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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
挑戦の時〜新たなる気持ちで〜
29/97

「創造」の応用ー魔法開発ー

「ぜひ、お願いしたいね。ちょうど、試したいことがあったからね」


 あながち嘘でもなさそうな、言葉で挑発する。


「良いいねぇー、受けて立ってやるよ」


 俺たちが間を取り、数歩下がる。もう、野次馬は二次被害を避けるため上の観覧席に避難している。


 そこに先生がやってきた。


 止められるか?


 とも思ったが、すんなりと許された。


 俺を買っているのか、なぜか先生は俺の肩に手を置き、「懲らしめてやってくれな、特進生さん」と言い残し先生権限で擬似空間が展開される。


 そういえば、もし先生が来ないで雰囲気に流されていたら俺はこいつと本気の試合バトルをしていたんだなと思ったが、俺もあんまり気にしてなかった。


 まぁ、擬似空間これがあったとしてもやる事は変わらない。


「ぶっ潰す! それだけだ!」


 そうそう、言い方は乱暴だけどね!


 俺は速攻を仕掛けた。開始と同時に加速し相手を倒す。


 カードで言う所のワンターンキルってところかな?

 いや、あれは……。


 俺の振り下ろした細く、そして長い剣は相手の腕に直撃する。が……。


 カン!


 弾かれだ、だと⁉︎ 確かに当たったぞ!


 俺は瞬時に態勢を立て直すため相手と距離をとる。


「ガッカリだぜ特進生。そんなんだと俺は全く、倒せないぜ!」


 巨大な剣をもろともせず振り下ろす。当然避ける。


「まだまだぁー!」


 本当にもろともせず、ブンブンと振ってくる。


 それを見ていたカレンは……。


「ああ、ヤバイよ。完全に相手のペースじゃん。いくら悠人君でも、あいつとはムリだよ。一年生にしてランキング二十位の、ブラフだよ。勝てないよ」


 とても、心配そうに見つめていた。


 悠人はさっきから回避行動しかしていない。というよりもそれしかできないと言った感じだった。


 鍔迫り合いには到底ならない。あの強靭な筋肉の前で真っ向勝負は自殺行為だ。


 当然、悠人はそのことを分かってて、ずっと回避に徹している。


 これはどうすっかな?


