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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
王都へ
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女王との出会い

「え、この人が女王陛下ーーーー⁉︎」


 ばっと、手を離し、素早く後ずさり、膝を地面につけその前に両手を置き頭を下げる。


「と、とんだご無礼をお、お許しくだしゃい⁉︎」


 気が動転してしまい、噛んでしまう。


 俺はカーペットに頭をつく勢いで頭を下げている。彼女ーもとい女王陛下が今、どんな表情をしているかなど想像でしか分からない。


 だが、さっきの俺のしたことを思い出せば、どんな表情をしているかなんて容易に分かる。


「か、顔を上げてください!」


 大きい声が聞こえてきた。その声からも、悠人は女王陛下が怒っているように感じてしまった。


「いや、私が先ほどとてつもなく無礼なことをしたのは承知しております。 で、ですからこんな頭を下げるごときで許されることだとは思っておりません。な、何か姫様に償うチャンスを私めに……」


 これくらい言わないと、許されるわけがない。


 目をギュッと力一杯閉じ、何かの衝撃に備える。


「…………」


「陛下………」


 目の前で何が起こっているのは分からないが、あわよくば学園長が弁解してくれていると俺的にはとてもありがたい。


 ツカツカという足音が聞こえた。地面にいるからだろうか、その音がだんだん大きくなる。


 それは誰かが近づいていることを示している。


「顔をお上げなさい」


 頭に軽く手を添えられ、そう告げられる。告げられた言葉にも怒気のような刺々しいものなど微塵もなく、むしろ包み込むような優しい声で告げられる。


「は、はい」


 ゆっくりと顔を上げる。


「ふふ、やっとお顔を見ることができましたね」


 彼女はとても美しい笑顔で俺を見てくれる。


 まるで、身分の低いものに手を差し伸べる。キリストのような………って実際そうか。


 納得してしまった。


「大丈夫ですよ、何と言ってもこの方が慈悲深すぎると批判されているアリスフィア女王陛下なのですから」


 サーシャは笑顔でそういう。


「ちょ、ちょっと⁉︎ サーシャさん。それは褒めているのですか⁉︎」


 言葉に反して、怒っている様子は皆無だ。


「ふふふ、アリスフィアはいつ見ても可愛いですね」


 サーシャの言葉に賛成だ。微塵も怒ってそうに見えない。むしろ微笑ましいとも思ってしまった。


 アリスフィアが、サーシャにポカポカしているが、別段痛そうには見えない。


 その辺も同じように感じてしまう。


「ところで……お名前を伺っていませんでしたわ」


 その言葉に悠人は背筋を伸ばす。


「はっ、申し遅れました。自分は相馬 悠人と申します。 今は、学園長の護衛でこちらにお邪魔させていただいています」


 慣れないが、それでも出来るだけ丁寧に言葉を選ぶ。


「まぁ、サーシャが護衛なんて……。珍しい事もあったものですね。私の出した者はずべて跳ね除けたくせに……」


 アリスフィアがサーシャに訝しげな目線を向ける。


「そうね。 ちょっと、訳ありでね」


 詰問とも取れるアリスフィアの言葉をさも普通に返してくる。学園長もなかなか度胸が据わっている。


「そうですか。まぁ、いいでしょう。あなたの事ですから悪いことではなさそうですし………で、アーニャさんは?」


 アリスフィアがキョロキョロと周りを見渡す。


 当のアーニャは、何故か、俺の背中に張り付いている。


「まさか、陛下は………! あっ、失礼しました」


 それを聞くのには野暮な気がして途中でやめた。許可も得ないで……というのもあるけど、俺の質問に頷かれる方がもっと暗くなってしまう。


「いいえ、そんな事ありません。 私には近寄ってくださらないんですよ。アーニャさんは」


(あっ、そういう事なんですね〜)


 要は、アーニャに嫌われていると……。


「じゃ、もしよろしければ、自分の手でも握りますか?」


「それは良い提案ですね!」


 さっきからなんとなく気づいていたが、俺がアーニャの主人だということをわかっている。 さっきのはカマをかけたつもりだったのだけれど、何処からか情報が漏れているらしい。


 まぁ、隠していることではないので学園長が教えている場合もなきにしもあらずだけど。


 アリスフィアは俺に近づき、俺の手を取る。別に俺から手を差し出したわけでないのに取られた。


(こういうところも、前評判通りかな?)


 心の中でそう思った。


「あっ、アーニャさん。こちらにいましたか」


 どうやら、背中にいるのが見えたらしい。それも当然で、俺の魔力を常時アーニャに流し込んでいるために、触れている人はたとえアーニャがブラインドをかけていたとしても見ることができる。


 しかし、人間同士では魔力を外部から入るのを防ぐ機構が存在する。生体的に言えば、細胞が無闇にものを入れない膜のようなものが近しい。


 異なるところは、魔力の入れる入れないを自分で決められること。つまり、手を上げ下げするように自分の思うままに魔力を入れたり出来る。


 しかし、意識的に出来るのは、魔力の型が適合しているものに限られる。例えば、α型の魔力を持つ者にβ型の魔力の持ち主には魔力を送ることが出来ないといった具合にだ。


 これもしかし、間に精霊をかませることでその問題を解決できる。何故ならば、精霊はすべての型の魔力を取り込むことが出来るからだ。そのすべての魔力を取り込めるが故にすべての魔力を渡す者の魔力型に合わせて放出してあげることが出来る。


 しかし、そんな事をする事例はほぼ無い。


 今もその状況は成立していない。


「ゆ、悠人〜なぜそんな事をするのですか〜」


 少し、涙目のアーニャが俺に訴えてくる。アーニャはもう既に俺の背中に描かれるのを諦めて、距離を取る。


「アーニャさーん、待ってくださーい」


 当然、アーニャを追うってことは必然的に悠人も一緒に行かなければいけないわけで………。


「うおおわっ!」


 悠人はアーニャに背を向ける形になっていたので、手を引っ張るアリスフィアに対して、後ろに引かれる形になってバランスを崩してしまう。


 仰向けになって倒れてしまった。











いつも読んでいただきありがとうございます。


最近は、過去のギャルゲーなんかをやったりして変な声を上げているわけですけど……。真面目になってふと考えて見ると、昔の方がギャルゲーとしては難しかったのかなと思いました。


選択肢もありそうでないものだったり、そもそも出てくる箇所が多かったです。


正確に統計を取ったわけではないので定かではありませんが、そう感じました。


皆様はどうでしょうか? 新しいものをどんどんやるのもいいとは思いますが、たまには昔やったゲームなんかもふと思いついた頃にやると案外面白かったりもします。


では、次回もよろしくお願いします!


今やってるのはヒロインが12もいて単純に時間がかかる。


小椋鉄平

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