある程度の、つまり初等魔術程度は発動できることは入学することはできて当然ということが暗黙の了解らしい。


  あくまで、暗黙の了解であるから絶対というわけでは無い。

  実際、ここに入るまで知らないというやつもいる。

 俺や彼女みたいに…。


「うーん、うーん」


  このカレンが隣で苦笑いをしながら、見守っている彼女は、フローラ・ハリシェット。


  彼女はある病気を抱えていて、長い間休養していたため留年して今に至るらしい。

 ある病気とは時々しか発症しないもので逆に珍しい病らしい。

  どんな病気かは教えてもらえなかったが、他人に移るような感染症の類では無いと強く言われたので俺的には平気だが…。


  ロビンを見ると…。


  もう先生に見せて終わったところだった。

  (まぁ俺に教えられるくらいだからな、これくらいは簡単なのだろう)


  そのロビンが俺に「お先〜」とドヤ顔で去っていったので俺に対抗心が湧く。


  (絶対にやってやる)


  ちなみに制限時間は授業終了まで…つまり90分間である。


  (まず、頭の中で炎となるものを連想する…次にそのイメージを固定しながら出したい場所に持っていく…そしてそれを外に取り出すようにすれば……)


  ドカーーン!!!


  俺の真後ろで爆発が起こった。幸い誰もいなかったけどもしいたら大惨事だ。


  さすがにみんなの注目を浴びてしまう。


  先生も驚いているが先生はいち早く立ち直り、俺に向かって近づいてくる。


  「なぁ、お前…これは…どうやってやった?」


  「え、いや…別にこれといって何も…先生に教えられたとうりにやったつもりなのですが…?」


  やった張本人の俺ですら最後の語尾を上げてしまう


  「お前は千年に一度秀才だよ…」


  といい、俺に「合格だ。上がっていいぞ」と言って去ってしまった。


  俺を含め、残っているクラスメイト全員が同時に首を傾げた。


  (なぜだ?盛大に失敗したはずだ。俺がイメージしたのはあくまでロビンと一緒に練習した炎の魔法なのにアイナ先生は合格だと言ってくれたのはなぜだ?)


  俺は煮え切らない気持ちを抱きながらも演習室を後にした。


  そして、空いた時間をアーニャとの昼食に当てた後。ふと外を見るとフローラがグラウンドの周りを走らされていた。

  おそらく罰ゲームなんだろう。


  俺はふと頬を緩ませてから、視線をそこから外した。


 


  「ああ、相馬はちょっと来てくれ」

  「あ、はい」


  俺はまだ慣れないので先生には従う。でも、従ったほうがマシな先生だというのはみんなの反応からしてもわかる。


  俺はアイナ先生の後についていく。連れて行かれたのは…


  「ここに座れ」


  まさかの生徒指導室でしたー、


  (マジですか先生!俺が何かやった…のは完全には否定できませんが、少なくともあなた方の迷惑になるようなことは…扉を壊したので言えませんが…それでも先生にお叱りを俺が受けるのは何か違うと思いますよぉ)


  先生は机を挟んだ向かい側に座る


  「で、ここにいるわけだが……わかってないような反応してるな」


  アイナはため息を()く。


  「じゃあお前が来てからの数々の事件を思い出してみろ」

  「そうですね。あまりよろしく無いことだったことをしたことは重々わかっているつもりです。ですが、新米な自分があそこから生き残るためにはそうするしかありませんでした」


  俺ははっきりと主張する。先生はおそらく他にやり方があったんじゃあ無いかと言いたいんだろうが、魔術に関して知識がほとんど無い俺にとって、あれが今のところの最善の方法だと思っていた。


