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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
王都へ
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想像の弊害と嘘

 チュンチュンチュン………。


 小鳥のさえずりが聞こえて来た。


 今日の朝のなんとも言えない淡い光を見られたことがとても幸せに思えた。


「………俺、生きてるんだよな?」


 手をグーパーして見たりして感覚を確かめる。


(うん、感覚はちゃんとある)


 こういう地球タリスではあり得ないことが起こった次の日はここがもしかしてバーチャルなのかとかいろいろ考えてしまう。


 最近のゲームは現実との区別が付かなくなるほど良くなっていると聞いているので、あり得なくないなとは感じているけれども、確かめる術がないので、取り敢えず今を生きるしかない。


 あの後は、疲れ果てていたけれども壊した家屋の修理をアリスフィアがすると言って聞かなかったので、壊した張本人……達で直して回った。


 そのせいでさらにどっと疲れが回ったが、それをするみんなの顔に暗い顔はなくむしろ危機が回避されたことで半分お祭り気分だった。


 今日はその件で城から直々に王都民に説明するらしい。


 そっちの件は女王の出番だということで悠人たちの出番はない。今の悠人はもうすでにここのヴッフェルチアの一市民であるからそれに裏方として貢献できたことが自分としても誇りになっているぽかった。


「というわけで、もう一眠り………」


 開けた目をもう一度つむぐ。


「ああ、やっぱベッド最高……」


 こんな当たり前のことが、とてつもなく幸せに感じられるなんて夢にも思わなかった。冬ならそういうことも思うかもしれないが今は別に冬って訳でもない。むしろ夏だった気がする。


 すぐに自我が頭の中へ入り、悠人は眠りに落ちた。



「悠人ー。 悠人ー。 ん? 開けますよー」


 アーニャは、悠人のために昨日用意された部屋に入る。


 もちろん、夜悠人が寝た後でも忍び込んだのだが、悠人はぐっすりだったので邪魔するかもと思い退散して朝に来ることにしたのだ。


「うわっ、ちょ⁉︎」


 悠人に充てがわれた部屋に入った途端、アーニャは驚きの表情を見せる。


 というのも………。


「ものが……浮いてる⁉︎」


 周りの机やタンス、小物までもがまるでここだけ宇宙空間のように何もかもが宙に浮いていた。


 もちろん悠人はベットごと宙に浮いている。


 アーニャはピンと来て悠人を観察する。


(やっぱり、ブースターに身体が触れてる。 という事はここは夢の中の再現なの?)


 悠人は自身が持つ固有魔法が得意だ。というよりもそれ以外はコントロールがつかず威力はあれどもリスクが大きすぎてそれしかまともに使えない。


 ただ、その固有魔法、『創造クリエイト』を持っていれば他の魔法など要らないほど性能が高い魔法で他のヒトがどんなに頑張っても手に入ることのない神級の代物だ。


 しかし、『創造クリエイト』はその魔法が想像に委ねられる為、想像をしっかりしていなければよく分からない発動になるか、逆に爆発物の発生【経験】に繋がってしまい持っていれば最強という代物でもない。


 今、悠人はその『創造クリエイト』を発動しているのだった。


創造クリエイト』は想像したことを現実に創造する魔法であるがゆえに今、悠人が体験している想像ゆめが悠人の部屋に創造されていると考えられる。


 タンスがアーニャ向かって飛んで来た。


 咄嗟にアーニャは回避した。


 タンスは壁に激突するかと思われたがバネのように跳ね返って来る。


「うっ!」


 まさかトランポリンに体重をかけた後のように戻って来るとは思わなかったアーニャに背中からタンスがぶつかりアーニャは飛ばされる。


 文字通りの飛ばされる、なのだ。


 この空間は無重力空間なのでかけられた力を相殺するものがない限りそのまま直線運動を継続して行う為、タンスからの衝撃こそ軽度なものであったが、そこから立て直すのが難しく、アーニャは壁に激突しまくった。


「おぶっ⁉︎……ぶっ! あっ! ぎゃあー」


 トランポリンの壁に跳ね返されるアーニャは周りの家具に当たり、その家具が力を持ってアーニャに当たるというサイクルを繰り返す。


 まさにエンドレス状態であったが、アーニャが「むっ」となって魔法を発動させる。


 発動したのは、軽いファイヤボールで家具を燃やすというものであった。


 しかし、この選択がどうなるかというと………


「うぎゃーー!! いい、引火した!」


 タンスに火をつけたアーニャが悲鳴をあげる。


 ファイアボールは家具を燃やすと同時に家具に運動を与えてしまいそれが悠人が眠るベッドにぶつかり火が回ってしまう。


 幸い、今は火と悠人との距離は遠いが悠人に移ってしまうのには時間の問題であった。





「ん、んん………!」


 奇妙な匂いに目がさめる。


(この焦げ臭い匂いは何だ?………っ?!!)


 目を開けた瞬間目の前に広がる悲惨な光景に絶句する悠人。


 家具はまる焦げ、半壊。 バラバラになった木屑があちこちに散らばっており、被害の重さを物語っていた。


(何故こんなことに……? まさか暗殺者が⁉︎)


 と首を回して周りを見渡すと。


「あ、アーニャ! こ、これは一体どうしたんだ? 暗殺者が俺を殺しに来たんじゃないのか?」


 地べたにへたり込むアーニャを見て悠人は誰かとの戦闘があったせいでこうなったのではないかと踏んでアーニャに質問する。


「え⁉︎ いや、えーと……」


 口ごもるアーニャ。


 それを訝しげに見つめる悠人。


(ど、どうしたら。 しょ正直に伝えればいいの? う、ううんきっと違うわ。それを伝えればショックを隠しきれないはず……)


 とアーニャは頭の中で正直に伝えた場合についてシュミレーションする。


「や、あの、じ実は………それ」


「ん? ああっ!」


 アーニャが悠人のある部分に指差す。 そこには増幅器ブースターがあり悠人の身体と触れている。


 それに気づいた悠人は驚く。


「も、もしかしてこれは俺が………?」


「………コクリ」


 続く悠人の質問に首を縦に振るアーニャ。


 それを見た悠人が明らかに落胆する。


(それは避けたい!)


 頭の中から戻ったアーニャが結論を出した。


「え、ええ実はそうなんです。 ターゲットが悠人に変わったらしくって、少し奇襲で手こずりましたけど……何とか追い払いました」


 悠人が想像している通りに嘘をつく。


 この方が、手っ取り早いと思ったのだ。


「ああ、やっぱりそうなのか……。 ありがとうアーニャ、助けてくれて」


「ああ、いえ、そんな事……」


 悠人のきたんのない賛辞にも素直に喜べないアーニャ。


「いや、でもそんなことになってるのに気付かず起きないなんて……やばいな………ブツブツブツ……」


 悠人が独り言を始めたところでアーニャはホッとため息をつく。


 悠人から後ろを向き、少し頬を吊り上げた。























いつも読んでいただきありがとうございます!


突然ですけれどもこちらでもご案内しておきたいと思いますが、来週の更新分はどうするか決めていません。


というのもコミケに向けてちょっと準備しなければならないかなと思ってるからです。(自分が参加するわけじゃありません。 あくまで客です)


そのため、来週の分はもしかしたら休みにする可能性がありますのでご了承ください。


ってことで今回は後日談です。 まぁ、必ずしもここに入れるってほどのことでもないですけれどちょっと読みにくい説明が入ってますのでそこはゆっくり読めればちゃんと分かるはずであると思いますのでよろしくお願いします。


それではーーー。


まだ、カタログ買ってない


小椋鉄平

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