始まり、立て続けに起こる変化
我に帰った俺は冷静になって詳しく聞く。
「あなたがここに来るのは単なる偶然ではなかったのですよ。わたしたちの救世主たる人間を探していたのです。ただ……、わたしたちの存在を可能性のない者まで知られるわけにはいかなかったので、実験を夢の中で行いました。そこで唯一、魔法を発動できたのがあなたです」
正直言って全く実感がわかない。俺は自分が持っていると言われている魔法について当然懐疑的だ。
使えた記憶がないのだから
「で、肝心の元の世界に戻れないというのは?」
「あー……、覚えてましたか……」
「覚えるも何もさっき言われたばっかだろうが!」
「そのですね…、おそらくあなたがさっき起こした巨大な魔力エネルギーによって『タリス』につながる唯一の扉が閉ざされてしまいまして…帰れなくなった、というわけです」
「それって要するに自業自得ってことじゃねぇかよ…」
俺はその顛末を聞いてがっくりとうなだれた。(これじゃあ留年決定じゃねぇかよ!どうする、俺!)
「まぁ焦っても仕方ありませんので、あなたが魔法を自在に操ることができればタリスとのパスも繋がると思います。っと、いけないですね…そろそろ学校が始まってしまいます。ということで、早速学校に行ってもらいます」
そう言って、何やらブツブツ言い出すと足下に円状の淡く赤い光が俺とアーニャを包み、瞬く間に視界が真っ白に染まった。
* * *
真っ白な世界から解放されるとまた景色が変わっていた。どうやらワープしたらしい。
見ると、妙に趣深い年季の入った建物が目に入った。その形状はまるでやたら大きな教会のようであった。
「さぁ!ここが悠人が学ぶ学校ですよ〜、うんうん、驚いてますね〜」
「あぁ、すんごい建物だよな…」
まるで、世界遺産になりそうなほどの建物だと俺は感じた。
「そうですよね…、わたしもつくづくそう思います。おっといけません、このままでは遅刻してしまいます、急ぎましょう!」
「おぅ」
俺はアーニャの後ろについていってなかに入っていった。
* * *
職員室らしきところに着くとアーニャが失礼しますと入っていき、何やらアーニャと女性の先生らしき人と話をしている。
すると女性が席を立って俺のところまで歩み寄る。
「わたしはアイナ・レフォードだ。今日からお前の担任になる、よろしくな。」
「あ、相馬悠人です。こちらこそよろしくお願いします。」
軽く挨拶をして、ついて来いと言うのでついていく。そういえばふと思ったことがあったので隣を歩くアーニャに聞いてみた。
「そういえば、普通に話ができたんだけどなんで?」
「ああ、それはですね。これです」
そう言ってアーニャは耳を見せてくれる。一見、俺には人間と同じ耳のようにしか見えなかった。
「普通の耳だが…」
「いえ、この耳で聞いた音声を頭の中の魔法領域でわたしたちのわかる言語に変換したり、伝えたいことを相手のわかる言語に変換して音を発しています。だからあなたの言葉もわかるし、あなたの言葉も話せるんですよ」
そう聞いて俺は少し悪気を感じてしまっていた。
「なんか、悪いな俺のためにしてくれて」
「?、なんで謝るんですか?」
「いや、だってその分魔法を使ってしまってるってことだろ、ただえさえ容量が決まってるのに」
俺がそう言うと何か納得したようにしている。
「これは別に悠人が悪いわけではないんですよ。わたしたちはこれを無意識にやってしまうんです。わたしたちは昔、みんなそれぞれ地域ごとに言葉も文化も違ったそうなんでそれをなんとか会話できるようにするために手に入れた能力だと言われています」
「へぇー、じゃあ魔物ともしゃべれるのか?」
俺は普通に出た質問をした。
「それは、例外的に起こりません。これは無意識領域であなた方で言うヒト属だと認識されないと、起こりません。魔法を使うといいましたが、そこまで大きな量消費するわけではないので心配しなくても大丈夫ですよ」
「そうか、でも俺もいずれはできるようにならないとな」
するとアイナ先生が足を止めた。
「ここが教室だこんな時期での編入は普通ありえないからみんながとてもワクワクしててな…、これはわたしのミスかもしれないが…、編入生が来るとは言ったが、性別を言うのを忘れてな…、そのせいで男女問わずお前への関心が高まってひどいことになってる…、悪いな」
「ちなみに、お前が人間だと知ってるのはアーニャを含めて、わたしと学園長だけだここでは人間ってだけで下に見られるから隠しとくほうが無難だぞ」
「わかりました、アーニャ、ここまでありがとう。終わったら俺はどこに行けばいいのかな?」
すると、アーニャはキョトンとした顔で「何を言ってるんですか?」という仕草をしている。俺もわけがわからず先生を見ると先生も首をかしげている。
「なんだ、お前アーニャが何か知らないのか?」
「ん、なんか俺を人間界から連れてきたセバスってヤツの仲間?」
「アーニャは人工精霊だぞ」
それを聞いた途端またもや頭の中がフリーズした。
「な…に…」
俺はそれを聞いて目が点になっているはずだと思った。
「今は試験運用のためにこの学校の生徒として生活している、ちょうどお前と同じだ」
「いや…、そんな…、全く人と同じに見えますよ」
「そうだな…、人間に警戒されないためにその形にしたらしい、ってそんなことはいいからさっさと入るぞ」
先生はスタスタと足早に教室に入っていく。俺は呼ばれるまで待っていることにする。
「相馬、入れ」
呼ばれたので俺も教室の中に入る。すると、聞いていたよりはおとなしくしていて意外だと思った。
「えーと、相馬悠人です。ふつつか者ですが仲良くしてくれるとありがたいです。これからよろしくお願いします」
俺は無難な自己紹介をした。こんな転入などまさか自分がすることになるなんて思っていなかったが、これはこれで入学するときと同じ感じでワクワク感と不安の混じり合ったなんとも形容しがたい感じがした。
「よし、ではお前にはあそこに座ってもらう」
「はい」
見るとアーニャの隣だった。隣が知っているヤツだと安心感があった。
「ぶい」
彼女はなぜか俺に向かってVサインをして笑顔を見せた。普通に可愛いと思ったが先ほどの言葉を思い出して我に帰る。
いかんいかん、あいつは人間に見せかけた人工物なんだ、だからそんなことを考える必要はないんだ!
「よし、では授業を始める」
という先生の合図で授業が始まった。
読んでいただき、感謝です。ありがとうございます。
どんな意見でも結構ですので、意見も書いていただけたらなと思いますのでよろしくお願いします
いきなり、本文から書いてるんですけど、こう、頭の中でイメージしたものを文章で説明するというのは結構難しいんだなと思っている次第で、そのせいでまだまだ妄想はたくさんあるんですけど全く序章から抜け出せてないですね。(まだ、最初らへんですよ)
というわけで、なんていうか、本当に自分が面白いから‼︎って言える場面まで持って行っている途中ですのでどんな風に持っていくのか予想しながら次回作をお待ちいただけるとわたしは嬉しく思いますのでよろしくお願いします。
妄想ばかりが脳内にある 小椋鉄平