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想起創造の魔法剣士(マジックフェンサー)  作者: 小椋鉄平
始まりへの選択
23/97

新なる力の覚醒? 俺はまたもや地雷を踏む

 次の日の放課後


「これは……こうよ」


 と、勉強を教えてもらっている。


 カレンが整えてくれた家庭教師はとても分かりやすく、とても頭にすんなり入っていった。



 そのころ………。


「……どうぞ」


 校長室にアイナは呼び出されていた。

 いかにも高そうなソファーに腰掛ける。


「それで、ご用はなんでしょうか?」


 アイナは本題に入るように促す。本題に入る前の与太話は好きではなかった。特にこの雰囲気では。

 校長は「ごほん」とわざとらしく咳をしてから、


「実は例の子の件なのだが…」

「例の子? というのは? 転入生の事ですか」


 校長は首を縦にふる。


「その子に進級させるようにとお願いされた」

「校長! まさか、受け取ったのですか⁉︎」


 アイナが驚いてつい声が大きくなったところを手で制される。


「まさか、受け取ってはいないよ。ただ…それほど彼に価値があるとも思えない。それは、額がとてつも無いものだったからだ」


「…確かに校長にはそう見られても仕方が無いのかもしれません。ただ…彼の実力は私でさえもはかりかねてます。それほどに彼の実力は未知数です。故に何かしらの価値があるのかもしれないと私は考えています。さらに今回の件があったという事は何かしらの組織に彼が狙われている可能性も否定出来ません」


 そこまで言うと、校長は唸ってソファーに背中を預けた。


「念のため、学園内の警備を強化しよう。 それとアイナくん…毎回頼ってばかりで申し訳ないが今回の件、お願い出来ますか?」


「ええ、この命に代えても」


 アイナはそう返事をして、校長室を後にした。


 アイナが学園ここの教師で居られるのはあの校長のおかげだ。


 そう、ただの人間だと蔑まれて生きる術を失っていた私に唯一手を差し伸べてくれたのだ。それだけ彼には大きな恩がある。いつになったら返せるか分からないが…。


 アイナは校舎から校門へ向かう。それはいつも使っている校門ではなく、森につながる方のある種の裏門に向かっていた。


 そこにたどり着くと、ヒトの気配がするがアイナは警戒しない。


「いつにもなく用意が早いな」

「いいえ、たまたまですよ。それで…今回は誰を殺るんですか?」


 そこには、ボロい黄土色のマントをした者が立っていた。


「いいや、今回はそっちじゃない。護衛だ。実はな……」


 と、先程まで校長と話していた内容を話す。


「そいつを手にかけようとするやつは問答無用で殺っていい…ただし、殺るなら誰にもバレずにな」


 と言って、袋にマントの者に渡す。

 渡した時にジャラっという音がした。


「……少し多くありません?」

「いいや、ピッタリだ。充分なものだろ?」

「まぁ、多いに越したことはありませんからね…了解。与えられた仕事はちゃんとこなしますよ」

「頼んだぞ」


 アイナはそう言って、もと来た道を逆に進んでいった。


「ふぅ……」


 マントの者は渡された写真を覗く。


「はて? なんか見たことあるような……まぁいいか」


 マントの者は消える。


 帰宅して、俺の部屋で勉強する。もう試験まで日にちがあと残りわずかだ。それなのにも関わらずまるで焦りを感じない。


 …やっぱりここにきたからかな?