  「そうか…」とこの件はこれでおしまいだという仕草をした後、空気が一変した。


  「では、次だ。正直に言え。言わないと扉の修理代をお前に請求するぞ!ズバリお前に武器庫に行くように助言したやつは誰だ?」


  先生は俺に向かって手をかざす。


  その瞬間、粘性の何かに身動きが取れなくなったように体が思うように動けなくなった。俺は魔法を使われたのだと気づく。


  「くっ!」


  (どうしたらいい。言えば、俺は楽になれる。こんな拷問みたいなことをされずに済む。だけどせっかくできた仲間をそんなあっさり悪者にしていいのか?しかもあいつらも責任を感じていた…。ならば…


  あいつらのせいにすべきではない‼︎)


 

  「さぁ、楽になれ相馬。お前は言うだけでここから解放される。悪い話じゃないだろ?」


  「い…いいえ。それを言うことはできません!そんなことでせっかくできた仲間をみすみす裏切るような真似は出来ない‼︎」

  「それに先生は何か勘違いしている。確かに仲間が武器庫に行くように言ってくれた…。だけど!俺を閉じ込めたのもその仲間だとは言い切れますか」


  俺は言い切る。ここでカードを出したくはないので多少濁すけど……。


  でも先生は急に笑い出した。

  俺は何が起こったかわからないといったふうに混乱していた。


  「そうか…あくまでシラを切るかって言いたかったんだけどよ、本当に黙るだとは笑えちゃうねこいつは」


  「どういうことでしょうか」


  俺はすぐさま質問する。


  「なぁ。武器庫ってのはさぁいろいろな武器が入ってるわけじゃん。しかも、その入り口は頑丈な扉で閉めるほど厳重。つまり…もういいよな」


  先生が「わかっただろ」というので自信がないが俺は考える。


  (大事な武器があるから厳重に管理しなければならない…。だからこそあんな扉になっていた。だが、それだけでいいのか…おそらく日本なら…)


  俺は恐る恐る口を開く。


  「まさか、犯人はわかってると言いたいのですか?」


  俺は日本だったらセキュリティ上どうするかを考えてこの発言に至った。


  先生は顔でご明察といって笑み、口を開く。


  「犯人は不良染みた集団じゃあなかったか?」


  「そ、そうです…」


  俺は恥ずかしくてうつむいて答える。

 

  「でも、その不良たちをどうするおつもりですか?」


  「もちろん。犯人なんだから相応の罰を受けてもらうわ。お前で」

 

  最後の発言が引っかかるが…すぐにわかる。


  「もちろん。魔法でそこに不良たちが存在させられるといった。投影や分身といった類の口実をつけられるだろうから、正々堂々とやってもらうためにお前と不良たちで戦ってもらうことにした」


  「それ意味わかんないっすよ。何言ってんですか先生!全然理屈が合っていません」


  「で、お前が勝ったら潔白の証明になる。扉の件もお咎めなしだ。だけど…もし負ければ、お前に扉の修理代の請求と私がクビになる」


  俺はますます意味がわからず先生に食ってかかる。


  「ちょ!なんでそんなことかけてんすか⁉︎第一無理でしょ!勝つなんて…なのにあなた自身のクビまで天秤にかけて…、あなたが俺になぜそこまで信頼してるかはわかりませんけど、少なくとも俺はそこまでの人間だとは…!」


  俺はそこで口ごもる。今、危険なことを発してしまったからだ。焦って周りをキョロキョロする。


  「お前の心配には及ばんよ」


  アイナが手で制する。


  「まず、私がお前に信頼しているというのは少し違う…お前に期待しているんだ」


  と言ってポケットから四角い箱を取り出した。


  「それは増幅器(ブースター)、なぜ先生が…?」


  「わかるだろう?これで…私が何者か…」


  「先生は…人間…?」


  「あぁ、そうだ。私は初の人間で魔法を行使するのを実現した第1期生だ。そして、今は人間解放のために裏で動いている…。君はまだ分からないだろうが、この世界では魔法を使えないものは外で飼われている家畜同然の扱いだ…。幸いここの女王はそういうのに寛容だからいいのだが…まだその風潮は根強く今でも奴隷売買が裏で行われていたりする。私たちはそれを変えるために働いている。私はこの学校での意識改革するためにここにいる」


