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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
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7/97

契約

キャラクター設定(現時点)


相馬悠人:本作の主人公。表の世界では学業、スポー ツともに中間程度。魔法キャパが桁違いに 多いが、強弱に難あり。


アーニャ:人工精霊?それ以外のことは未だ不明


カレン・:悠人のクラスメイト。


ローレラ・:厚生荘の寮長代理。


ロビンソン・:悠人のクラスメイト。魔法研究に夢中


セバス:悠人がタリスへ来るきっかけとなる男。今の 所在は不明。

俺はローレラのあとに歩いている。


「ねぇ、どこに向かってるんだ?」


俺はまだ彼女を信用しきれていない。会ったことがあるとはいえ、その記憶が俺にはない。


「まだ秘密よ。っていうか、アーニャさんから何も聞いてないの?」

「え、君のことは何も。取り敢えずここで魔法を学べと言われただけなんだけど…」


と言うと、ローレラは呆れた顔をして、ため息をついた。


「私は『厚生荘』の寮長代理をしています」

「へぇー」


俺が特に興味なさげに返事すると、ローレラはますます呆れた顔をして「本当に覚えてないのね……」と言って。


「この厚生荘はあなたがつくったのよ。この厚生荘があなたの寝泊まりする場になります」

「へぇー、そうなんだ〜、って何⁉︎」


俺にとっては後者の方が印象に残って、前者に気づくのに時間がかかった。


「そうよ。あなたが各地方から貧しいけれども魔法能力の素質のあるものをスカウトしたのよ。当時のあなたはすごく雲の上の存在だった……。それがこんな……。はぁー」


俺にそんなこと言われたってなんか複雑だ。

相手からすごいすごいと褒められても場合によるだろう。俺にすごいことをやれているという自覚があるかどうかだ。自覚があれば、素直に嬉しかっただろう。だが、自覚がない場合……、言った通りの感情になるのは当然だと思う。

俺は話題を変えようと試みる。


「それはそうとアーニャを知らないか?」

「?それは誰かしら」

「え、アーニャに言われて厚生荘に連れてってくれてるんじゃないの?」

「いいえ、私は先生に頼まれてきたわ」


(なんてことだ、アーニャを知らないだと…)


「そうか…」


俺はそれしか返せなかった。



* * *



「さて、ここが厚生荘よ」


目の前に割と大きな家が見える。逆にそれ以外何も家らしきものがなく、周りが畑だらけだった


「ここかー、なんだか、学校の周りよりも随分と静かだなー」

「そうね、そうとこはいいと思うわ」


そして、中に入る。


* * *



入ってすぐにアーニャが迎えてくれた。


「あ、アーニャ、むごっ!」


迎えられたと思ったら、いきなり口を押さえられる。そして、口の前に人差し指を立てている。


俺は訝しんで「なんでだよ」と言いたくなったが、ローレラが「どうしたの?」とあからさまに心配そうな目で俺を見るので察した。


(少なくとも、アーニャが見えるのは俺とアイナ先生だけだってことだ)


***



そのあとローレラが部屋を案内してくれた。どうやら寮のような感じになっているようだ。

そして俺の部屋は縦に伸びる部屋の一番手前の部屋だと言われた。なぜかそこだけまるで幽霊屋敷のように不気味な感じがした。


俺はローレラにお礼を言ってあらかじめ渡された鍵を使っておもむろにドアを開けた。するとそこは朝に目が覚めたところと同じだった。俺は安心してベットに倒れこむと妙に艶かしい感触に驚きと恐怖心を持って飛び引いた。


「うわあああああ」


するとベットの羽毛布団からアーニャが出てきて「もう、悠人ったら大胆ね〜」と言ったが顔はむしろ笑っている。

俺は頭がパニックを起こしていた。並みの純情野郎にはこの状況が理解できない。


(誘われているのか?いや、こんな生まれてこの年齢になるまでそんなことはなかった。ゆえにそんなはずはない。であればあの笑い顏は実は笑ってない顔だったりして…。いや、ここはまず謝まるのが一番だ!)


俺は素早く正座の体勢をとり、両手を膝の前の地面につけ、頭を地面すれすれまで下げる。


「ごめんなさい!まさかアーニャがいるなんて思っていなくて…、ついついやってしまいました!」


アーニャは笑っていた。本当に俺を驚かせるためにやったらしい。彼女が怒ってなくて俺はとても安心したが、あの柔らかな感触だけがどうにも拭えなくて恥ずかしくなる。


笑い終えたアーニャが急に真面目な顔になって話し始めた。


「彼女たちの反応は気づいてましたか?」

「あぁ、アーニャがまるで見えてないみたいだった」

「これは、あまり言いたくはありませんが聞いてもらえますか?」

「実は精霊は基本、ヒト族には《自然》には感じることは出来ません。ですが、稀に突然変異によって知覚できる者が現れたり、精霊魔術を操る者は感じることが出来ます」


「自然にはと言ったが例外があるのか?」

「はい、実は常に魔力を放出することによりその放出した魔力の範囲内にいる精霊となら限定的に知覚することが可能です」


「じゃあ、今の俺は魔力が垂れ流し状態なのか?」

「ええ、そうです。そのため私を認識できています。ですが、魔力を放出するということは血を流し続けることに等しいんです。ですから、これは一大事です。今すぐにでも調整しなければ知らないうちに死んでしまいます」


「しかし、普通のヒトならばそれは病気なのですがあなたの場合、魔力の循環を体外で行ってるみたいです。それによってその範囲にいる私が見えるわけです」


「なら俺は病気ではないんだな?」

「ある意味、化け物としか言いようがありませんが、今のところそれが原因で何か起こったことはありません。というか、そんなことするのはあなたしか知りません」


俺は取り敢えず身の危険がないことに安堵して早速本題に入る。


「それでこれからどうすればいいんだ?みんなはアーニャが見えないんだろ?」

「ええ、ですから私の存在は秘匿にされてきましたが、あなたがいればそれは別の話です。私を使役できる契約を結んだあなたなら私と魔力のパスをつなぐことでそれを使って実体化することが出来ます」


「よし、じゃあそれでいこう」

「では」


と言ってアーニャは両の手のひらを差し出しその上に魔法陣を出現させる。


「ここに手を」


俺は魔法陣に手をかざした。


「リンク適合率99パーセント、リンクを開始します。目をつむって頭の中に浮かんでくる言葉を唱えてください」


俺は目をつむり、頭に浮かんだ言葉を唱える。


「世のことわりをもって、輪廻がある限りきれぬ輪を」


すると二人の腕に光の腕輪がつけられて消えた。


「はい、これで完了です。これで私は正式にあなたの『もの』です」


俺は契約のことだろうと思って「これからよろしく」と言って握手した。




いつも読んでくださりありがとうございます。

今回は冬休み前ということもありまして早めに出させてもらいました。

冬休みは一週間ごととはいかないと思いますのでご了承ください。ですが、気が向いたらインスピレーションが湧いて書くということもあるかもしれませんが…

やっと冬らしい寒さがやってきましたね。私も病気にならないようにワクチンを打ってきました。皆さん今回は痛いとおっしゃっているようですが、自分はそうでもなかったです。まだ迷っている方は勇気を出してやってみるのもアリかもしれません。


目標はインフルにならずに長期休暇を満喫する 小椋鉄平

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