 そうとしか思えなかった。


 後ろを振り向くと、相変わらずラネイシャは俺のベッドで寝転んでる。


「……!」


 ラネイシャは俺と目が会うと、慌てたように見ていた雑誌に目を落とす。


 もうここまでくるとラネイシャのことがわかったような気がした。

 気がしたと思ったのは、どこかでそうじゃ無いと考えてる自分がいるからかもしれない。


「ぶー、なんでラネイシャがそこにいるんですか!」


 だが、今日は少し違った。

 いい意味で言えば賑やかだが、今回は俺の見た目ではうるさかった。


「なんでって、主様の勉強をみるために決まってるじゃない」

「さっきから全く教えてないじゃない! 」


 そう、今日はアーニャもいた。

 ラネイシャはアーニャを知覚することが出来ている。決闘からあまり日が経っていないのに、精霊を知覚できるのはやはり、魔力量が多いだからなのだろう。


 この2人は何かしら会うといがみあってる。


 よそでやってくれよ……。


 俺は呆れ気味にため息をつく。


「悠人! こんなダメダメ女に任せてないで、私とお勉強しましょう」

「いいえ、こんな精霊女に任せたら別のお勉強になってしまうわ。主様、私を選ぶべきだ」

「…」


 今、一瞬二人ともいなくていいとドス黒い感情が湧きあがったが…口には出なかった。


 別のお勉強って……どっちなんだろう。俺は真剣に悩んだ。

 アーニャは精霊なんだから、新しい魔法……とか教えて貰えるんだろうか…それとも…ってそういう事⁉︎

 急に顔の辺りが熱くなった。


 二人がそんな俺の様子を見て、ニヤリと笑う。


「ウブだね」

「ウブですね」

「う、うるさいな!」


 二人にからかわれたので、ドス黒い考えを実行する。

 そして、何も言わず強くドアを閉める。


「何する…くそ!」


 ラネイシャはなんでこうなったのか分からないような発言をしている。


 やっぱりカレンの言ってた心配は当たってしまった様だよ…トホホ。

 悠人はがっくりと手と頭を下にだらんと下げた。


「ちょっと! 開けなさいよ!」と、ラネイシャが言う。


 その口を塞いでくれれば開けますよ? と、言いたい。


 今は重い荷物をドアに重ねて並べて、向こうから開かない様にしている。

 基本的にドアに鍵は付いていない。


 ドンドンと、扉を叩く音をBGMに、


 今度、鍵付きのノブ作ろうかな? いや、作れるのか? とか考えてた。


「……いいわ、そっちがその気なら私もやるぞ」

「あわわ、ラネイシャそれは止めましょう…ね、ね?」


 アタフタするアーニャ、もう二人との対立は無くラネイシャの矛先は俺に向いている。


(切りきざめ! 破砕シルト!)


 ラネイシャが唱えた途端、ドアが粉々に砕け散った。


「うそ…だろ…」

「これくらい朝飯前だ! それより…」


 ラネイシャがどこかのヤンキーや悪たちよりも脅威に見える。


 まさかのここで死んでしまうのか⁉︎ 俺は。


 何かを変えようと、踏み込んで見たはいいもののまさか寿命が縮まる選択だなんて…。


「ふん!」


 ラネイシャの拳が俺の方へ向かう。恐らく、ただの殴るという行為だけではないのだろう。それだけでは俺は死なない。力を上げてるに違いない。そんな風に見えた。


「うっ⁉︎」


 俺は頬に来る痛みと共に驚いていた。

 殺されなかった…どころか、握りこぶしが平手に変わっていた。

 恐らく、俺はビンタされたのだろう。

 わざわざ、そうする為にラネイシャは速度強化の魔法を使ったのだ。


 ビビらせんなよ……。


 頭の中で反吐を吐く。


「…今度はあなたを粉砕してあげようか?」

「いえ、結構ですもう勘弁してください私が悪ぅございました!」


 俺の言葉にラネイシャは胸を張り、腕を組んで勝ち誇った顔をしているが、それも一瞬のことで、俺とラネイシャはすぐに同じ顔で両者を見合うことになった。


 その言葉は………


「「え?」」


 だった。


 そして、二人がロボットの様な動きで、アーニャの方を向くと、アーニャは心底驚いているのか、嬉しそうにしているのか、俺にはわからないが、取り敢えず目がキラキラしている事だけは視覚的に分かった。


「…ついに。ついにこの時が来ましたね」


 アーニャが涙を流す。この瞬間、あっ嬉しかったのかと自分の予想の結果を修正する。


 再び、俺とラネイシャは顔をお互いに見合って、


「これも…魔法なのか?」

「ああ、魔法だよ。しかも、このテレパシーは精霊にしか使えない筈のものらしいんだ」


 俺はそれを言われても…いまひとつピンとこない。それは俺が意図的にやった訳ではないからだ。


「す、凄いですよ。さすが悠人ですね」


 アーニャは俺をべた褒めしてくる。もちろん嬉しい。今言ったことに目を瞑ればな……。


「そ、そうですか…」

「え⁉︎ これも聴こえてたの⁉︎」


 俺はまた新たなる問題を生み出しただけみたいだ。


「はぁー」



















お知らせしずに申し訳ないです。


いつも読んでいただきありがとうございます!

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