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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
ナイルダルク編
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限りなく稀有な出会い

「どうして……お前が……」


 悠人は空いた口が塞がらないといった感じで、驚きを隠せないでいた。


「さぁ、なんででしょうね?」


 にこやかに返事をして返した。その表情に悠人は後ずさり狼狽(ろうばい)した。


「いや、待って……そんな……まさか……いや、夢だ!? ゆゆゆ夢に違いないんだ! だ、だってここは地球じゃなくって……」


「はい」


「っ!?」


 不意に彼女の顔が目の前に来た。悠人は驚いて瞬時にバックステップで距離を取る。


 さらに長剣を顕現させ、臨戦態勢をとった。


(そんな訳がないんだ! 誰かが俺に揺さぶりをかけようとしている。ナイルダルクは俺が生き返ったと知って殺しに来たのか?)


「あらあら、物騒なものまで手にしちゃって。お母さん悲しいわ……」


「お前は俺の母さんじゃない。 タリスに俺の親はいないんだ。いい加減に正体を現せよ!」


 悠人は瞬間移動で目の前に近づいて大きく縦に一閃した。


 ものすごい酷い音を立てて母親が切られていく。


(っ!?)


 少し、罪悪感が起きないでもなかった。違うと分かっていても親を切っているように思えてならなかった。


 しかし、身体からは血が吹き出すこともなく左右に倒れた。


(やはりダミー。 本体は)


 悠人は周りを見渡す。


 右の方向には田畑が並んでおり視界が開けている。逆に左にはすぐに森がある。


(来るならそっちか!)


 悠人は重心を低くしていつでも横薙ぎができるように構える。


 またもや母親の顔をして森から奇襲をかけようと出て来た。


(ここだっ!)


 悠人は瞬時に横に薙いだ。


「我が息子ながら甘いわ」


「っ!?」


 悠人の剣は確かに母親の上半身と下半身を分けるように剣を持っていったところで母親の左手によって止められる。


 さらに母親の右手は繋がっておらず、その手は悠人の背中から出ていて悠人の首に剣を突き立てていた。


 悠人は剣に力を入れるが、軽々と左手に進行を阻まれてしまう。


「ねぇ、どうやったら信じてもらえるのかしら?」


 見た目母親の顔が悠人の耳元に近づいてささやいた。


「絶対に無理だね。それに……」


 悠人は瞬間移動で距離をとった。


 本来ならば逆に相手の背後に入り、無防備な背中に一閃入れるのだが、悠人の中で迷いがあったのだ。


(そう。タリスに俺の母さんがいるはずないんだ。そもそも母さんがこの世界を知る可能性なんてほぼゼロに近い……)