  先生はふと立ち上がり窓を見ながら続ける。


  「お前は実践授業であれだけの威力の魔法を発動させた…人間ではなせる業ではない…この増幅器をもってしても…」


  「あれは!、あの時はイメージがよくできなくて…自分でも威力のコントロールが効かなくて…、それでロビンに危うく怪我をさせてしまうところにもなりましたし…だからよくないんですよまだ」


  しかし、アイナは笑顔で振り向き。


  「心配しすぎだ。学生同士で殺し合いをしろとは言ってない。だからこそうちの学園は擬似空間(アストラルカーディガン)がある。これなら、痛みこそ伝わるが血の惨劇にはならないよ。さぁ、話は終わりだ。決闘は明日の放課後だ。準備しておけ」


  そう言われて外に追い出される。

  教室に戻りながら、考えを巡らせる。


  確かに殺さずに済むのはありがたいというか、そうでもしないとまともに戦えないところだった。

  でも俺の勝ち負けにかけられているものが重すぎる

  俺はこんなことは経験したことないし、第一相手が何してくるかわかんないのはかなりキツイ。


  要するにもっと時間が欲しかった。


  そう思いながら教室に戻り、もう誰もいない閑散とした部屋から荷物を持って寮に帰る。


  もう生徒などいない時間帯になっている。

  と思ったが、目の前にいた。また校門だ。


  無視しようと思ったがさすがに性格上できなかった


  「どうした、帰らないのか?」

 

  と、無難な問いかけをしたつもりだったのだが…彼女はとても不機嫌だった。


  「別に、あなたが全然来ないからってイライラしてたわけじゃないわ」


  とずかずかと先に行ってしまう。

 

  「待っててくれなんて頼んでないぞ。それならそうと言ってくれればよかったんだ」


  すると


  「一応、あなたの教室にも行ったのだけど、先生に呼び出されたって言っていたから言うタイミングを逃したのよ」


  俺が言い返そうと口を開こうとしたが手で制されてしまった。それよりも何か別の話があるらしい。


  「悠人…、あなた決闘するですってね」


  「いやそうなんだよ、全く勘弁してくれよ…ってかなんで知ってんだよ」


  俺が不思議がってるとローレラはカバンから聴診器を取り出した。


  「何やってんだよ!趣味が悪いんじゃないですか、仮にも寮長代理ですよね〜?」


  「あなたはすでに寮全体に知れ渡ってるわ。素行の悪い生徒として、ゆえにあなたが何か悪いことをしでかさないかの監視役として私が選ばれたのです」


  「じゃあ、いらないから。心配には及ばないよ。そのための決闘だから」


  「そうですか。精々頑張ってください“ひとり”で」


  「はいはい。頑張りますよ」


  その時は生半可に返したが、後に後悔することになるのであった。


 


 


 


 


 


 


 


 

 

 


 


 



 



 

 

 


皆さんとのお約束通りなんとか出せました。投稿してない間に見てくださった方、いつも確認しています。ありがとうございます。


さて、この度新作をカクヨムでも発表させていただくにあたってこちらの方にも影響が出るかと思いますのでご理解いただきたいと思います。

まぁ建前はこの程度で…。


やっとおわれました。どこで区切ろうか悩んでしまって、ここまで長くなってしまいました。本当はいいところまでやりたかったんですけれど…そこはお楽しみということで…。

この“想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)”はまえから悶々と構想していたお話なのでスイスイかけるんですけど、カクヨムで始めた新作は0から始めていますので、あまり進まなくて…そちらに時間をかけてしまうかもしれません。

主人公の設定に悩んでいて、それ次第でかなり変わるじゃなんかと思っていて、かなり悩んでいます。

長くなってしまいましたねごめんなさい。

それでは、来年もよろしくお願いいたします。



今年の一番良かったことはカラオケで97点取ったこと


小椋鉄平

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