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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
ナイルダルク編
69/97

本質とアリスの能力

(ふふふ、やっぱりね……)


 と、サーシャはほくそ笑んだ。


「そろそろ出て来てくれないかしら……悪魔精霊さん?」


 サーシャは黒マントをニヤリと悪い笑顔を見せながら、そう告げる。


「………」


 黒マントは何も答えない。あるいはサーシャの“読み”というのが外れたのか。


「じゃあ、無理やりに出て来てもらうわ」


 サーシャはそういった後、右手を指揮者のように構え、滑らかに数字のニを描くように自分の方へ引き寄せる。


「!!」


 黒マントから何やら光が飛び出した。その光は、紅色に光っており、見るからに不気味な印象を与える色であった。


「くっ……よく分かったな」


 後ろから声が聞こえてきた。


「前に同じことがあったからね」


 サーシャは後ろを振り向いて声の主の顔を確認する。声の主は悔しそうにしながらも、何か手があるようであった。


「一応、俺たちを見破った魔法には感服するけど、どんな魔法を使ったのか教えてくれるか?」


「教えてもいいけど、その前にあなたの目的を伺いたいわ」


「それは残念だ」


 その瞬間、黒マントが急に動いた。


(ふふふ、無駄よ)


 高出力の電撃を打ち出そうとしたところで黒マントが止まる。


 黒マントが止まってしまったところで、同じように警戒するようにして男も立ち止まる。


「どういうことだ……?」


 男がサーシャを悔しそうに睨みつける。まるで何をしたとでも言いたげであった。


「もうあなたたちは終わりよ。 精霊は殺せないから捕捉させてもらうけど、あなたは確実に消してあげるわ。 ギース」


 男は、サーシャからギースと呼ばれてなぜ?と答える代わりに喉を鳴らした。


「あら、私はこれでもこの名門学園の学園長よ。 要注意人物くらい簡単に耳に入るわ」




 サーシャはここに来る前に一度アリスフィアの元を訪れていた。


 謁見の間、ではなくアリスフィアの自室で聞くことにした。 理由は簡単で大袈裟にしたくないからだ。


「あら、サーシャさん。 今日は何用で?」


 アリスフィアは笑顔を絶やさず、迎えてくれた。


「ごめんなさいアリス。 ちょっと暗い話になりそうだから」


 サーシャはアリスにそう告げる。 一番初めにそのように言っておいた方が後がやりやすい。相手にしても最初からそうと分かっていたら、準備も出来るというものだ。


「分かったわ。… ごめんなさい、少し外してくれるかしら」


 サーシャの言葉に相槌を打って、待女に声をかける。待女はお辞儀をしたのち部屋を出ていった。


「改めて、時間を作ってくれてありがとう。 ちょっと知りたいことがあって来たんだ」


「ええ、それは構いませんよ。 貴方と私の仲なのですから、拒むことはあり得ませんよ」


 あいも変わらず笑顔を絶やさず応対してくる。


「ありがとう、実は……」


 サーシャはことの顛末てんまつをアリスに話した。


「なるほど……確かに悠人さんを目覚めさせるには確実に術者を消すかしかないと思います」


「それで、その人物と術者のおびき寄せ方が分からないの。相手はただの黒マント。 本体が出て来てくれないとどうにもないもの」


 サーシャはお手上げといったように手を広げる。あくまでも黒マントは魔力を吸い上げる道具に過ぎず、本体は相手から姿をくらまして殺気だけを放っていた方であるとサーシャは確信していた。


「私のデータには、その人物に該当するヒトが一人います」


「ほ、ほんと⁉︎」


 サーシャはアリスに食って掛かるように寄る。さすがの友といえどもそのサーシャの行動にアリスはたじろいだ。


 サーシャを手で落ち着かせる。それで落ち着いてくれたのかサーシャは元の位置に戻った。


「というよりも貴方の同級生じゃないかしら? 名前は……確かギースさんだったと思います。そういうことが出来る魔法師と言えば……」


 アリスの魔法は記憶。あった出来事を確実に記憶することが出来る。ただし、アリスは物語によくあるようにコントロール出来ないことはない。アリスは無意識下で覚えたいという感情によって魔法が発動する。したがって、全ての事象に対して覚えている訳ではない。


 それでいて覚えていたことに対しては幸いなことであった。


「忘れていたわ。 確かにあのヒトならば出来るでしょうね。 それでどうしたらいいかしら?」


「それまでは私でも分からないです。 それはサーシャがなんとかすればいいんじゃないですか?」


 そんなアリスの返答にサーシャはハッとなった。どうやらアリスの記憶能力に頼り過ぎてしまっていたことに気づいてしまった。


「分かったわ。 わざわざ、時間を作ってくれてありがとう。必ず、捉えてみせるわ」


「あっ、ちょっと待って」


 そう言って踵を返そうとしたところを呼び止められた。


 サーシャは何事かと振り返った。


「………これは女王としての命令です。 どうか、殺しだけはしないでください」


 アリスはサーシャの方をしっかりと見据えて伝える。


 何が何でも、殺させはしないみたいだ。


(そんなに簡単に言わないで欲しいのだけれど………)


 サーシャはふぅと息をついたあと、「善処するわ」と言って今度こそ踵を返した。

いつも読んでいただきありがとうございます!


今回は申し訳ないとしか言いようがありませんが、思うように手が動かなかったです。なのでいつもより単調かなと思います。その点でやはりまだ未熟だなの思いました。


最近、恒例の便秘になっちゃいまして薬を入れた後は悶えてました。思い切り生活習慣の乱れだと言われてしまいました。……返す言葉もありません。


という訳で次回も頑張ってかければなと思います。


小椋 鉄平

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