 しかし、これでは埒があかないと思った悠人は隙を見て狙ってみる。


 相手の剣の振るコースを予め読み、その裏をついて急所、首を狙う。


「ふん!」


「くっ!」


 その攻撃は片方の手で弾かれた。


 俺はもう一度態勢を整える。


 やはり、急所に当てるしか勝機は無いらしい。いや、ここはポジティブに急所さえつければ勝てると考えるべきか…。


 俺は再び、仕掛ける。


「俺が二度も同じ手でやられると思うなよ!」


 今度はあの大剣を振り回して近づけないようにされた。

 もちろん魔法が付与された振りは人間ではもう一瞬一瞬の剣の形は見えない。


 扇風機の回るファンより速いかもしれない。


 悠人はそんな事を考えてしまって含み笑いをしてしまう。


 もちろん、これは挑発だととられた。というか、とってくれた。


 だが、俺も一ヶ月で変わった。そう断言できる。


 ランキング十五位を倒したんだ。二十位なんて軽いはずだ。


「はっ!」


 俺は何かに気づくと再び、ニヤリと笑ってしまう。


 今は、増幅器ブースターに手はおいてはいない。でも、やる。俺ならやれる気がした。


 アイナ先生のアドバイスは本当だったかもしれない。


「お前は、実戦で成長するタイプだ。おそらく、強ければ強い奴ほどお前の成長度は高い」


 その時は到底信用できるものではなかったが、今はそうかもしれないくらいには思えてきた。


 だが、やってみるしかないんだ。やってみなきゃ分からない。その意味がこの戦いで分かるような気がする。


 俺はある想像をしながら、ちょんと増幅器ブースターに触れる。


 その瞬間に俺は二人、四人、十六人と増えていく。


「ちっ」


 相手もこの人数で本物を見極めるのは難しいようだ。


 十六人の俺は奴に向かって走り出す。


「すべて倒せばいいことだ!」


 あの大剣を高速で振って偽物の俺を倒して行く。


 倒された偽物の俺はバーチャルでありがちな消え方をしている。例を挙げると、点滅して消えていく感じだ。


 偽物の俺が消えていくたびに魔力が戻ってくる感覚がある。


 すべて倒されようとする瞬間を狙って、本体は死角から奴の急所を狙う。


 が……。


「バレバレなんだよ!」


 奴が振り向きざまに一閃し、俺を踏み止めさせる。


「なぜ俺が本体だと?」


 さっきのが俺の最後の分身だったのだが、倒すのを後にして俺を狙った。つまり、こいつには俺が本体だと分かる何かがあったということだ。


「魔力だ。お前だけ、異常なほどに魔力がデケェし、偽物が倒されれば倒されるほどお前だけ、魔力の量が増えていってた。お前、魔力の制御が出来ねぇんじゃねぇの?」


 そう、問い詰められてまだ改良の余地がありそうだと悟った。

 さて、答える義理はないけど隠しても仕方ないか……。


「その通りだ」と、一言だけ。


 奴はニヤリと笑う。


「そういえば、名乗ってなかったな。俺はバッフロン・オンバーンだ」


 そういうところは律儀なのかと、少し、こいつの評価を改めなければならないなと思った。


「俺の名はーー」


「お前の名前は知ってる。有名すぎるからな…。異名がありすぎる」


 と言ってから、一小説の静寂が訪れる。

 かと、思えば突然、ケラケラと肩を震わせて笑い出した。


「それにしても、今のが試したいことなのか? ……出し惜しみしなくていいんだぜ、もっと本気でかかってきてくれないと面白くないだろ?」


 確かに、俺は好きなものは最後にとっておくたちだし、好きだ。だけど、まだ条件が揃ってないのと確実に相手を叩ける瞬間でなければ試すことは出来ない。


 俺が、何も言わず黙っていると。


「それは肯定でいいのかな? 特進生。 新しくついたカッコいい名前が泣くよ?」


 挑発してきやがった。くそ、こいつに腹が立ってきた。


 無意識に拳に力が入る。


 別にこいつが悪でないことは重々分かってるつもりだが、こうもけなされて黙っていられるほど冷静ではない。

 こんなませている俺でさえも頭の沸点はある。普通の人よりは高いかもしれないが、今それが沸騰している。


 戦う理由を得た悠人はそんな挑発に乗った。


「ありがとう」


 俺はただそう言う。


「あん? 何のことかさっぱりだな」


 とぼけちゃって。


「んなことはいいんだかんよ! さっさと本気出せや!」


 それは全力で否定したいな。今はもうやっちゃったんだけど?って。


 バッフロンからの間髪ない攻撃を浴びせられる。俺はただ防戦一方になってしまう。


 しかし、俺の魔法はその想像しこうに集中するためにどうしても隙が生まれてしまう。


「ふん、ふん、ふん!」


 ギンという金属音もテンポが速くなる。


 くっ、この状況を打破するにはどうしたらいい? 全然思い浮かばねぇ。


「気が散漫になってるぜ! はああっ!」


 突如、バッフロンの持っている剣の色が黄色になり、俺へと向かって一閃する。


「うっ! 」


 その一閃はその場で振ったために悠人には届かないはずだった。だが、今、悠人の頬にはすっと亀裂が一本入っている。


 痛覚に襲われる。現実では、擦り傷なので我慢できない痛みではないが……。


 剣の一閃した刃が、そのまま飛んで来たとしか思えないな。そして、それは本体の剣は黄色く光るのが合図ではあるが、飛んでくる一閃の残像迄は分からなかった。


 この決闘は一筋縄ではいかないな。


 と、苦笑いをした後で、今までが上手くいきすぎか…と考えを改めた。


「それは何ていうんだ?」


「お前にも分かるか? 特待生。ああ、切れてんだから分かるよな」


「それで?」


 俺は再び問ふ。


「答えるとでも? 魔法師は相手の魔法でさえも参考にして、自分の魔法を磨くもんだろ?」


 !


 俺はその言葉にまるで今まで忘れていたことを思い出したような感覚になった。それは、ただ単にテストで思い出した程度のものではなく、本当に長年忘れていたような、感覚だ。


「ありがとう、君のおかげで掴めた気がするよ、今日はお礼ばっかりだな」


「マジだな。ったく、調子狂うんだよ! 」


 バッフロンは再び、同じ魔法を繰り出すつもりだ。その証拠にあのぶっとい剣が黄色く輝いている。


 俺は、その見えない攻撃を躱しながら、頭の中で構築する。


「行くぜっ!」


 俺も、普段親しい人にしか使わない口調で気合をいれる。

 バッフロンは再び剣を振るう。


「なっ⁉︎」


 その魔法で一閃した場所に俺はいない。今いる場所は……。


「終わりだ!」


 俺は、細長剣をバッフロンの首に向け振った。


 そう、俺がいたのはバッフロンの懐。


「うがはぁ!」


 バッフロンは何とも言い難い、うめき声をあげる。それもそうだろう、首を斬られた痛みなんて相当で、俺の想像以上に決まってる。


 擬似空間アストラルカーディガンが消え、ギャラリーが降りてくる。


 バッフロンはあの痛みで気絶してしまった。彼なら恐らく大丈夫だとは思うが、いくら擬似だとはいえ、痛覚はそのまま感じる。その恐怖で、二度と剣を握れない事は良くあることだ。それは、魔法科に来た以上はみんな承知の上だ。


 そんなことすら、後から聞いた俺は呆れて物も言えなかったけどな。要するに慣れた。


 ギャラリーから真っ先に来る奴が一人。


「凄いよ、悠人くん。あの、巨大要塞に勝つなんて!あの魔法は何なの?」


 カレンが現れて、真っ先に尋ねられる。あれ、詮索はダメなんじゃあなかった?


「あれは、ただの真似事だよ。俺の固有魔法で真似事したんだよ」


 誤魔化してみた。が、まぁ納得するわけないよな。いつしか、他の人達も聞きたそうにしている。


 俺はため息をついて。


「つまり、バッフロンが使ってた。剣の魔法を俺自身に使ったんだよ」


 そう、答えた瞬間どよめきが起こり、周りからは「スゲェ」とか、「やっぱ、特進生だわ」とか、「格がチゲェ!」とか、周りで俺の評価がさらに上がってる。


 ただ単にここから逃げ出したくなった。


 みんな褒めすぎだっての。


 恥ずい。


 みんなに背中を向けて、立ち去ろうとすると、先生に捕まり、授業を受ける事になってしまった。




















いつも読んでいただきありがとうございます!


最近は野球ゲームばかりやっている小椋です。

いづれ飽きることでしょう。


あんまりは凝った話はありませんが、日々を平和に過ごしているところでございます。


日々を一生懸命に生きましょう!


小椋鉄平

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