 迷いを捨て長剣を見た目母親へと向ける。


「悠人!」


 そこへアーニャが現れた。


 見た目悠人の母親は丁度悠人とアーニャで挟まれる形となった。


「あら、あなたが息子のパートナーなのね」


 見た目母親がアーニャの方を向く。その表情は母親そのもので女の子だったためか微笑ましい表情を見せる。


「っ!? あなたは……っ!」


「今だ!」


 悠人は瞬間移動で距離を一気に詰め、その間にも剣を振りかぶって詰めた瞬間に振り下ろした。


「……困った息子ね。 それにまだまだ未熟よ」


「うがはっ!?」


 悠人は首根っこを狭窄され気絶した。


「悠人! 大丈夫ですか?」


 アーニャは無防備にも悠人の元へと駆け寄ろうとする。


 それを母親は見逃さずにアーニャと悠人の間を塞ぐように立つ。


「ど、どいて……ください」


 アーニャの声に勢いがなかった。アーニャには珍しく怖気付いているように見えた。


「あなたは私のことを知ってるのね」


 そのアーニャの表情からそう答える女性……。


「お、恐れ多くも……お名前を伺っても……よろしいですか?」


 アーニャは力一杯の勇気を振り絞って尋ねる。足も震えて緊張していた。


「あらら、人に名を尋ねる時は自分からって教わらなかった?」


 母親はアーニャが緊張していることをいいことに挑発じみた発言をする。


 それでも、アーニャは唇を噛み締めながら、更にない勇気を振り絞る。


「アーニャ・ストラータです……。あ、あなたと同じ精霊です」


「ふふふ、よろしい。 私の名は相馬(あいば)麻耶(まや)よ」


「え? いや、えっと……」


 アーニャが複雑な表情を見せる。何か言いたそうでも、もう既に勇気を使い果たしたところだった。


「分かってるわ。今の名前はそうよ。この世界では、マーヤ・ナンシャルルガ・リケッチアと呼ばれていたわね」


 麻耶がアーニャの聞きたいことを察して答える。


「やはり、マーヤ……様……でしたか……。 あの、人体実験の成功例第一号……」


 アーニャが独り言のように呟く。


 アーニャ自身もマーヤに会うのは初めてだ。 実験施設の資料を読んでそんな名前が二千年前にあったのを覚えていたのだ。


「その話は忘れましょう。 私ももう精霊だとは思ってはいないわ。 人間としての性質は残っていたおかげであの子を生むことができたわけだしね……」


「す、すみません……」


「あなたも私がその第一号だからって畏(かしこ)まることはないわ。 気楽になさい。私のことはお母さんと思ってくれていいわよ」


「で、ではお義母(かあ)さん………」


「い、いい響きだわ!!」


 麻耶はアーニャを突然に抱きしめた。


 アーニャは突然のことに目を丸くしていた。アーニャの中にも少し悪い知恵が働いたから出た言葉だったのだが、こうも反応がいいとはアーニャ自身予想外だった。


「ああ、今すぐあなたをお持ち帰りしたい!」


 頬ズリまでし始めそんなことを口走る麻耶。


「あの? ええっと……」


 アーニャはそんな麻耶の変わりようにあっけにとられてしまいどうしていいのか分からなくなっているようであった。


「んん! ごめんなさい。 もちろん、私も嫌われたくないから程度は分かっているつもりよ。 それで、なぜ私がここにいるか、わよね? 」


「はい」


 アーニャが今最も疑問に思っていることをまたもや当てられてしまう。


「麻耶様はー」


「言わなくていいわ。それとお母さんね。 私のことは知っているようだから省略するわ。あの後、もちろんユージェスと一緒にヴィッフェルチアを存続させた英雄となったわけだけれども、私たちは外の世界が気になって思い切って行ってみたのよ」


 外の世界というのは地球のことであろう。


 マーヤは英雄、勇者とも讃えられたユージェスが使役する精霊の一人だったと伝えられていた。


「私たち、ということは勇者ユージェス……もですか?」


「ええ、すごいところだったわ。私たちの踏みしめている地面が黒いし、魔法はないしで最初は苦労したわ。でも、あちらはあちらで魔法に変わるもので発展して来ているからどちらがすごい……というのは言えなさそうよ」


 アーニャはそれを聞かされても想像でしかその光景を広げられなかった。


「でも、本来交わるべきでなかったこの二つの世界がある地点で偶発的にではあるけれども繋がってしまっているの」


「それを止めるために……ですか?」


「ええ、そうよ。 どうせ私たちはこの国から出て行ったいわば裏切り者だからね」


 彼らは歴史上では『ひと時の英雄』という通り名の下に現代では知られている。歴史上、この英雄ユージェスが出てくるのはこの国にとって苦肉ながらも必要なことであったのでこの話は有名なのだ。


 ただ、彼らを裏で知っていたものたちは多くいた。精霊も同じく研究者達は彼らをひと時とはつけずに英雄と未だに讃えるものもいる。


 それは、彼らがこの国を出て行った。のではなく、探検隊として彼の地に向かったからだと記述されていたりもする。


「それでマーヤ様……んん!? お、お母様は悠人に何をさせようと……? それにその悠人達などがタリスに来られることがもたらす問題ってなんなのですか?」


「んーーーん! 素直な子は大好きよー!」


「わわっ!?」


 再び抱きつかれるが、悪い気はせずむしろあったかく感じた。


 それほどまでに麻耶が本意にしてやっていることであるのが伝わった。


 すぐに放すとおもむろに口を開く。


「まず、最初の質問ね。 逆に聞くけど悠人は本当にこんな実力なの?」


 麻耶は地面にのびている悠人を見ていう。


「そうですね。 全盛期と比べるとやはり劣るとは思います。 でも、並大抵の奴らにはー」


「それじゃ、私たちの息子ではないわ」


 アーニャが負けませんと言おうとしたところを遮られそのように麻耶が答える。


「すみません」


 アーニャは悠人を強くするように出来なかったことを悔やむ。


 悠人の成長は見られていたけれども、あのナイルダルク侵攻を食い止められたことでアーニャ自身悠人の成長に妥協点を見出してしまっていた。


「あなたのせいではないわ。 この子は私達じゃないと育てられないわ」


「それって?」


「この子……。 【創造(クリエイト)】しか使えないわよね」


 唐突にそんな事を断定される。


「え、ええ……」


 未だに悠人は固有魔法【創造】しかまともに出せる魔法がなかった。創造は想像を現実世界に具現化させるものなので想像さえ完璧にすることが出来ればなんでも可能である反面、それさえ出来なければ何も発動しないという。いわば、諸刃の剣のような側面があった。


 故に悠人は現世の書物から得た映像? に基づいた想像を創造していた。


「それでいいのよ。別にそれだけじゃなくてそれこそが使い方次第で最強の武器なのよ。そして、私はその能力をコピーできる。 ……あなたと同じ。 であれば、あなたと悠人が手を取り合うのは否応でもなくこの魔法世界で生きていくためには必須条件……」


 麻耶は先程から悠人の魔法について話しているが、アーニャには言いたいことがさっぱりだった。


「つまり、何が言いたいのですか?」


「つまり……ね。 もう分かるんじゃないかしら」


 麻耶はニコニコ顔でそう答える。文字だけ見れば一見、悪者じみた発言にも思えるかもしれないが、これはれっきとした大ヒントだった。もう答えに近いといっても過言ではなかった。


「つまり、悠人が想像さえ出来れば自ずと強くなるということですか?」


「その通り、それを教えるために私が来たのよ」


 麻耶は得意げに胸を張って見せた。

いつも読んでいただきありがとうございます!


最近、いろいろなことをやっていてツイッターをあまり見たりしていないのですが、RTされたものは返すように心掛けております。


そのいろいろっていうのはお絵かきだったりするのですが、いわゆる萌え絵ってヤツですね。意外と影だったりと塗る色に困ったり、レイヤーをミスってしまったりしてとてつもなく失敗続きなわけですけれども、めげずに挑戦しております。


そのこともあってラフを全く描けてないという感じでどうしたもんか……なんて思っちゃってる私です。


というわけでいつ完成するか分からない絵を頑張ってます。


小椋鉄平


なんか、変な締めですみません……。

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